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にじさんじの7周年を記念して、所属バーチャルライバーたちが各公演に集う史上最大規模のライブツアー【にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!】の一幕。全7公演のうち、初日の仙台、名古屋、上海公演を終えて、7月21日の神奈川・Kアリーナ横浜のステージに現れたのは、える、叶、ドーラ、花畑チャイカ、社築、本間ひまわり、葛葉の7人だ。
開演直前、場内には「10、9、8……」とカウントダウンが開始され、オーディエンスの緊張感と喜びが混ざった声が響く。スクリーンの画面が切り替わった途端、青のストライプのアニメーションと今回の横浜公演を彩る7人のバーチャルライバーがポップに飛び込んできた。ビーチボールを手に持った社築、浮き輪を抱えた叶など、夏のアイテムがポイントになった「Summer and Peace!」だ。冒頭から前傾姿勢になって一緒に歌うオーディエンス。演者もオーディエンスも関係ないことを伝えるこの一体感にさっそく痺れた。そんな参加型の虹のステージを作るのがこの7人だと知る。
本ステージでは、ドーラ(母)、社築(父)、葛葉(弟)、本間ひまわり(姉)で構成される“ド葛本社”が集結しているのもうれしい。2曲目に入る手前、「そんな(浮き輪)つけたまま歌えるのか?」とからかう葛葉に「うるせー! ここでは私が新人なんだぞ?」と、ひまわり。この弟と姉を思わせるアットホームな展開を待っていたファンは多いだろう。
最初に視線を奪ったのは、ひまわりという存在が放つ黄色。「世界一可愛い私」の歌唱の途中での衣装チェンジでさらに可愛くなる。ひまわりというバーチャルライバーが持つ明るさの本質は、見ているこちらの感情まで軽やかに引き上げてくれる。
誰も予想なんてできなかった。まさかこの流れで、えるとチャイカが披露する「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」で、とある派手なサプライズが起こるとは。歌唱中、エルフの森出身のえるに羽が生えたかと思えば、彼女はそのまま宙へと駆け上がっていったのだ。続くようにして、チャイカにも巨大な翼が現れ、同じ場所へと舞い上がる。あまりのシュールさに思わず笑ってしまうほど。けれど、それ以上に、この突飛な演出がスムーズに成立していること自体が驚きだった。にじさんじが積み重ねてきた“バーチャルの更新”は、こうしてステージ上でひとつの“体験”として昇華されてきた。素直に感心した。
翼でひまわりにわざとぶつかってみたり、えるから「ここで無料パート、終了のお知らせです」と聞いた瞬間、ふいに背を向けながら「無料なの、恥ずかしい。無料で見るな!」と拗ねてみせるチャイカの姿は、エンタメの極みだった。
える、チャイカ、ドーラ、葛葉が「トラフィック・ジャム」で共演。重心の低い深い音に身を預けながら、静と動を絶妙に切り分けて歌っている4人のシアトリカルな歌声が印象的だ。次に飛び出したのは、対極的な高音と低音がアップテンポで混ざりあったひまわりと社築による「ちがう!!!」。父と娘の関係性を表すような最後の息の合った掛け合いには思わずほっこりしてしまったが、その後、社築がソロ曲として歌った「BLUE BACK」もどこか懐かしさを含んでいる印象で、それがまた良かった。
ドーラのオリジナル曲「レッド・ルーラー」に続いた葛葉とチャイカによる「ナノ・セカンド」も熱い曲だ。とくに、原曲の歌詞にはないMCパートで「俺たちはバーチャルだ。でも幻想や幻なんかじゃない(チャイカ)」「俺たちはたしかにここにいる。お前たちもここにいるってこと、証明してみせろよ!(葛葉)」と叫ぶところにも本家へのリスペクトが強く表れていたし、バーチャルな自分たちに合わせたストーリーへと転換した様にも、ぐっと来た。美しい旋律が流れた叶とドーラによる「怪獣」を切り裂いた葛葉によるギターロック「絶対零度」でライブも後半。
「世界を照らすテトラッド」というサーカスを彷彿とさせるプロセカのユニットソングで場を満たす叶、チャイカ、社築、える、ひまわりのピースフルな世界から一転、叶がダークトーンの「プロポーズ」を手にする。その途端に彼の表情、演技はどこまでも、その曲のためのものになった。「かつて天才だった俺たちへ」で分身するユーモアあふれるチャイカの軽快なフロウも有効なスパイス。シアトリカルだったりコミカルだったり…そのすべてが絶妙なバランスで出来ている。
ド葛本社の動画公開から約5年ぶりとなった「アスノヨゾラ哨戒班」では、時を経て深みを増した4人の歌声があったが、生バンドが奏でるサウンドも一層その味わいを濃いものにしていたと思う。さらに、可愛らしいビジュアルからは想像がつかない色気漂う歌声が溢れた、えるによる「抜錨」、葛葉、叶、ひまわりによる「青と夏」が続いた。
この曲なしには今日という一日を終えられないとさえ思う7周年記念プロジェクト楽曲「Arc goes oN」へ。それぞれの声が順に重なっていくなかで、最初は個の輪郭がくっきりと見えていたはずなのに、いつの間にか全体が溶け合うようにして“ひとつの声”になっていた。バラバラだった7色の光が一つの白になっていく。そんな圧倒的な統一感。最後に重なった笑顔と優しい歌詞が、このショーの核心に触れていた。
アンコールは、える、ひまわり、ドーラの女性陣によるプロセカのユニットソング「キラー」。葛葉、チャイカ、社築、叶の男性陣による「スターマイン」。ラストナンバーは、にじさんじの1周年記念楽曲「Virtual to LIVE」だった。
ステージ上のバーチャルライバーたちが、バーチャルなビジュアルでありながらも、興奮、熱狂、共鳴という、人間そのものの感情を動かす存在だったことは、紛れもないリアルだ。舞台を持てばエンターテイナー、歌を歌えばアーティスト、笑いを起こせばコメディアンにもなる。そして、ひとつとして同じではない声。ひとつとして重ならない表現。だからこそ、一緒に歌い、歩み寄ろうとしてみる。7人のバーチャルライバーたちと、オーディエンスの最後の「ららら」の合唱がなによりの証明だった。
Text:小町碧音
◎セットリスト
01. Summer and Peace!
02. 世界一可愛い私
03. ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C
04. トラフィック・ジャム
05. ちがう!!!
06. BLUE BACK
07. レッド・ルーラー
08. ナノ・セカンド
09. 泥中に咲く
10. 怪獣
11. 絶対零度
12. 世界を照らすテトラッド
13. プロポーズ
14. かつて天才だった俺たちへ
15. アスノヨゾラ哨戒班
16. 抜錨
17. 青と夏
18. Arc goes oN
Encore
19. キラー
20. スターマイン
21. Virtual to LIVE
◎公演情報
【にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!】
2025年7月21日(月・祝)
神奈川・Kアリーナ横浜
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