シザ、「AIのせいで戦争状態にある気分」と人工知能が生成する音楽を非難

2026年3月9日 / 18:10

 シザは、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で1位を獲得したアルバム『SOS』の中で自ら「機械の中の幽霊」と呼んだ人工知能に対して、何年にもわたり怒りをぶつけてきた。

 そして今回、この【グラミー賞】受賞シンガーは英i-D誌のインタビューに応じ、音楽における人工知能の利用が急速に拡大する中で、黒人アーティストにとって潜在的な存亡の危機であると彼女が位置づける問題に対し、その切っ先を鋭く研ぎ澄ませている。

 「AIのせいで、まるで戦争状態にある気分よ」と彼女は同誌に語った。同誌は、彼女が前述の楽曲をリリースして以来、AI生成による楽曲や、ザニア・モネ(Xania Monet)、アンバウンド・ミュージック(Unbound Music)、ブレイキング・ラスト(Breaking Rust)といったAIアーティストたちが米ビルボード・チャートに影響を与え、ストリーミングで顕著な数字を記録している点に言及している。

 シザは、AIの浸透が“不釣り合いなほどブラック・ミュージックにおいて”起こっていると嘆き、次のように疑問を呈した。「オリヴィア・ディーンがようやく世に出たばかりなのに、なぜ彼女のAIカバーを聴かされるわけ? 彼女は(自分の声を使われているのに)ストリーミングの収益すら受け取れない。それに、AIから生み出されるブラック・ミュージックのタイプにも本当に腹が立つ。奇妙でステレオタイプな、ストラグル・ミュージック(苦悩や困難を歌った音楽)ばかりだから」

 昨夏、シザはAIがもたらす環境への悪影響についての自身の考えをInstagramのストーリーに投稿し、「ねえ、私はAIが嫌い…AIのエネルギーセンターが生み出す害や汚染のせいで、人々や子供たちが死んでいる」と記した。これは、全米各地で建設が進む巨大なAIデータセンターが膨大な量のエネルギーと水を吸い上げ、多くの場合、黒人や有色人種のコミュニティに偏った悪影響を及ぼしている状況を指していると思われる。

 「AIを稼働させるのにどれだけのエネルギーと汚染が必要か、どうかググってみて」と彼女はインスタグラムのコメントに付け加えた。「Twitterの新しいAIシステムのせいで苦しんでいる、メンフィスのような美しい黒人の街についてググってみて…“環境レイシズム”で検索してほしい。AIはあなたが生きようが死のうが知ったこっちゃない、それは保証する。便利さには代償が伴い、黒人や有色人種が毎回その矢面に立たされることになるのよ」

 AIが音楽業界やクリエイティビティをどこへ導くのかを警戒するシザは、これは自分とポップ・チャートのライバルたちとの戦いではなく、自分とあの忌まわしい機械との戦いなのだと語った。「私はポップスの女の子たちと競っているわけじゃない。R&Bの女の子たちと戦っているわけでもない」と彼女は言う。「私が立ち向かっているのは、反知性主義と、安易に物事を済ませようとする風潮よ。私の人間としての経験がもたらす情報のブレンドは、AIにプロンプトを出したところで到底太刀打ちできないもの。私はただ、この怒りや不安を原動力にして、奇抜な方向へと突き進んでいきたい」

 彼女が反撃に出る方法の一つは、スタジオに入り、『SOS』に続く次作の制作に取り組むことだ。彼女は、2017年のデビュー・アルバム『Ctrl』では「自分を際立たせ」、曲が書けることを世間に知らしめたかったと語り、その後、“Billboard 200”で通算13週首位を獲得した『SOS』では「メインストリームの空間」へ食い込むことに狙いを定めたと説明した。セッションについて多くは明かさなかったものの、8月には自身の裏アカウントでストリングスが効いた楽曲の一部を公開した。

 彼女がセッションについて語ったのは、彼女のフリースタイルに合わせてゼロから生のビートを作り出すライブ・バンドとの作業など、「あらゆることに少しずつ手を出している」ということだ。このセッションにはスティーヴ・レイシーもふらりと参加し、彼女が言うところの詳細不明な「ちょっとしたランダムなプロジェクト」が行われたという。

 「今はただ脳と心を開いて、最高に人間らしいものを引き出そうとしているところ」と彼女は語り、「“人間性”こそが私の原動力なの。残されたものを守り抜くこと、今あるものを極限まで表現すること、そして必死の切実な願い…私は今、たまらなく人間であることを感じているわ」と、機械の容赦ない進軍に対抗するため、血の通った自身の側面を深く掘り下げていると述べた。


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