<ライブレポート>timelesz、経験も個性も異なる8人の成長と絆が結実した東京ドーム最終日

2026年2月16日 / 18:00

 運命のあの日から、ちょうど一年。社会現象となったオーディション番組『timelesz project -AUDITION-』(通称タイプロ)の最終審査が行われ、timeleszが新体制としてスタートを切った同じ2月5日に、8人は超満員の東京ドームのステージに立っていた。タイプロが世間を虜にした熱狂は、その“物語”を今も鮮やかに描き続けている。昨年夏に新体制後初のアリーナツアーを成功させ、その後12月~2月にかけてtimeleszとして初のドームツアー【We’re timelesz LIVE TOUR 2025-2026 episode 1 FAM DOME】を開催。新メンバーの中でも特に一般から加入した通称ひよこ組(橋本将生、猪俣周杜、篠塚大輝)にとっては、超異例のスピード感での大舞台だ。2012年のSexy Zoneの1stコンサートからtimeleszとなった現在まで、彼らの全ツアーを取材してきたエンタメライターの目線で、2月5日の東京ドーム最終公演を振り返る。

 開演時刻が近づき、彼らの今の勢いをそのまま映したような期待感と熱気が充満する東京ドーム。どこからともなく響いてきたのは「timelesz!!」コールだ。これまでも開演前のコールはあったが、約55,000人による“timeleszコール”を東京ドームで聞くのは初。この時点ですでに胸がいっぱいになったファンも多かっただろう(後のMCでは、松島聡が「始まる前のコール嬉しかったね」、菊池風磨が「(客席の)ポテンシャルやばくない?」と喜びを口にしていた)。

 オープニングはアリーナツアーと同じ「Rock this Party」。菊池の「ドームラスト、ぶっ放していくぞー!!」に続き、ほかのメンバーもシャウトや手を上げて煽り、ド頭から最高潮の空気で会場を満たしていく。半年前に横アリで「Rock this Party」を見たときよりも堂々として、一人一人の表情からは自信やいい意味での余裕がのぞく頼もしい幕開けだ。寺西拓人はソロパートで歌声が昂り、その“全力”がタイプロ最終審査「RUN」で感情を溢れさせた一年前の姿と重なる。松島の〈リューズ巻いて今飛び出せ〉も、筆者が知る中で最も力強く、相当な気合いが伝わってきた。

 その後もメンバーの“進化”に興奮が止まらない。「Freak your body」の橋本は歌の表現力と色気が格段に増し、指を口に当てるポーズなど、この事務所のアイドルらしい動きのニュアンスに余裕が生まれていた(恐ろしいほどの成長スピードだ)。アリーナツアーで披露されなかった「RIGHT NEXT TO YOU」は、Sexy Zone時代でも屈指の高難度ダンスナンバー。タイプロ4次審査で寺西&篠塚が履修済みとはいえ、早くも8人で挑むのか……と固唾を飲んだ。高く上昇した後方ステージで、刻々と変化するフォーメーションを自分たちのものにしながら鋭く美しく踊る8人。見せ場のダンスブレイクも確かなチームワークで決め、その裏に積み重ねられた努力を思うと胸が震えた。

 リレー形式でメンバーを紹介する「We’re timelesz」では、メンバーが花道に散らばり360度のsecondz(ファンの呼称)を盛り上げる。客席との掛け合いも一体感は抜群で、全員の決めぜりふや愛嬌、ジェスチャーも8人8色の魅力に溢れている。走り出して一年のグループとは思えないポテンシャルに唸らされた。

 グリーン生地とオリジナルデニムを基調とした新衣装のブロックでは、タイプロを彩った楽曲を次々投下。炎に気勢がブチ上がった「Anthem -episode1-」、オーディション課題曲の「New phase」「人生遊戯」「SWEET」を披露する。アリーナより広いステージで輝くにはさらなるスキルの底上げが不可欠だが、8人はドームのメインステージで堂々と躍動し、多くのsecondzを納得させた。タイプロの名シーンの一つ、「人生遊戯」で佐藤勝利が振りかぶるダンスもいつも以上にキレキレ。そうしたオリジナルメンバーの気概も全体のパッションを牽引していた。

 ジャジーな空気に一変し、横一列のマイクスタンドで歌った「THE FINEST」も絶品。寺西の歌い出しの安定感、多くの舞台経験で培った原嘉孝のしなやかな立ち姿、ひよこ組のアダルトな表情管理にも胸を撃ち抜かれた。

 MC明けの「名脇役」は、正直、新体制で聴きたいような聴きたくないような曲だった。Sexy Zone時代の超人気曲で、かつての歌割を大事にするファンも多いからだ。しかし8人は誠実なリレーで紡ぐ歌声で、丁寧に上書きしてくれた。特に篠塚の歌唱力の成長を感じ、サビを歌った寺西・菊池の上手さ、橋本の繊細なファルセット、猪俣の儚い歌声が心に刺さる。橋本の主演ドラマ『ひと夏の共犯者』のテーマ曲「Limited Nights」はドームが初披露。レーザー演出と、しなやかに足を滑らすような移動が鮮烈で、一瞬でこの曲の虜になってしまった。

 後半のハイライトはSexy Zone時代の曲を詰め込んだマッシュアップメドレー。「NOT FOUND」「ROCK THA TOWN」「Cream」「King & Queen & Joker」「Sexy Summerに雪が降る」「Lady ダイヤモンド」「最後の笑顔」の7曲がノレる新アレンジで披露され、ボルテージは急上昇だ。ライブ本番前の囲み取材で菊池が「これから前に進んでいくタイミングで、佐藤、松島、菊池はSexy Zone時代に挨拶をしたい。新メンバー5人は“その時代のそれぞれの今までの道” への挨拶にしてほしい」と語ったが、その意図に感服。新メンバーがリスペクトを持ってオリジナルの振り付けを踊る姿に、ファンもポジティブな想いを刻んだはずだ。

 本編ラストは佐藤の「まだまだ行けるか!!」で始まった「RUN」。一年前、東京ガーデンシアターでファイナリストたちが涙で歌った曲が、東京ドームで新体制の8人によって響く。メンバーたちにも溢れ出る想いがあったのだろう。松島の真っすぐな〈信じた〉、お互いの顔を見合うサビ、最後の橋本のフェイクまで、目の前が滲むほど強く心を揺さぶられた。

 アンコールは気球型バルーンで登場し、地上約25メートルの高さから手を振る8人。降りてからは寺西と原が髪をわしゃわしゃし合い、菊池に自分の頭を預けて甘える松島など、リラックスした姿も。鳴り止まない声にライブはWアンコールへ進み、メンバーの「timelesz一周年!」に続いてsecondzが「おめでとう!!」と祝福の言葉を。誰一人置いていかない、とても温かな空気で幕を閉じた。

 アイドルを長く追う楽しみの一つに“ストーリー”があると思うが、このグループほどそれが顕著な人たちはいない。佐藤・菊池・松島はSexy Zoneで紆余曲折を経験し、今、timeleszとしてステージに立っている。2012年の1stコンサートをふと思い出した。10代の菊池は、ガムシャラなエネルギーと光力を誰よりも放って東京国際フォーラム(ホールA)を駆け回っていた。「死ぬほど売れたい」――当時から根っこはブレていないのだろう。今回の最後の挨拶でも「日本のアイドルって言ったらtimeleszだよねと言ってもらえるように。僕たち8人とスタッフ、secondzも含めて、みんなで死ぬほど売れましょう!」と呼びかけた。これは虚栄でも、もはや青さでもない。まだ誰も見たことのない場所へsecondzを連れていくという、誠実なプロポーズなのだと思う。

 佐藤はそこに立つだけで場を掌握する“センター力”が健在で(グループは偶数になったけれど)、今回のInterコーナーで見せたギターなど、武骨な魅力が今後さらに際立っていくかもしれない。松島は親しみやすい人柄でグループのバランサーとなり、寺西・原という先輩の新メンバーが入ったことで無邪気な表情が増えた。オリジナルメンバーの3人がtimeleszとしてどんな景色を見にいくのか、今後がますます楽しみになる。

 寺西・原の元俳優部チームは、その存在が本当に強い。実力と経験がグループの“パフォーマンスインフラ”を担保しているのは間違いなく、長く歌われてきた楽曲をより豊かな世界観へと昇華させていた。

 ひよこ組の成長は恐ろしいほどだ。囲み取材で松島が「覚醒している」と表現したが、歌やダンスはもちろん、ドーム規模の演出や動線把握など覚える課題は山ほどあるはずだ。その中で橋本と猪俣はオリジナリティを加えて歓声をさらい、未経験で入った篠塚は、アリーナよりさらに自然に動きで違和感なくステージに馴染んだ。タイプロ合格発表時に佐藤が贈った言葉――「僕たちがあなたを背負うから、ずっと食らいついてほしいし、乗り越えられると本当に心の底から思います」を今もひたむきに体現している。まさに“覚醒の一年目”、そう呼びたくなる夜だった。

 新体制から一年。ドームは早すぎる到達点にも見えたが、ステージ上の8人は確かにこの場所にふさわしい説得力を手にしていた。グループ名も人数も形も変わったが、ステージで見せる真っすぐさは不思議なほど変わらない。取材席から見ていて、筆者は“可能性”という言葉を何度も思い浮かべた。経験値も個性も違う8人が、何の因果か、さまざまなストーリーの先で“家族”になったのだ。ここから先のtimeleszは、きっと、もっとおもしろい。

Text by 川倉由起子


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