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ハロウィーンが終了した翌日、つまり街中が華やかなイルミネーションに包まれるホリデー・シーズンの幕開けである11月1日、クリスマスの女王といえるマライア・キャリーが来日公演【THE CELEBRATION OF MIMI 2025 JAPAN】を神奈川・横浜Kアリーナにて開催した。
ここ最近、毎年この日になるとシーズンの幕開けを告げる動画を公開し、世界中の人々にワクワクを与えているマライアは、この日も開演前に恒例のビデオを公開していた。マライアの「It’s Time!!!!」という声と同時に、退廃とした風景が煌びやかに変化していく様子を表現していたが、このステージ上でも彼女がこれまで発表したアルバムのアートワークやミュージック・ビデオの数々がスクリーンに映されると、会場からは大きな歓声と拍手が湧き上がる。作品それぞれに、自分の人生の道のりを重ねて感慨深そうに見つめている観客の姿も多かった。
そしてマライアが、ダンサーのエスコートで登場すると「It’s Time!!!!(ついにその瞬間が来た!)」というような熱気が会場に包まれる。デビュー当時を連想させるボディコンシャスなミニのワンピースをまとい(ちなみに、今回の衣装はどれもスパンコールが散りばめられた<グリッター>な装い)、発売されたばかりのアルバム『Here For It All』から「Type Dangerous」、そして1991年にリリースされ米ビルボード“Hot 100”で3週連続首位を獲得した「Emotions」を披露する。特長の突き抜け感がある痛快なホイッスル・ボイスは、発売から30年以上経っても健在。その声をキープさせ続ける彼女のエンターテイナーとしてのたゆむことがない努力、プライドに圧倒された。さらに、その声は93年にリリースされ同チャート8週連続1位を獲得した「Dreamlover」においても惜しみなく響かせ、会場を当時の街の喧騒へとタイムトリップさせたのだった。
ここでステージの第一章(アクト1)が終了し、しばし貴重なインタビュー映像やダンサーたちのパフォーマンスが繰り広げられたのちに、マライアが自身のフェイバリット・カラーであるピンクのワンピで登場し、アクト2がスタート。「みなさん、スマートフォンの照明をステージに向けてください」と伝え、その様子に「ビューティフル」と感嘆の声をあげ、93年に発表され日本では中山美穂がカバーしたことでも知られる「Hero」と、94年リリースの「Without You」(英国バンド、バッドフィンガーの70年発表曲カバー)のバラードを熱唱。観客からの光を浴びながら歌う姿からは、さまざまなことが起こる世界をすべて包み込んで、平穏にしたいという真摯な思いが伝わる。また、彼女のピュアなボーカルに、全員が息をのんで見つめていた。
その後、雰囲気はガラリと変わり、95年に発表され、“Billboard Hot 100”で女性ソロ・アーティスト初となる初登場首位を獲得した「Fantasy」、97年リリースの「Honey」とダンスチューンをパフォーマンス。普段ステージ上ではダンスらしいことをせず、威風堂々と歌うことに集中しているマライアであるが、「Fantasy」のときには一瞬ダンサーに促され、楽しそうにステップを踏んでいる姿が印象的だった。その後、97年リリースのバラード「My All」を熱唱し終えると、観客に向けて「愛してます」と日本語でメッセージを送り、「次の曲はみなさんも歌ってね」(こちらは英語)と96年発表の「Always Be My Baby」をパフォーマンス。カラオケルームさながらの盛り上がりを見せ、会場の一体感をさらに強めた。
アクト3では、シルバーのドレスへとチェンジし、今回のツアーのバンドマスターであるダニエル・ムーアとのデュエットで13年発表の「#Beautiful」や、02年にフィーチャリングで自身が参加したバスタ・ライムスの「I Know What You Want」、そして今回のツアータイトルになっている05年にリリースされその年のNo.1ヒットとなったアルバム『The Emancipation Of MIMI』(以降MIMI)から「Say Somethin’」(途中でバルキーなヘアメイク・アーティストが登場し、マライアをお直しする場面がキュートだった)、「Shake It Off」をパフォーマンス。発売から20年が経過していることが信じられないくらい、エッジィな輝きを放つサウンドに多くの人が魅了。セレブレイト(祝祭)感が会場を包んだ。
そして、本編のフィナーレとなるアクト4では、ゴールドのシアーなロングドレスで登場。アルバム『MIMI』より「Its’ Like That」をゴージャスな雰囲気で披露すると、スタンドマイクに切り替え同作収録の「Don’t Forget About Us」をホイッスル・ボイスを交えながら熱唱する。そして、本編ラストでは14週連続で1位を獲得し、00年代で最も全米でヒットした楽曲になったバラード「We Belong Together」をパフォーマンス。これら2曲からは「日本での瞬間を決して忘れることはない。どんなに遠くにいても私たちの心は永遠に繋がっている」というマライアのファンへのメッセージを感じることができた。
感動に包まれたステージでは、徐々にその風景は白く変化(ダンサーたちはマライアの顔が中央にプリントされたTシャツにサンタクロースのハット姿に)、鈴の音が響き始めると、観客ほぼ全員が立ち上がり、スマホのカメラ機能をオンに。そして、アンコールとしてお待ちかねの94年発表の日本でもミリオンヒットを記録した「All I Want for Christmas Is You(恋人たちのクリスマス)」をパフォーマンス。純白のミニドレスをまとったマライアは、キュートでセクシーなサンタクロースのようなイメージだ。伸びやかな歌声で、そこにいるすべての人に幸せの魔法をかけていた。ラストには紙吹雪が舞い、至福な空気に包まれたなか、再び「愛してます」と感謝を伝えステージを去ったマライア。しかし、この雰囲気から離れがたかった様子で、ステージの袖でしばらく立ち止まっていた様子が見受けられた。彼女にとっても、忘れられないホリデー・シーズンの幕開けをきった瞬間になったのだと思う。
Text by 松永尚久
Photos by Masanori Naruse
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