“最後に会ったのは亡くなる2~3か月前/愛にあふれていた”ジャファーが語るマイケルの記憶と作品へのコミット(映画『Michael/マイケル』)

2026年6月24日 / 19:00

 “キング・オブ・ポップ”=マイケル・ジャクソンの軌跡を描く映画『Michael/マイケル』。この度、ジャクソン一家とも交流を持つ西寺郷太(NONA REEVES)がインタビュアーを務めることで実現した、マイケルの実の甥で本作主演のジャファー・ジャクソンと、監督のアントワーン・フークアへの独占インタビューを下記にお届けする。

 ちなみに西寺郷太は、マイケル・ジャクソンを少年時代から深く愛し、その音楽と人生を追い続けてきたという。

――ジャファーさん、はじめてこうしてお話ししますが、一昨年秋のLAでのティト・ジャクソンさんのお葬式でお姿はお見かけしていました。よろしくお願いします。
まず最初の質問ですが、マイケルと幼い頃に接した頃の記憶は、今も残っていますか。その時点ですでに、叔父としてだけでなくアーティストとしてのマイケルの音楽や映像を意識されていましたか?
ジャファー:
最後にマイケルと会ったのは、彼が亡くなる2~3か月前のことでした。その日は、祖父母の結婚記念日を祝う家族の集まりで、みんなで長年連れ添ってきた祖父母をお祝いしていました。もちろん当時の僕は、マイケルが誰であるかも、どれほど偉大なことを成し遂げた人物なのかも理解していました。その時の彼は、本当に愛にあふれていて、ちょうどロンドンでの【This Is It】公演を作り上げている最中だったこともあり、「早くみんなに見てもらいたい」と、ワクワクした気持ちや熱意を語ってくれていました。
もちろん、それ以前にも家族で過ごしたたくさんの思い出があります。かくれんぼをしたり、一緒に遊んだりといった、ごくシンプルな時間です。自然な形で関わりながら過ごしていた素敵な想い出を今でも大切にしています。

――マイケルは、あなたのダンスや歌に自分の影響が表れていることをご存じだったのでしょうか?
ジャファー:
直接本人からそう言われたことはないのですが、家族からそのような話を聞いたことはあります。僕が4~5歳の頃から、マイケルのツアー映像を一生懸命見て学ぼうとしていた姿を家族が見ていて、そのことをマイケル本人に伝えていたらしいんです。すると彼は、「なんでそんなに見ているんだ?」というようなことを話していたそうです。それ以上のことは、正直よく分かりません。家族を通じて聞いた話なので。ただ、僕は5歳くらいの頃、本当にマイケルのミュージックビデオに夢中でした。

――10年以上前、東京でお父さんのジャーメインと一緒に話した時、すでに彼はあなたのことを「すごくマイケルに似ていて才能があるんだ」と話してくれていました。なので、映画の主演としてあなたがマイケルを演じると知った時は、本当に良い意味で驚きました。
ジャファー:
確かに父が、「こういうところがマイケルを思い出させる」といったことを話していたと聞いたことはあります。ただ、僕自身がはっきりそう言われた記憶はありません。どちらかというと、そういう話は家族を通じて伝わってきたものだったように思います。でも、家族全員に共通する部分はあると思います。みんな話し方がとてもソフトで柔らかいんです。いとこや兄弟も似たような話し方をしますし、それは父や叔父、そして育った環境の影響でもあるのでしょう。さらにさかのぼれば、祖母から受け継がれてきたものなのかもしれません。そういう意味では、家族全員に似ているところはあると思います。

――マイケルを映画で演じる話が来たとき、最初の気持ちは「やりたい」が先だったのか、それとも戸惑いが先だったのでしょうか。この役を引き受けることは、ある意味であなたの20代の後半の日々のすべてを捧げるハードな決断だったと思います。
ジャファー:
重要な責任を強く感じていました。特に家族としてのつながりもあるので、別の視点から見ても、その責任感はさらに大きなものだったと思います。だからこそ、最初からどのようにこの役にアプローチするのか、どれだけコミットするのかははっきりしていました。答えはシンプルで、100%コミットすること、そして100%この経験に身を投じることです。自分が持っているすべてを注ぎ込みたいと思いましたし、毎日できる限り多くのことを学びたいと考えていました。そのために家族と話をしたり、オンラインでリサーチをしたり、たくさんの本を読んだり、数え切れないほどのインタビュー映像や音声テープにも耳を傾けました。ジャクソン5時代までさかのぼって膨大な音源や映像を集めましたし、もちろん、見つけられなかった資料もあります。そうした部分は、自分の想像力に加え、実際にマイケルを知っていた家族から聞いた話や、自分自身の経験、そして脚本から伝わってくる人物像を組み合わせながら作り上げていきました。とにかく、自分が持てるすべてをこの役に注ぎ込み、最大限の努力をする。その覚悟を持って臨んでいました。

――僕も伺ったことのあるエンシノの邸宅がそのまま撮影に使われたことも含めて、その場所で育ったジャファーさん以外には醸し出せない「気」が常に纏われていて、感動しました。
アントワーン・フークア監督にお聞きします。監督は、このプロジェクトに長い期間取り組まれてきたと思いますが、本格的にヴィジョンが克明になったのはどういったタイミングだったでしょうか。
フークア監督:
子どもの頃からマイケル・ジャクソンの大ファンでした。彼の音楽は僕の人生の一部ですし、そのクリエイティビティもまた、自分の人生の一部だと思っています。マイケルは、MTVで大きな成功を収めた最初の黒人アーティストの一人として、ミュージックビデオというビジネスそのものを変えた人物です。そして何より、常に自分自身を再発明し続け、新しい姿を生み出し続けていました。
だから、この作品の監督を引き受けるかという問いに対する答え自体は、とてもシンプルでした。もちろんやりたいと思ったんです。
ただ、彼の人生を描く責任は非常に大きい。だから簡単に「イエス」と言える仕事ではありませんでした。
実は、一番心配していたのは「誰がマイケルを演じるのか」ということでした。ジャファーと出会うまでは、本当に半信半疑だったんです。果たしてその役を託せる人物が見つかるのだろうか、と。気持ちとしては50対50でした。でも、ジャファーに会った瞬間、その迷いは消えました。「これならできる」そう確信し、この作品に100%コミットして関わろうと決めました。

――音楽界全体、とりわけ初期MTV時代に残っていた人種的な壁を、マイケルが突破していく描写に感動しました。史実と映画的ドラマのバランスをどう取られましたか?
フークア監督:
もちろん、この映画はエステート(遺産管理団体)から提供された情報をベースにしていますし、実際に起きた出来事や確認されている事実も数多く取り入れています。そうした資料や事実に基づいて作り上げられたシーンもたくさんあります。ですが、映画監督として、まず、最初にやらなければならないことは、観客の皆さんを楽しませることだと思っています。ビジュアル面では、とにかくスケールの大きさを意識していました。また、彼が生きたそれぞれの時代をしっかり捉えることも重要でした。だから1960年代、70年代、80年代、90年代では、それぞれ空気感やテクスチャーが異なります。映像のルックも変わります。コントラストや時代ごとに調整しました。ストーリーテリングという意味で、最も大きな挑戦の1つは「マイケルの人生のどの部分を描くのか」ということが大きかったです。それは単に、彼がどれほど偉大なアーティストだったかではなく、どれほど素晴らしい人間だったのか、家族とどのような関係を築いていたのか、そしてマイケルが何を求め、彼が求めていた“クリエイティブな自由”とは何だったのか。マイケルは本当にあらゆることに挑戦した人物でした。そして、人種差別とも戦いました。彼は常に人々に何かを返えそうとしながら、音楽を通じて人々を結びつけ、希望や喜びを届けようとしていたと思います。

――特に印象的に残っているシーン、撮影時のエピソードを教えてください。個人的にはエキストラやバック・ダンサーの皆さんのそれぞれの役作りの本気度が純粋にファンとして嬉しかったです。
ジャファー:
パフォーマンスシーンはどれもお気に入りです。もちろん曲にもよりますが、エキストラの皆さんが参加してくださっていたので、そのエネルギーを直接感じながら演じられたことが本当に素晴らしかったです。グリーンバックの前で演じるのではなく、実際に観客の前でパフォーマンスできたことは、自分にとっても非常に感情的な体験でした。一つ挙げるとするなら、やはり「スリラー」のシーンですね。実際のロケーションで撮影できたことも大きかったですし、これまで積み重ねてきたすべての要素が、まるでパズルのピースのようにつながっていく感覚がありました。ゾンビたちが特殊メイクを施されてそこにいて、満月が輝く夜の中で撮影が行われた。その光景は本当に特別でした。そして何より、「今、自分たちは史上最もアイコニックなミュージックビデオを再現しているんだ」と実感したんです。あの夜、撮影をしながら、まさにそんな気持ちでいました。

インタビュアー:西寺郷太(NONA REEVES)

 本作で唯一となるジャファー&フークア監督の2ショットインタビュー。マイケルへの深いリスペクトと情熱が交差した貴重な対話から、映画に込められた思い、そして“ひとりの人間としてのマイケル”の姿が多くのファンに伝わることを願って―。

◎映画情報
『Michael/マイケル』
2026年6月12日(金)より全国公開
配給:キノフィルムズ
(R), TM & (C) 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
https://www.michael-movie.jp


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