<ライブレポート>アーティストのモチベーションとなった創作クオリティの高さ【Mrs. GREEN APPLE presents『CEREMONY』」】Day2

2026年6月18日 / 15:01

 ファッション・音楽・カルチャーが融合した新たなエンターテインメントショー【Mrs. GREEN APPLE presents『CEREMONY』」】が2026年6月10日、11日に神奈川・Kアリーナ横浜にて開催され、両日とも満員の観客と共にジャンルを超えたボーダーレスな音楽の素晴らしさ、楽しさを分かち合った。このレポートではDay2の模様をお届けする。

 【Mrs. GREEN APPLE presents『CEREMONY』」】Day2も、Mrs. GREEN APPLEの3人による開幕の挨拶からスタート。この日の衣装は「桃太郎」からインスピレーションを得たもので、大森が桃太郎、藤澤が鬼、若井が犬、猿、キジを1人で表現したユニークなもの。大森は前日同様に『CEREMONY』のコンセプトを伝えると、「今年は2日間の開催ということで、昨年よりもステージから何からすべてがパワーアップしています。すごくないですか? すべてのアーティストに、音楽に、敬意を。それでは最後までお楽しみください。第3回『CEREMONY』開幕いたします」と開幕宣言した。

 最初のプレゼンターは Mrs. GREEN APPLEの藤澤涼架。「『CEREMONY』、これだけ素敵なアーティストのみなさんにお越しいただいて、いつものライブやフェスと全然違う雰囲気なので、ドキドキしてますよね。僕も今めちゃくちゃドキドキしております。今日 1日を通して、“やっぱり音楽好きでよかったな”って、そんな自分に立ち返ってもらえたらうれしいなと思います。もし楽しみ方わからなくなったら、ここら辺にいる僕を見ていただけたら大丈夫です。間違いなく誰よりも今日 1日楽しむつもりで来てます。めちゃくちゃ踊ってると思いますし、すごい声出てると思います。もしかしたら歌声に思わずホロっとしちゃうときもあるかもしれない。昨日がそうでしたからね。リラックスしてゆっくり思う存分楽しんでいただけたらと思います」とライブへと誘った。

 トップバッターを飾ったのは上白石萌音。スポットライトの中、アカペラで静かに歌い始めると、やがてピアノが寄り添い、映画『君の名は。』主題歌「なんでもないや(movie ver.)」でライブの幕が開いた。さざ波のように拍手が起こり、星空に満ちたステージと共に凛とした歌声が広がった。続く「懐かしい未来」ではドラマティックなメロディを驚きの歌唱力で歌い上げ、「一緒に歌おう!」と呼び掛けると客席から「Oh~Oh」とコーラスが寄せられた。「最後は、私を今日ここに連れてきてくれた曲を歌わせていただきます。大森さんが作られた絵本の原作にもなった曲です」と、朗読劇への出演からご縁ができたという「メメント・モリ」へ。絵本の世界がビジョンに映し出される中、軽快なリズムに乗せた朗らかで優しい歌声が会場を包み、温かな余韻を残してライブを締めくくった。

 続くネクライトーキーは、賑やかなSEとともに勢いよく登場。オープニングの「北上のススメ」では爆音とタイトな4つ打ちサウンドが炸裂し、〈北へ向かえば〉と繰り返されるフレーズが早くも耳に残る。「今日は今までで一番大きな大きな声を出そう! よろしくお願いします」、その言葉を合図に「オシャレ大作戦」へ。全力疾走するバンドサウンドのエネルギーが怒涛のようにステージから溢れ出し、気づけば体が動き出していた。もっさ(Vo./Gt.)が「改めましてこんばんは、ネクライトーキーです!『CEREMONY』に呼んでいただいて本当にありがとうございます。めちゃくちゃうれしいです。ミセスさんとはじつは3年前にZepp DiverCityでフジファブリックと3マンで対バンさせていただいたご縁があったりして、そして今回イベントに呼んでいただいて、たった3年なんですけど、お互いそれぞれの道で成長したと思いますので、そういう姿を見せられたなと思っております」と意気込みを伝えて、最後は「私たちが今ここで会ったから聴ける音楽を聴いてください」と、まだリリースされていないという新曲「余計なこと」を披露。豪快なイントロから始まり、何度もキメを作るバンドの一体感ある演奏と歌で唸らせた。

 「続いてのプレゼンターは、オリンピック3連覇、女子力の高い、そして霊長類最強のレジェンドにお越しいただきました!」と中条が呼び込んだのは、なんと吉田沙保里。会場中がどよめきに包まれて、拍手で迎えられた吉田は、「オリンピック以上に緊張しています。私は引退するまでの 33 年間、レスリング選手として歩んできました。思い返すと、夢であったオリンピックで金メダルを取るまでにはたくさんの音楽に元気や勇気をもらいました」と現役生活の中での音楽との触れ合いを振り返ると、「引退した今では、自己流でギターを弾きながら歌ったり、時間のある時には1日中カラオケで歌を歌ったり、本当に音楽にはたくさんの元気や勇気をいただいてきました。今日は出演されるアーティストのみなさんのパフォーマンスを会場のみなさんと心を一つにして楽しみたいです。そして、これからもずっと、音楽と共に、みんなで明るくポジティブな人生を過ごしていけることを願っています」と語り、拍手喝采となった。

 サカグチアミはバンド編成でステージに上がり、エレキギターを弾きながらパワーポップな「好-じょし-」からライブスタート。MCでは自身のこれまでを率直に語った。「今日はお招きいただいて本当に光栄です。以前ミセスと歌わせていただいた2018年のときは、漢字の坂口有望という名前で活動していたのですが、昨年末に新たなフェーズに進むために名前をカタカナに変えまして、そこからこうして今も活動を続けています。その名前を変える覚悟と決意を持って書いた一発目の曲をここでも演奏させてください」と、そのものズバリの楽曲「名前」。タンバリンを叩きながら、その思いを真っすぐに、それでいてポップに歌い上げた。MCでは中学2年生のときにギターの弾き語りで音楽活動を始め、ミセスの曲をカバーしてSNSに上げていたと話す場面も。そして「今日みたいなドレスコードがあるような特別な日は、心が浮き立ったり、おめかししてる自分のことがちょっと好きになれたりすると思うんですけど、何でもない日でも、自分のことをちょっとでも称えてあげたらいいなと思って書いた歌です」と、弾き語りで「裸」を歌唱。真摯な歌声が会場に静かに響き、大きな喝采を浴びてステージを後にした。

 客席のゲストには、日本を代表するブレイクダンサーShigekixの姿も。マイクを向けられると、「音楽のパワーというかエネルギーを体全体で受け止めてます。浴びまくって本当に最高の時間ですね。心も体ももうノリノリで踊りたくなります」と音楽を聴く喜びを表した。

 続いて、プレゼンターとして、先ほどライブのトップバッターを飾った上白石萌音が登壇。「いろんな表現に向き合う中で、迷子になって心が折れることがたくさんあるのですが、今日この場所でジャンルや活動表現にとらわれずに戦うというこの空気に身を浸して、とても励まされております。冒頭のトークで大森さんが“綺麗ごとかもしれないけど”っておっしゃっているのを聞いて、『銀河の一票』というドラマの「綺麗事じゃないよ、綺麗なことだよ」という名セリフが浮かびました。こんなにも綺麗なことで満ち溢れた、そして綺麗なことを信じていたいな、信じられるなと思える場所にいられて、今日は本当に幸せです」と、表現者としてミセスと共有する思いを打ち明けた。

 5色のライトが輝くステージに、FRUITS ZIPPERがメンバーカラーにフォーマルな黒を取り入れた衣装で登場。「はちゃめちゃわちゃライフ!」で賑やかなフォーメーションのパフォーマンスを見せると、新曲「ぱわーオブらぶ」を躍動感たっぷりに披露。さらにミセスの冠バラエティ番組『テレビ×ミセス』での共演も話題を呼んだ「わたしの一番かわいいところ」が始まると、円卓で観ていた大森はイントロで立ち上がり踊り出す一幕も。客席からも手拍子が沸き起こり、階段を降りたFRUITS ZIPPERのメンバーたちは円形ステージで360°へ向けてキラキラな“KAWAII”を解き放つ。最後にステージに招かれた藤澤は、メンバーの真ん中で踊ると「パワー!」と決めポーズ。ライブを終えた7人が引き上げるとそのままついて行ってしまう藤澤を若井が慌てて連れ戻す場面に、会場は大きな笑いに包まれた。

 次にプレゼンターとして登場し、会場をどよめかせたのは落語家の立川志らく。この日に合わせて着物、帯、羽織も手拭いも全身グリーンで統一する小粋なファッションでまず観客の心をつかむと、自身の両親や兄弟が音楽関係の職業であること、2人の娘がミセスのファンでありライブも一緒に行っていることを明かした。「私にはたぶんわかんないだろうなと思って聴いていたら、ものすごく心地がいいんです。ミセスの楽曲には昭和の音楽の風が吹いているんです。これがじつに心地いい」とその魅力を語った。「最近のナフサ不足によって、もしかしたらステージが白黒になっちゃうんじゃないかと心配しておりましたけど、そんなこともなく。今後もずっと私はミセスを応援していきます」と時事ネタを交えたオチをつけて喝采を受けた。

 怒涛の歓声の中、マキシマム ザ ホルモンが登場。「シミ」で圧巻のラウドサウンドを叩きつけると、Kアリーナはヘドバンの嵐に。超絶なブラストビートに乗ってステージ上で暴れまくるメンバーたちに煽られて興奮マックスとなった。ナヲがマイクを取ると「『CEREMONY』へようこそ! 泣いてるお友だちはいないかな? 大丈夫です、安心してください。中条あやみです」と第一声で笑いを誘う。ホルモンのことを苦手と思っている人もいるであろう、との気遣いから「食わず嫌いはよくない。今日はミセスからの試食の会でございます」と、まずはひと口食べてみてとばかりにライブを続行。「ボーダーレスを喰らう覚悟はできてますか!?」とイベントのコンセプトにかけた呼び掛けから、「三度の飯より」「飯が好き」のコール&レスポンスで場内に潜む腹ペコ(ファンの総称)たちを召喚して「maximum the hormone II~これからの麺カタコッテリの話をしよう~」へ。「Oi! Oi!」と拳を振り上げ激しいビートと照明が激しく点滅して、異世界へと誘われた。最後は“恋のおまじない”をレクチャーしてからの「恋のメガラバ(CEREMONY edit)」で、会場中が腕を上下に振りながら轟音の中でホルモンワールドに引きずり込まれて終了。前日から続いた洗練されおしゃれでかわいい『CEREMONY』の雰囲気を、コッテリ濃厚アブラマシマシに味変させたパフォーマンスだった。 

 元競泳日本代表の入江陵介がプレゼンターとして登壇。「ここまでのアーティストのみなさまのパフォーマンス、本当にアドレナリンが出すぎて、ちょっと今日寝れないんだろうなというふうに今思っています。大森さんとは以前一度対談をさせていただいたことがあります。その中で、大森さんの人柄はもちろん、音楽への思い、メンバーへの思い、本当にたくさんのことをお話いただいて、本当に真っすぐな方だなというふうに感じました」という入江は、ますますMrs. GREEN APPLE のファンになったという。「音楽は僕にとって一番の味方でした。だからこそ、本当に音楽に関わるすべてのみなさまに感謝の気持ちを今後とも忘れないように、僕自身も音楽を愛していきたいと思います」とスピーチして拍手を集めた。

 「みなさんこんばんは、TWSです」と、トリ前を務めるTWSがステージへ。昨年夏にリリースした日本デビュー曲「はじめまして」でしなやかなダンスと爽やかな歌を披露すると、8月に日本2ndシングル『SODA SODA』をリリースすることを告知。「You,You」ではEDMに乗せてワイルド且つ軽やかなダンスを見せた。「会場のみなさんも一緒にやってくれたらうれしいです」と振りのレクチャーをしてアーティスト、観客を巻き込むと、「OK, Let’s Go!」と合図して「OVERDRIVE」を躍動感たっぷりに歌い踊り、オーディエンスを大いに楽しませた。

 2日間の「CEREMONY」もいよいよ大詰めに。最後のプレゼンターとして登壇したのは、MCを務めた中条あやみ。手紙を取り出すと、「私にとって音楽とは、人生という映画の壮大なオーケストラです。今年でこのお仕事を始めて15年になり30歳という一つの節目を迎えようとしています。でも、これからやっとスタートに立つという気持ちがどこかにあります。今日ここにいるみなさんが過ごしてきた時間の長さは、人それぞれ違うと思います。でも、きっと一人一人のセレモニーにはいつも音楽があり、これからもいろんな音楽が人生と共に彩られる、そんな最高のオーケストラに私は今日もこの瞬間に出会えました。本当にみなさんありがとうございました」と、気持ちを込めて読み上げた。

 眩い光がステージを照らし、やがてグリーンの光が会場全体を包み込む。満を持してMrs. GREEN APPLEがステージに姿を現すと、大森が「CEREMONY!」と客席に呼び掛けて、「ANTENNA」でライブが始まった。上層階まで総立ちとなった会場に、間奏で若井が繰り出すタッピングソロがさらなる煌めきを添える。ステージ前に進み出た大森が「愛してるよ!」と叫ぶと、割れんばかりの嬌声が返ってきた。「クスシキ」ではAメロで自然に起こったクラップから、サビの躍動へと繋がっていき、赤と緑のライトによる演出が曲を彩った。曲のはじまりでドッと沸いた「風と町」で、映像カメラは大森を背後からの目線で捉え、壮観な客席の様子も映し出された。藤澤のピアノが導く「天国」で大森は、突き刺さるような冷たさと相反して触れたらやけどしてしまいそうな鬼気迫る熱唱。すべてのアーティストの情念を一身に受けたような迫力の名演となった。「まだまだいけますよね、CEREMONY!」と、明るくダンサブルな「GOOD DAY」へ。満員のオーディエンスの大合唱でライブが締めくくられた。

 2日間にわたるイベントを観て感じたことは、総合的なイベントとしての考え抜かれた創作クオリティの高さ。コンセプトはもちろん、照明、ビジョン、客席に於いても最新鋭のシステムを駆使できる演出と、観覧のしやすさが際立ったKアリーナという会場だからこそ可能だったアイディアも多いのではないだろうか。また、それらがアーティストのモチベーションとなり、最大限の力を発揮していたように思えた。

 エンディングを迎え、大森がマイクを握る。

 「第3回『CEREMONY』いかがでしたか? 冒頭に説明した、フェスでも対バンでも授賞式でもないということが体現できている気がして、すごく感無量です。創作とかクリエイティブとか表現者って、僕は本当に孤独だと思っています。自分のことをどれだけ疑って、どれだけ信じて、チームのことをどれだけ信頼して、疑って、頼って、愛を込めてっていうのをずっと繰り返すのってすごく刺激的で心強いですが、胸がキュッとなる日もあって、僕はそういうことをまた表現にぶつけることを原動力としてやってきたんですけども。理屈とか、斜に構えるとかそういうことじゃなくて、やっぱり音楽って最高だな、みたいなことを本当に心の底から感じることができました。賞とかチャートとかランキングとかいろんなものが僕らを突き動かすものもありますし、そういうことがパワーになったり原動力になることもあるんですが、勝ち負けとか優劣とかだけじゃなくて、表現、音楽、アーティスト、お客さん、この空間、ライブ、自己表現って本当に素晴らしいものなんだ。そんなことを思って、何か1つ勝ち負けとかを決められるよりも、すごくうれしくて悔しさも知れた、そんな『CEREMONY』になりました。一緒に作ってくださって、アーティストのみなさまも、関わってくださっているすべての方も、本当に愛を込めて心を込めてありがとうございます。また来年の『CEREMONY』でお会いしましょう! 以上、Mrs. GREEN APPLEでした!」と、最後はマイクを通さない生声で挨拶して、2日間の『CEREMONY』は幕を下ろした。

Text by 岡本貴之
Photo by 田中聖太郎写真事務所
Photo(マキシマム ザ ホルモン)by 齋藤タカヒロ

◎セットリスト
【Mrs. GREEN APPLE presents『CEREMONY』」】
2026年6月11日(木)神奈川・Kアリーナ横浜

上白石萌音
1. なんでもないや(movie ver.)
2. 懐かしい未来
3. メメント・モリ

ネクライトーキー
1. 北上のススメ
2. オシャレ大作戦
3. 余計なこと

サカグチアミ
1. 好-じょし-
2. 名前
3. 裸

FRUITS ZIPPER
1. はちゃめちゃわちゃライフ!
2. ぱわーオブらぶ
3. わたしの一番かわいいところ

マキシマム ザ ホルモン
1. シミ
2. maximum the hormone Ⅱ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~
3. 恋のメガラバ (CEREMONY edit)

TWS
1. はじめまして
2. You, You
3. OVERDRIVE

Mrs. GREEN APPLE
1. ANTENNA
2. クスシキ
3. 風と町
4. 天国
5. GOOD DAY


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