<ライブレポート>僕が見たかった青空、デビュー2周年を祝う【アオゾラサマーフェスティバル2025】ーー青空が似合う“23人”といえば?

2025年9月11日 / 17:00

 この原稿を書き終えたとき、もう一度だけ同じ質問をしようと思う。いまはまだ回答を知らずとも、そのときには晴れやかな気持ちとともに答えてもらえるはずだーー青空が似合う“23人”といえば?

 僕が見たかった青空(以下:僕青)が8月31日、東京・豊洲PITにて開催した【アオゾラサマーフェスティバル2025】。2年前の8月30日、シングル『青空について考える』にてデビューしたことを記念すべく、昨年より同会場にて始まった“夏の祭典”が早くも2回目を迎えることに。同時に、結成から2年以上という時間の流れを示すように、この日はまた“別の意味”でも祝福が満ち溢れるようなステージとなった。

僕青とファンが熱狂した“夏の祭典” 『視線のラブレター』カップリング曲を初披露
 開幕を飾ったのは僕青の円陣だった。「好きになりなさい」では、歌割に合わせてメンバーが3~4名程度でまとまって、手を繋いだり、仲良く順にセンターに出てきて笑顔を振り撒いたり、その左右で歌唱メンバー以外がファンからのPPPHコールにあわせて軽く揺れてみせたり。今年6月に開催された【結成2周年記念 僕が観たかったワンマンライブ vol.2】に比べて緩い雰囲気でフロアとコンタクトしていったのは、今回のテーマである“お祭り”に重ねてか。さておき、楽曲とか関係ないオタク感想すぎて恐縮すぎるが、八木仁愛の切り揃えた前髪や、吉本心那のハーフツインなど、髪型が変化したメンバーがいた。しかし、たった2カ月しか経っていないはずのに、メンバー全員とも“ビジュ”が信じられないほど磨かれているのはどうして……?

 そこから〈空のプールに また 水がいっぱい満たされる頃には〉といったフレーズが、次の夏を早くも予感させた最新シングル表題曲「視線のラブレター」、両手で四角を作る仕草が、夏の思い出にシャッターを切るようにも受け取れた「虹を架けよう」などを経て、本イベントでの特筆すべきブロックに。今回の見どころはやはり、『視線のラブレター』カップリング曲の初披露である。

 順に「偶然ルーレット」では、歌唱メンバー5名が円形となり、内側に伸ばした右腕を軸にくるくると回転。さながらルーレットを再現しながら、サビ半ばの“飛びポ”などで、歌詞にあるトキメキに身を任せるかのように躍動してみせる。というかこのルーレット、どのメンバーのところで止まっても“アタリ”しか出なそうだし、そもそも僕青にハズレがない。

 続く「残り時間」では、八木による人の歩行を二本指で表現する動きや、全員でハンドルを握るように腕をスライドさせる振り付けなど、そこはかとないヒップホップ風味を味わったところで、詳細こそ追って説明するが、〈君と会うと 残り時間が気になる〉という歌詞に色々な意味でハッとさせられる。

 「あの頃のトライベッカ」では、八木&杉浦英恋のシングル表題曲メインメンバー経験者によるソロパートに近いものも見られた。なお、この後のMCにて明かされたところだが、曲名にある“トライベッカ”とは、アメリカ・ニューヨーク市のマンハッタンにあるエリア名称とのこと。両手で馬の前足駆動を表現するような振り付けも、この地区で生まれた“ホッシーダンス”をふんだんに取り入れたところらしい。メンバーからも、この情報を知っているとまた違った味わい方ができるとのことで、ぜひ次のライブから意識をしてみては。

塩釜のリハ着はダサい? 宮腰のVlog投稿頻度を疑問視? トークパートにも見どころが
 今回は“お祭り”ということで、トークパートなどの充実ぶりについても触れていきたい。まずは、レギュラー番組 『僕青青春学園!放課後は楽しまナイト!』(TikTok LIVE)にてMCを務めた森本晋太郎(トンツカタン)を迎えて「デビュー2年目の通信簿」を発表。メンバーの成長点などを、関係者から集めたアンケートに基づいて公開していったのだが、リーダーの塩釜菜那でいうと、ウインクが上手になった一方で、リハ着が絶妙にダサさだったり。宮腰友里亜のお手製Vlogが賞賛されるなか、半年に一度という更新頻度を指摘されたり。上げては下げての時間が続く。

 またダンス企画でまとめると、avex ROYALBRATS / dip BATTLES(ともにプロダンスチーム D.LEAGUE所属)や、“日本一有名な背中”で知られるginjiroとともに、コラボパフォーマンスやTikTok撮影など、初の試みに挑戦。イベント本編を終えて、フロアからアンコールの声が降り注ぐ頃には「僕青ダンスチャレンジ」として、カメラに抜かれたファンが指定曲を踊り、その模様が前方スクリーンに映し出されるオタクフリー素材化の“陽キャ”企画までが用意されていた。ここでは全4名のファンが抜かれたなか、「キッシュ・ラブ」を踊ったファンが“DNAに刷り込まれているのでは?”と思うほど完璧な振りコピを披露。その際の幸せ溢れる“表情管理”ぶりたるや……。メンバー顔負けの微笑ましい笑顔だったとだけ記しておく。

塩釜&木下がメンバーとファンに語った想いとは?
 イベント中盤以降は、“ifの世界線”に飛び込むことに。まずは、3rdシングル『スペアのない恋』表題曲、ならびにカップリング曲「涙を流そう」を、当時の青空組と雲組がクラスチェンジ(=ユニットシャッフル)して特別に披露。「スペアのない恋」は、細かなステップワークやジャンプを多用した楽曲だが、メインの位置に立つ杉浦を筆頭に笑顔の花を咲かせてスタミナたるや。

 一方、「涙を流そう」での大人びた“表情管理”を含めて、どちらもユニットシャッフルをした、という単純な事実ではなく、“あの頃の青空組”と“あの頃の雲組”が再集結し、メンバー同士での成長ぶりを確認しあえたという意味で、同窓会のような時間としても受け取ることができた。現在のシングル体制ではなく、“あの頃”というのがポイントである。

 その後に披露されたグループ最年長・最年少コンビの伊藤ゆず&八重樫美伊咲が、オリジナルペアの早﨑すずき&柳堀花怜に代わって届けた“3分10秒だけのバカンス”こと「昇降口で会えたら」に加えて、別ブロックで披露された「誰のことを一番 愛してる?」は、冒頭からフロアが歓声で沸いた楽曲。それもそのはず。こちらはAKB48グループ、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46からなる“坂道AKB”のカバーとなるからだ。

 今回、この舞台でカバーした意図を質問してみたくなるところだが、あくまで筆者の受け取り方としては、僕青の“路線”。もう少し具体的には、メンバー、彼女たちが織りなすグループカラー、そして与えられる楽曲の色が間違いなく噛み合っていることを確認することができた印象である。

 というのも、歌詞やサウンドの切り口がシリアスで、あえて表情を失わせてみたり、頭を抱えさせてみたり、メインメンバーを務めた八木が孤独感や絶望に磔にされているようなポーズを披露して見せたり。普段触れている楽曲にはない振り付けをしっかりと再解釈して表現に落とし込めていたとは思いつつも、身も蓋もないが僕青にはやはり笑顔が似合うと思えてしまった。同じ“No.2の恋人”を歌っても「スペアのない恋」とは大きな違いである。

 あくまでカバーとして十分に楽しめたうえで、今後の表現の可能性が広がったことも強調しつつ、それでも今回のセットリストでやや異質に映っただけに、グループとしてもかなりの挑戦だったのだろうと推測することができた。

 そして、本稿のメインともいえる部分へと進んでいきたい。ここまで繰り返してきた通り、今回は“夏の祭典”である。ただ同時に、すでに発表されている通り、木下は学業に専念すべく、9月末から活動休止。山口は10月末をもって、グループを卒業することが決まっている。

 いざアンコールに入り、塩釜が想いを伝える時間をもらったとはいうが、この2年間で初めて、MCで何を語るべきかを考えても答えが出てこなかったという。このまま23名でいたいからずっとMCを続けようとも考えたが、おそらくスタッフ陣から強制終了させられる……と笑いを誘うなか、徐々に言葉を紡いで溢れてきたのは、本当に世話の焼けるメンバーだが「大好きだからOKなの!」という最大の愛情だった。この22名は、それまでの自分が知らなかった新たな感情に出会わせてくれて、活動休止を聞いても、次の道に向けて「幸せになってね」という声を次々と聞かせてくれる。とにかく、お互いの幸せを願える者同士が集まっているのだ。

 塩釜の想いを受けて、今度は木下がファンに対する感謝を言葉にする。これまでもらった言葉は宝物であり、だからこそ「推しててよかった」と思ってもらえるような恩返しをしていきたいと、確かに約束してくれた。

 そこからの「青空について考える」は、本当に特別な時間に。今回は早﨑のピアノ伴奏による合唱バージョンで届けられたのだが、学生服にも見えてくる衣装を纏ってステージに一列で並び、ハーモニーを奏でる姿は、ある種の卒業式のようにも映った。

 正直なところ、歌い始めのタイミングではまだ、ともに過ごした仲間がこれから楽屋や曲の立ち位置にいない。大切な存在を心のなかで探してしまう時間を味わっていない……言い換えれば、まだグループとして“卒業慣れ”をしていないがゆえ、そわそわとしているメンバーもいた印象なのだが、歌っていくうちに実感も徐々に湧き出したのだろう。ファンとアカペラで心を通わせる頃には、各々の涙が次第に横へ、横へと伝播していく。塩釜が先ほど贈った言葉通り、また新たな感情に、まさにリアルタイムで巡り合っていたのだ。

 とはいえ、最後は明るく「初めて好きになった人」で締めくくる。青空色のハッピ姿でポジティブなバイブスに包まれるなか、塩釜&須永心海が間奏で突如、かき氷早食い対決で勝負することに(しかも、ふたりとも一口目から三叉神経をやられて全然食べない。特に須永)。そうだよ、こうした褒め言葉として愛すべきアホっぽさが僕青の持ち味だよ……。

 “お祭り”というテーマに終始した今年の【アオゾラサマーフェスティバル】。さて、本稿の冒頭に記した問いは、開演前の影ナレで萩原心花、そして山口結杏が投げかけてくれたものだったのだが、いまならもう全力で答えてもらえるだろうかーー青空が似合う“23人”といえば?

Text by 一条 皓太
Photo by 斉藤明

◎公演情報
【アオゾラサマーフェスティバル2025】
2025年8月31日(日)東京・豊洲PIT
OPEN 16:00 / START 17:00


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