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現体制である第5期のスタートから丸5年を経て、第5期史上最大規模となる全国ツアー【WANDS Live Tour 2025 ~TIME STEW~】に臨んだWANDSが5月30日、東京ガーデンシアターにてファイナルを迎えた。
最新アルバム『TIME STEW』を携えて全国9都市を回った今ツアーは彼らにとってもこれまでにも増して充実の旅となったことだろう。その集大成にもふさわしい圧巻のステージは詰めかけたオーディエンスをもれなく魅了。掲げた“TIME STEW”のタイトル通り、WANDSが連綿と紡いできた歴史と進化を求めて日々更新する現在、変わらないものと変わりゆくものを絶妙に溶け合わせた、今の彼らだからこその音楽を会場いっぱいに轟かせた。
開演時刻を回って場内が暗転するや、待ってましたとばかりに客席から大きな拍手と歓声が沸き起こり、たちまちメンバーの登場を促す盛大な手拍子に変わった。パンパンに膨らんだ期待の空気、それをさらにブーストさせたのは「天使になんてなれなかった(WANDS 第5期ver.)」だ。WANDS第2期のアルバム曲でありながら、アルバム『TIME STEW』に収録されたことで新たな息吹と艶っぽさをまとったこの曲をオープナーに早くもヒートアップする東京ガーデンシアター。上原大史(Vo.)のしなやかで張りのある歌声と柴崎浩(Gt.)が奏でる鋭くも色気のあるギターサウンド、サポートメンバー・二家本亮介(Ba.)&神田リョウ(Dr.)による盤石なリズムアンサンブルも見事に噛み合って、天井知らずの興奮をオーディエンスにもたらす。
「改めましてWANDSです。みなさん、駆けつけていただき、誠にありがとうございます! 上から下までみなさんの楽しそうな笑顔が見えますね」
序盤の3曲を一気に歌い上げた上原は、4階まであるスタンド席を嬉しそうに眺めやってはそう声をはずませると「昔から来てくれている方、今日が初めての方、いろんな方がいらっしゃると思いますが、もう関係ないですから。一番前から一番後ろまで同じようにブチ上がってもらいます。やれますか、東京!」とアジテート。間髪入れずに演奏は「GET CHANCE GET GROW」に突入し、さらに「官能 SADISTICに濡れて」と前作アルバム『Version 5.0』の楽曲を畳み掛けては客席をこれでもかと盛り上げる(特に「官能 SADISTICに濡れて」のエンディング、上原渾身のロングシャウトから柴崎の超絶技巧が炸裂したギターソロ、そしてバンドアンサンブルで締めくくった一連の流れには痺れた)。
「honey」では、ステージの模様を追いかけるムービーカメラの前で上原と柴崎が体を寄せ合って見せたり、二家本を交えた3ショットでレンズに収まったりというメンバー同士の仲睦まじいパフォーマンスを見せたかと思えば、曲のハイライトで一旦ブレイクを挟み、上原が歌詞の“止まらない”をビブラートを効かせたり、ファンキーなフェイクを交えたり、セクシーな低音ボイスで囁いたりと様々な表現でアドリブを披露。さらにその一つひとつに呼応するように柴崎もアドリブのギターを返すという白熱の掛け合いでオーディエンスを熱狂させるライブならではの一幕も。そこから洒脱な大サビへとなだれ込んでいくカタルシスがまたこの上ない。
横ノリの小気味よいイントロからメロディアスに展開する「YURA YURA」に始まり、ドラムセットの上方に小高く設えられたサブステージに立った上原が朗々と歌声を響かせて、今日この場にいる一人ひとりとの邂逅を“あなたと出逢えたこの「命」愛して”と歌詞に重ねるようにして慈しんだ「WONDER STORY」、推進力に満ちたサウンドと歌に宿ったポジティブな躍動感が会場全体を包み込む「Shooting star」と本編後半戦はグッと聴かせるモードへシフト。『TIME STEW』のラストナンバーであり、随一のロックバラード「リフレイン」では上原が放つ力強くも哀愁を滲ませたボーカルと、あえて淡々と紡がれる柴崎のギターの対比が、聴き手をいっそう切なくさせる。
しっとりと落ち着いた場内のムードを再び熱狂に転じたのはメドレーパートだった。「もっと強く抱きしめたなら」「時の扉」「愛を語るより口づけをかわそう」という、おそらく誰もが一度は耳にしたことのあるだろうWANDSのみならず、90年代のJ-ROCKシーンをも代表するヒット曲を第5期バージョンで矢継ぎ早にドロップされて客席が沸き立たないはずがない。「時の扉」から「愛を語るより口づけをかわそう」にスイッチするや、今度は柴崎がドラムセット上方のサブステージに駆け上がって高揚を扇動する。極めつけはフルサイズで披露された「世界が終るまでは…」だ。
どの曲にも懐かしさは覚えつつ、けれどまったく古びて感じないのはとにかく驚異的の一語に尽きるが、楽曲そのものが持つパワーに飲み込まれることなくWANDS第5期のサウンドとしてアップデートを施し、それを堂々と歌い奏でる現メンバーの力量にも唸らずにはいられなかった。ゆえにだろう、本編ラストとして続けて演奏された「大胆」にジェネレーションギャップ的な違和感がまるでないことにも驚かされる。最新アルバムにおいて1曲目を飾る、今のWANDSを象徴する楽曲とも呼びたいこの曲と90年代のヒット曲が同列に並び立ってどちらも遜色がない。これぞ過去と現在が溶け合ってじっくりと煮込まれた“TIME STEW”の体現、その真骨頂がここにあると思えた。
メンバー全員、ツアーTシャツに着替えて再登場したアンコールは「真っ赤なLip」からスタート。MCでは柴崎も率先して口を開き、「今回のツアーで各地を1本1本回って、まさにお客さんが昔のWANDSと今のWANDSを溶け合わせてくれているのを感じました」とオーディエンスに感謝を伝える。上原は上原で「個人的にいろいろ試練があって大変だったんですが、みなさんに助けていただきながらここまでやってこれました。まさかの今日がいちばん調子いいです! すっごく声が出てます」と告白、神田に「もう一度、初日からやります?」とツッコまれて会場を大爆笑の渦に。ツアーの思い出話にも花が咲き、すっかり和んだ空気のなかで「WANDSにとっていろんな意味で思い入れ深い歌があるので、聴いてください」と切り出した上原。大切に手渡されたのは中山美穂とのコラボレーションで90年代を席巻した「世界中の誰よりきっと」だった。けっして色褪せないエバーグリーンな名曲がWANDS第5期バージョンとなって明るくやさしく空間に満ちていく。
「みなさん、本日はありがとうございました。この世の中には冷たい言葉や心ない言葉が飛び交ったり、戦争が起こっていたり、心が苦しくなることばかりですけど、今、この会場にはたくさんの愛が溢れていて温かい気持ちでいっぱいです。世界平和は難しいかもしれないけど、せめてここにいるみなさんには温かい愛のある世界で生きていてほしい。そんな気持ちを込めて歌います」
そう語りかける上原の言葉を合図に【WANDS Live Tour 2025 ~TIME STEW~】最後の曲、「WE ALL NEED LOVE」が流れ出した。『TIME STEW』のなかでももっとも壮大なメッセージ性をはらんだ、スケール感ある1曲だ。「歌ってくれ!」という上原の呼びかけに応え、オーディエンス全員が心をひとつにして声を重ねるシンガロング、鳴り響かせたハンドクラップの音のなんとタフで美しいことか。「みんなの大きい声がめちゃくちゃ胸に響いて本当にあったかい。ホンマにありがとう!」、そう叫んで上原もまた声の限りを尽くし、歌い繋ぐ。世界は救えなくても、目の前にいるあなたの心をこの音楽で救いたい、そうした熱意がひしひしと伝わってくるようだ。一斉に発射された銀テープが客席に降り注いだ刹那、キラキラとまばゆい光景にたしかな希望を見た気がした。
サポートメンバーを見送り、二人だけになったステージで、名残惜しそうにいつまでも手を振るのをやめようとしない上原と柴崎。最後の最後に柴崎は「今日も最高でした。また会おうね」と再会を誓い、上原はマイクを通さない生の声で「ありがとうございました!」と大声で告げてステージを去った。ツアーは終わっても、彼らの“TIME STEW”はこれからもじっくりと煮込まれ続け、ひときわ深みを増していくのだろう。それを楽しみに、新たなニュースが届く日を心待ちにしていたい。
なお、本公演の模様が7月20日、WOWOWにて独占放送&配信されることがこの日、告知された。また、8月と9月には歴代のWANDSを網羅したライブ映像とミュージックビデオ集も届けられるという。3か月連続となるWOWOWのWANDS特集をお見逃しなく。
Text by 本間夕子
◎公演情報
【WANDS Live Tour 2025 ~TIME STEW~】
2025年5月30日(金)
東京・東京ガーデンシアター
◎番組情報
『WANDS 3カ月連続WOWOW特集』
『WANDS Live Tour 2025 ~TIME STEW~』
2025年7月20日(日)22:00~
『WANDS 全期 Live & Music Video History』
2025年8月放送・配信予定
『WANDS 第5期 Live & Music Video Collection』
2025年9月放送・配信予定
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