<ライブレポート>ギタリストひぐちけい、コレサワ/東京女子流/のん/ヒグチアイと届けた一日限りの温かなステージ

2025年12月11日 / 18:00

 2025年11月30日、ビルボードライブ横浜にて【Play Like Kids▽ with ひぐちけい、コレサワ、東京女子流、のん、ヒグチアイ】が開催された。ギタリスト・アレンジャーのひぐちけいが自身と縁の深いアーティストたちを招き、スペシャルなステージを届けたこの日。ひぐち率いるホストバンドと共に、歌声と音色が重なり合った1stステージをレポートする。

 ステージはホストバンドの登場から幕を開け、ひぐちは笑顔で観客に声をかける。「遊びに来てくれてありがとうございます。手拍子や声出しで一緒に盛り上がってくださいね」という言葉に、拍手と歓声がすぐに返ってくる。

 トップバッターのコレサワは、「▽人生▽」で軽やかにライブをスタートさせる。ステージを歩きながら歌い、ひぐちと視線を交わす姿は実に楽しそうだ。途中で「私と一緒に声を出してもらってもいいですか?」と観客とともに歌い、ライブは早くもエンジン全開だ。ここでコレサワとひぐちがライブハウス・渋谷gee-ge.で出会ったことや、ひぐちが初めてギャラをもらったのがコレサワからだったことなど、思い出話に花を咲かせる。そして「たくさん集まってくれて嬉しいね」と、無邪気な笑顔を見せていた。「浮気したらあかんで」では、全員で〈あかんで〉の掛け声を練習し、手拍子をしたり、声を出したりして一体となって楽しんでいく。すると「ここで、私が東京で出会った素敵なガールズたちを呼んでもいいでしょうか」と東京女子流のメンバーを呼び込み、さらにステージは賑やかに。わちゃわちゃしながら楽しげに歌声を届けていった。

 コレサワからバトンを受け継いだ東京女子流は、「一緒に楽しんでいきましょう」と「Viva La 恋心」を歌声だけでパフォーマンス。その安定感あるパフォーマンスからは、積み重ねてきた歴史が感じられた。ひぐちとは2017年のライブからの付き合いだそう。中江友梨が語る「けいちゃんのファミリーが集まったこの空間が嬉しい」という言葉に、「入ってくるまでは緊張していて、誰だよって思われるかなとか。そうしたら、知っている人がすごいいて。久しぶりの人もいっぱいいて」とひぐちの笑顔が重なる。続く「Hello, Goodbye」で、しっとりとしたハーモニーに耳を奪われていると、ヒグチアイを呼ぶ流れに。オーディエンス含め、全員から「アイちゃーん」と呼ばれて登場したヒグチアイとともに、「ガールズトーク」をパフォーマンスしていく。前奏部分の“ガールズトーク”も、この日ならではのオリジナルバージョンだ。しかも本番で急に披露したらしく、ひぐちは「仕組んだでしょ? リハでやってなかったのにやらせたでしょ」と驚いていた。

 ヒグチアイのステージは、「最後にひとつ」でスタート。実の妹であるひぐちとの息の合った演奏に、思わず手拍子をしたくなる。「ここでもう1人コラボしたいなと思います」と呼び込まれたのはコレサワ。リリースされる前に「たばこ」を3人でレコーディングしたことがあったそうで、それを再現していく。ステージには3人のみ。それぞれの歌声と音色が溶け合い、楽曲の世界観だけでなく、3人の歴史も垣間見えた気がした。ふわふわした緩いMCから一変、続いたのは「悪魔の子」。迫力あるヒグチアイの歌声に、オーディエンスたちも食い入るようにステージに見入っていた。ここでもう1人のゲスト、のんがステージに登場。「劇場」で繊細かつ自由な歌声を重ねる姿を噛み締めていると、いつの間にか楽曲が終わり、ヒグチアイはそっとステージを後にした。

 続いては、のんのステージだ。ナガシマタカト(Dr)、なかむらしょーこ(Ba)はひぐちとともにのんのライブをサポートしており、お馴染みのメンツといったところだろう。しかも、北村真奈美(Key)も含めたハウスバンドメンバーは全員末っ子とのこと。それを聞いた長女ののんは「おもしろい! 思う存分お姉ちゃんでいさせてもらおう」と、ギターを手に取る。始まったのは「夢の味」。のんが作詞、ひぐちが作曲・編曲を担当した同曲は、疾走感あるロックテイストの楽曲。一体感と高揚感が伝わったのか、演奏が終わると客席からは「うぇーい!」と歓声が飛んでいた。続けて「きれいな靴はいて」へ。ひぐちが楽曲提供をした同曲はどこか切ない雰囲気で、先ほどとは違ったのんの一面を引き出していった。のん曰く、同曲は「桐箱に入れておきたい曲」だそう。そして「次の曲も桐箱に入れたいくらい大事な曲」と語り、「春よ受けて立つ」へ。爽やかに、大切そうに、そして楽しそうに歌うのんの姿が印象的だ。青春のような煌めきも感じていると、「次で最後の曲になります」という名残惜しくなる言葉が聴こえてくる。三度コレサワを呼び込み、「クライミー」でクラップと笑顔が広がる中、東京女子流とヒグチアイも合流。最後は全員で手をつなぎ、ジャンプをしてライブを締めくくっていた。

 ライブを終えて最初に感じたのは、何より“温かさ”だった。ひぐちのギターの音色、そして自然体な人柄が会場の空気を作っていたのだろう。おもちゃ箱をひっくり返したように多彩な楽曲が並ぶ中、それぞれの個性が光りつつも、家族のような温かさにあふれていた同ライブ。こんなにもハッピーなライブになったのは、ひぐちが築いてきた各アーティストとの絆があってこそだ。ぜひ一人でも多くこの空気感を味わってほしい。そんなふうに思えるライブであった。

Text:高橋梓
Photo:久保寺美羽

◎セットリスト
【Play Like Kids▽with ひぐちけい、コレサワ、東京女子流、のん、ヒグチアイ】
2025年11月30日(日)1st Stage
1. ▽人生▽
2. 浮気したらあかんで
3. Viva La 恋心
4. Hello, Goodbye
5. ガールズトーク
6. 最後にひとつ
7. たばこ
8. 悪魔の子
9. 劇場
10. 夢の味
11. きれいな靴はいて
12. 春よ受けて立つ
13. クライミー

2025年11月30日(日)2nd Stage
1. ▽人生▽
2. にゃんにゃんにゃん
3. フォーリンラブな時
4. Hello, Goodbye
5. ガールズトーク
6. 最後にひとつ
7. たばこ
8. 悪魔の子
9. 劇場
10. 夢の味
11. きれいな靴はいて
12. 春よ受けて立つ
13. クライミー

※「▽」=白抜きハートの記号

 


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