<ライブレポート>SIX LOUNGE、初めての日比谷野音で鳴らした“ロックンロールの真髄”――汗も風も味方にした【“Do You Love Me?” TOUR】ファイナル

2025年7月15日 / 18:00

 6月4日の福岡・BEAT STATION公演からスタートし、全国を巡ってきたSIX LOUNGEの【“Do You Love Me?” TOUR】が、7月6日にツアーファイナルを迎えた。ツアー唯一のワンマンライブの会場となったのはロックバンドの聖地、東京・日比谷公園大音楽堂。初めて立ったこの場所で、SIX LOUNGEの3人は全30曲以上をおよそ2時間半にわたって熱演。会場の音止め時刻ギリギリまで繰り広げられたライブは、気持ちいいほどに直球勝負。ライブハウスで築き上げてきたロックンロールバンドの真髄を、思う存分味わわせてくれた。

 「よろしくー!」。1曲目「You&I」を終えたヤマグチユウモリ(Gt. / Vo.)が叫ぶ。それが目眩くロックンロール・ショウの始まりの合図だった。「アナーキー・イン・ザ・人生」に「どん底」、楽曲を次々と畳み掛けながら、会場の熱をどんどん上げていくユウモリ、イワオリク(Ba. /Cho.)、ナガマツシンタロウ(Dr. / Cho.)の3人。表情からも、鳴らされる音からも、彼らがこの特別な夜を心から楽しんでいることが伝わってくる。シンタロウの叩く力強いスネアが手拍子を誘う「STARSHIP」ではオーディエンスが叫ぶ〈I LOVE YOU〉の声がツアータイトルへの回答のように日比谷の空に広がり、それを受け止めたユウモリは笑顔で雄叫びを上げる。SIX LOUNGE初の野音、幕開けは上々だ。

 「来たぜ、野音!」ユウモリの声に歓声が湧き上がる。「雨降らなくてよかったっすね。いい日にしよう!」――小難しいことは抜き、それだけの言葉で、彼らがこの日にかける思いも、ファンの期待も射抜いてみせると、その後もバンドは次々と楽曲を繰り出していった。この日の東京はとても暑く、夕暮れが近づくこの時間になっても、熱気が体にまとわりつく。だがその暑さが嫌になるどころか、こうやってロックンロールを浴びていると、なんだかエネルギーに変換されていくような気がするから不思議だ。「ちょっと暑すぎませんか? なんで今日に限って雨降らんの?」と、「ふたりでこのまま」を終えたユウモリが口をひらく。雨バンドだというSIX LOUNGEだが、今日はしっかりロックンロールの女神が微笑んでくれた。「汗かきに来たんでしょ? ぐっちゃぐちゃになろう!」そう、それこそが野外のライブの醍醐味。そして彼は鋭いギターリフを鳴らし、「MARIA」をいっそう熱くぶちかます。と、ふと野音に涼しい風が吹いてきた。雨が降らないだけじゃない、どうやらこの日のSIX LOUNGEは、気候もがっちり味方につけているようだ。

 続く「New Age Blues」では4つ打ちのリズムに合わせてオーディエンスのハンズクラップが野音を揺らす。この曲を初めて聴いたときはSIX LOUNGEらしさを更新するような新鮮さに驚いたものだが、今やライブでも欠かせない一曲に。一言でいうなら“ロックンロール”だが、その実どんどん幅を広げ続けるSIX LOUNGEの音楽は、過去から現在までを総ざらいするようなこの日のセットリストを、より色彩豊かで味わい深いものにしていた。「Paper Plane」から重厚なセッションを挟み突入した「IN FIGHT」ではユウモリの歌もますます伸びやかに力強く広がり、「日比谷、夏が来たね」という言葉とともに届けられた「ダーリン・ダーリン」ではスカのリズムがオーディエンスを心地よく踊らせる。

 そこから一転、「青に捧ぐ」、そしてアルバム『FANFARE』同様「エバーグリーン」からインストナンバー「merry bad end」へと繋げる流れが野音の空気を変えると、ユウモリは「昨日、日本終わるかもって言われてたんですよ」と客席に語りかける。7月5日に大災害が起きるという“予言”がまことしやかに流布されていたのだ。「終わらなくてよかったっすね。今日があってよかった」。シンプルな言葉に万感がこもっている。いつの間にか日も暮れて、野音を夕闇が包み込む。「エンディング感ありますけど、まだまだめちゃくちゃありますよ。椅子あるし、きつい人は座ってくださいね。ま、座る暇ないと思いますけど、ははは!」と一瞬落ち着いたムードを掻き回すように口にして、ライブは後半戦へと入っていく。

 その後半戦が凄まじかった。「言葉にせずとも」で一気にギアを上げると、シンタロウの雷のようなドラムとリクの地響きのようなベースリフが炸裂する「モモコ」がさらにブーストをかける。そこから「グロいラブソング」、さらにシンバルが4カウントを打ち鳴らし「ナイトタイマー」へ。ユウモリのギターソロが炸裂し、野音のボルテージは上がる一方だ。そこから間断なくパンクに爆発する「LULU」を繰り出すと、その勢いのままショートチューン「ピアシング」が始まっていく。「イェーイェー」の声が怒号のように轟く。「ベース、リク!」「シンタロウ、ぶっ飛ばせ!」――ふたりのソロを挟みながら3回立て続けに「ピアシング」をぶっ放せば、野音の客席はお祭り騒ぎだ。「あー、最高ですね」とユウモリ。続く「発光」を終え、彼は再び「めちゃくちゃ気持ちいい。ありがとうございます」と呟いたが、「最高」も「気持ちいい」もこれでは終わらない。「少しだけ特別なことしたいと思って、友達呼んでます」という言葉とともにステージに呼び込まれたのはこの日のスペシャルゲスト、FOMAREのカマタリョウガである。彼を加えて演奏されるのは、ユウモリが「アコギをもって野音で歌いたかった」という「死ぬほどあいたいから、だからあいに行くよ」。アコースティックギターの柔らかな音色とユウモリのファルセット、そこにカマタのギターが彩りをつけ、ドラマティックなサウンドが広がっていった。

 ユウモリが歌い出すとともにオーディエンスのシンガロングが巻き起こった名曲「メリールー」を経て、ライブはいよいよ終盤に入っていく。みずみずしいメロディが溢れ出す「大人になってしまうなよ」、「日比谷、ロックンロール喰らえ!」とぶちかませば再び大合唱が生まれた「スピード」、そして打ち鳴らされる高速ビートがここにきてさらにアクセルを踏み込む「トラッシュ」……そして「まだ終わりたくない!」というユウモリの言葉からシンタロウがリードヴォーカルをとる「世界中が君を愛してるんだぜ (Baby Boogie)」を届けると、「踊って帰ってね!」と「SWEET LITTLE SISTER」へ。力いっぱい鳴らされるリズムに小気味よいギターリフ、バンドサウンドを前へ前へと押し出すようなベース。鉄壁の3ピースが最高のグルーヴを生み出し、ライブ本編は終わりを迎えた。その後のアンコールでは前日に出したばかりの新曲「かまわないよ」を披露すると、最後は再びゴリゴリのロックンロールサウンドに乗せて「僕を撃て」。「じゃあね、バイバイ!」と、ユウモリは笑顔でライブを締めたのだった。

Text:小川智宏
Photo:アサイチカコ

◎公演情報
【“Do You Love Me?” TOUR】
2025年7月6日(日) 東京・日比谷公園大音楽堂


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