イェー、反ユダヤ的発言を謝罪 「無謀な行動」は脳損傷が原因と説明「私はナチではない」

2026年1月27日 / 13:00

 イェー(旧名カニエ・ウェスト)が再び謝罪を表明した。現地時間2026年1月26日付の米ウォール・ストリート・ジャーナルに全面広告を掲載した彼は、ここ数年にわたる反ユダヤ的なヘイト・スピーチについて、ユダヤ人コミュニティに向けて謝罪した。

 彼はまた、ブラック・コミュニティや、自身の突飛な言動や不安定な行動によって“傷つけてしまった人たち”にも言及した。米シカゴ出身の彼は、広く知られている2002年に顎を骨折した交通事故について言及し、その際に負った脳損傷が現在の自身の行動につながった可能性があると説明した。

 「25年前、私は交通事故に遭い、顎を骨折し、脳の右前頭葉を損傷しました。当時は、骨折や腫れといった目に見える損傷や、直後の身体的外傷に焦点が当てられていました。しかし、頭蓋骨の内側にある、より深刻な損傷は見過ごされていました」と彼は記している。

 イェーは、この脳損傷が適切に診断されなかったことで、双極性障害などのメンタルヘルス上の問題につながったと説明した。米国立衛生研究所が発表した2023年の症例報告「外傷性脳損傷による双極性障害」では、「TBI(外傷性脳損傷)を負った人は、双極性障害を発症する可能性が1.28倍高い」とされており、特に11歳から15歳の間に負傷した場合にその傾向が強いとされている。また同報告では、「TBIは脳の炎症を引き起こし、それがメンタルヘルス上の問題につながると考えられている」とも指摘されている。

 彼は、「双極性障害には、それ自体に防衛機制があります。それは“否認”です。躁状態にあると、自分が病気だとは思えません。周囲が過剰反応しているだけだと感じてしまう。自分はこれまで以上に世界をはっきり見ていると思い込む一方で、実際には完全に現実感覚を失っているのです」と続けた。

 さらにイェーは、「私は深く後悔するような発言や行動をしてきました。最も愛している人たちに対して、最もひどい態度を取ってしまった。あなたたちは恐怖、混乱、屈辱、そして、ときに別人のようになってしまった人間を愛そうとすることの疲弊を耐え忍んできました。振り返ると、私は本当の自分から切り離されてしまっていました」と述べている。

 彼は、Yeezyのマーチャンダイズに使用していたハーケンクロイツ(鉤十字)についても言及した。いくつかの“断絶した瞬間”において記憶の欠落があり、いまもなお思い出せない出来事があると主張している。「その壊れた状態の中で、私は最も破壊的な象徴であるハーケンクロイツに引き寄せられ、それをあしらったTシャツまで販売してしまいました」と彼は記し、「双極性障害1型に伴う困難の一つが、いまも思い出せないほどの断絶した瞬間です。それらが、判断ミスや無謀な行動につながり、しばしば体外離脱のように感じられました。その状態で取った行動を、私は後悔し、深く恥じています。そして、責任、治療、そして意味のある変化にコミットしています。ただし、それは私の行為を正当化するものではありません。私はナチでも反ユダヤ主義者でもありません。私はユダヤの人々を愛しています」と述べている。

 名誉毀損防止同盟(ADL)は、米ビルボードに寄せた声明で、イェーの謝罪を“あまりにも遅い”と評した。「イェーによるユダヤの人々への謝罪はあまりにも遅く、自身が制作した反ユダヤ的な楽曲である“ハイル・ヒトラー”、数百に及ぶツイート、ハーケンクロイツ、数々のホロコーストへの言及といった、長年にわたる反ユダヤ主義の歴史を自動的に帳消しにするものではありません。それらがもたらした傷つきや裏切られたという感情も同様です。真に謝罪といえるのは、今後反ユダヤ的な行動をとらないことです。回復への道のりにおいて、彼の幸運を祈ります」とADLの報道官は述べている。

 イェーはまた、昨年初めに自身の人生を破壊するほどの“躁状態”に陥り、生きていたいと思えなくなるほど追い込まれたことも明かした。「失望させてしまって本当に申し訳ない。私たちを愛しています。2025年初頭に私は4か月間にわたる躁状態に陥り、精神病的で、被害妄想的で、衝動的な行動が私の人生を破壊しました。状況がますます持続不可能になる中で、ここにいたくないと思うこともありました」と彼は綴っている。

 イェーは、人生における“新たな”明晰さを見出したとし、闘いの中で前進を続けるために、投薬にセラピーや運動を組み合わせた“効果的な”治療に取り組んでいると付け加えた。最後に彼は、同情ではなく、今後に向けた忍耐を求めた。「投薬、セラピー、運動、そしてクリーンな生活を組み合わせた効果的な治療を通じて、新たな基準と新たな中心を見つける中で、私は切実に必要としていた新たな明晰さを得ています。私は音楽、衣服、デザイン、そして世界を助けるための新しいアイデアといった、前向きで意味のある芸術にエネルギーを注いでいます。私は同情や特別扱いを求めているわけではありません。許しを得たいとは思っていますが、今日この文章を書いたのは、家へ帰る道を見つける間、忍耐と理解をお願いするためです」と結んでいる。

 イェーは2022年の一連の反ユダヤ的発言を受け、バレンシアガ、ユニバーサル・ミュージック・グループ、アディダス、ギャップなどが相次いで彼との関係を解消した。2025年11月には、ラビのヨシヤフ・ヨセフ・ピント師と面会し、責任を取ることと、ユダヤ人コミュニティへの謝罪を行っている。

 音楽面では、イェーはニュー・アルバム『Bully』のリリースを準備している。今月後半には、メキシコシティでの2公演(1月30日、1月31日)でステージ復帰を果たす予定となっている。


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