<ライブレポート>AKIRA TAKANO(高野洸)が見せるアーティストとしての矜持と決意 レーベル移籍後初ライブ

2026年3月20日 / 20:00

 俳優、アーティストとして活躍する高野洸が、AKIRA TAKANO名義では初となるフルライブツアー【AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON】を開催した。その東京公演は3月1日、竹芝ニューピアホールにて行われ、詰めかけたファンを熱狂させた。なお、今ツアーは全会場、昼夜2公演体制で開催されており、本稿では東京公演の夜公演をレポートする。

 実に鮮やかな意志表明だった。アーティストとしてすでに7年以上ものキャリアを持つ彼が、AKIRA TAKANO名義でレーベルを移籍、新たな音楽プロジェクトをスタートさせたのは昨年6月のこと。音楽に深く関わってゆくなかで、クリエイティブのより根幹に根ざした部分にもリーチしたいという意欲が彼を衝き動かしたのだろう。移籍前の3rdアルバム『Advance』においても全9曲中4曲の作詞を自身が手がけ、さらにそのうちの1曲「ゆらりゆらり」では初めて作曲にも携わるなど、すでにそうしたモチベーションの片鱗を覗かせていたが、移籍後、最初の配信シングルとなった「pinkcider」をはじめ、今ツアー開始前日に配信リリースされたことでも話題を呼んだ2曲の新曲「P.O.I.」「Well okay」においては、これまで以上にその手腕を存分に揮っていることがありありと見て取れる。

 何よりツアー直前に新曲を、しかも2曲も投下すること自体、並々ならない意気の発露と捉えていいはずだ。全国8都市を巡る【AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON】、その5都市目にしてツアー後半戦のとば口となった東京・竹芝ニューピアホールのステージで彼が示してみせたのは、AKIRA TAKANOの名のもとでいっそう真摯に、かつアグレッシブに音楽に取り組み、共に生きていかんとする覚悟そのものだったように思う。

 大盛況のうちに終演した昼公演の余韻も冷めやらぬまま迎えた夜公演。AKIRA TAKANOとしては初となるフルライブ、言うなれば彼の新たな第一歩をしかと見届けるべくして駆けつけたファンの熱気が尋常じゃなく濃い。場内をみるみると埋め尽くしてなお膨張する期待感、今にもはじけそうなほどに膨らみ切ったそのとき、ついに客電が落ちた。スピーカーから流れ出したのは荒い息遣い、そして力強い鼓動の音だ。スクリーンに映し出されたのは延々と続くトンネル、あるいは地下道のような映像、それが刹那、ホワイトアウトし、花畑が広がる——。このステージを目指してひた走ってきた彼の道のりを暗喩的に表現したようなオープニングの演出に、一気に高まる客席のボルテージ。4人のダンサーに続いて、TAKANOが姿を現した瞬間、割れんばかりの拍手と歓声が会場いっぱいに渦巻いた。

「今日は来てくれて、この場所を選んでくれてありがとうございます! 最後まで一緒に楽しんでいきましょう。」

 のっけからキレのあるダンスでオーディエンスを釘づけにするとTAKANOは声をはずませて挨拶、そうして1曲目にドロップしたのは「pinkcider」だった。先述したように、新プロジェクト始動の第一弾リリースとなった楽曲をライブの幕開けを飾る位置に配したのは、やはり“ここからが始まりだ”という強い気持ちの表れだろう。恋する気持ちをピンク色に染まったサイダーに喩えたポップなリリック、鼓膜をくすぐるように展開するラップもひときわ心地よく、あっという間に客席を自身の世界観に惹き込む。原曲では〈ここだなって決めて/君が今まで以上に/はしゃげるプラン/本気で練ってみるよ〉と綴られた詞を、〈ここだなって決めてきた/東京竹芝で/はしゃげるプラン/本気で練ってみたよ〉とアレンジして披露するというライブならではのギミックがまたニクい。

 この夜公演がニコ生にて独占生中継されていることに触れ、「画面の前のみなさんも楽しむ準備はできていますか?」とカメラの向こうにいるファンにも呼びかけたTAKANOは「一人ひとり自分に合った楽しみ方で最後までゆったりしてほしいです。声を上げてもいい、手を挙げても、静かに観るでもいいから自分の好きな形で最後まで楽しんでいってもらえたら」と想いを伝え、アーバンなR&Bテイストの「tiny lady」、浮遊感のあるサウンドで客席を柔らかに揺らす「UFO」を立て続けにパフォーマンス。さらに「次は撮影OKな曲です」と自らアナウンスして最新曲「P.O.I.」に突入する。

 軽やかなトラップビートに乗せて届けられるのは、偉人やほかの誰とも比べることなく自分らしさを誇って生きようというタフでリアルなメッセージ。タイトルの「P.O.I.」とは詞のなかのワンフレーズ“Parts Of Identity”を略したワードだろう。自分のなかの強さも弱さもすべてはアイデンティティの構成要素なのだからと存在を丸ごと肯定、この場にいる全員の背中を力強く押してくれる「P.O.I.」のなんと頼もしいことか。観客が嬉々として掲げたスマートフォン、その一つひとつに収められたステージの模様はもしかしたらこの先、お守りみたいに一人ひとりの人生を励ますものとなるのかもしれない。

 和の余韻を滲ませたサウンドに高難度ラップが絶妙に寄り添った美しい1曲「ゆらりゆらり」に、ファルセットからウィスパーボイス、迫力のロングトーンまで声の魅力も存分に堪能できるダンスチューン「SECRET」、狼の遠吠えから始まるイントロや旋律に含まれたアラビックなニュアンスがたまらなく妖艶な「Werewolf」と高野洸名義の楽曲も交えつつ、折々にはダンサーとの掛け合いも刮目のダンスパートも差し挟みつつ、まばたきする隙も与えぬ勢いで一気に駆け抜け、たどり着いた終盤戦。ラストスパートのタイミングでTAKANOが放ったのは「P.O.I.」と並ぶ最新曲「Well okay」だ。

 直前のMCでTAKANOは「上手くいかない日や何もできなかった日、帰り道にいろいろ考え込んでしまったりもするけど、『まあいいか』『Well okay』って笑い飛ばせたら。そういうときに聴いてほしい曲です」とこの曲について語った。「P.O.I.」が力強い全肯定の曲ならば、「Well okay」は上手くいかないこともそれはそれとして受け流す、おおらかさとしなやかさを兼ね備えた曲と言っていいだろう。「タオルを持っている方は一緒にサビで回しましょう」「オーケー!」「あと、リリースしてすぐですけど、一緒に歌ってもらえたら嬉しいです」「オーケー!」と曲タイトルになぞらえたコール&レスポンス的やり取りも微笑ましく、場内はたちまち温かな一体感で満たされた。

 しかし、何より目をみはるべきは本編を締めくくったのが、今ツアーが初披露となる未リリース曲「MIRROR」だったことではないだろうか。「P.O.I.」と「Well okay」が今ツアーの主要な二軸となって、ツアータイトル通り、彼の新たなモードをオンにしたことは間違いない。だが、AKIRA TAKANOはそのさらに先に見つめているものまでも提示してみせたのだ。地を這うような太いグルーブと畳み掛ける挑発的なラップがスリリングな印象を残すこの1曲に俄然、オーディエンスの高揚が募る。

 アンコールでは昨年、フィーチャリングボーカルとして参加したロックバンド・THE SIXTH LIEの配信リリース曲「スクランブル・ライン(feat. 高野洸)」のセルフカバーや、アーティスト活動を開始した初期の楽曲「WARNING」を披露して客席を沸かせる一幕も。オーラスは彼も作詞を手がけている高野洸名義の6thシングル「ASAP」で大団円。セットリストを振り返れば、新旧織り交ぜながらも、作詞あるいは作曲においてTAKANOの名がクレジットされた楽曲が数多くラインナップされていることに気づく。ここにもまた彼の、アーティストとしての矜持と決意を感じずにはいられない。

「AKIRA TAKANOとして初めてのフルライブ。今までと全部が全部、変わったわけではないですが、自分の意識も含めて変えていきたい部分はあって。至らない部分だったり、強み、弱み……そういったものをみなさんにさらけ出すことも隠すこともあると思います。でも何よりも大事にしたいのは、これまで以上にライブでかっこいい姿を見せるということ。そう思ってこのライブを作ってきました。」

 この日、オーディエンスに真正面から対峙して、心の内をそう明かしたTAKANO。【AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON】を完走した彼が、そう遠くはない未来に見せてくれるだろう次の“かっこいい姿”を今は心待ちにしていたい。

Text by 本間夕子
Photos by 木村直軌(Tweety)
提供:SwING PLANT

◎セットリスト
【AKIRA TAKANO LIVE TOUR 2026 MODE ON】
※2026年3月1日(日)竹芝ニューピアホール公演
1. pinkcider
2. tiny lady
3. UFO
4. P.O.I.
5. zOne
6. ゆらりゆらり
7. SECRET
8. Wonderful World
9. Werewolf
10. Well okay
11. MIRROR
<アンコール>
1. スクランブル・ライン(feat. 高野洸)
2. WARNING
3. ASAP

◎リリース情報
「MIRROR」
2026/3/21 DIGITAL RELEASE
https://nex-tone.link/A00213703


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