エンターテインメント・ウェブマガジン
3rdアルバム『Circus Funk』を引っ提げた、香取慎吾にとって初めてのソロツアー【SHINGO KATORI1st LIVE TOUR Circus Funk】が東京・国立代々木競技場第一体育館でスタートした。
オープニング映像を経て、ステージから伸びたセンターステージに姿を現した香取。1曲目を披露してステージの方を振り返ると幕が落ち、ホーン隊やコーラス隊を携えた大所帯のバンドが現れた。そこに、時折ドスの効いたボーカルを混ぜ、巧みに楽曲の奥行きを増大させていく。バンドに加え、ブレイクダンスを踊るダンサーの姿もあり、序盤から片時も目が離せない遊園地のようなエンターテインメント・ショーが繰り広げられた。中心にいるのはもちろん香取慎吾。「パーフェクト・ビジネス・アイドル」として、「みんなを笑顔にすること」を目的に活動を続ける香取のポップスターの風格と懐の深さが終始溢れていた。
「COLOR BARS(feat. SHOW-GO)」では柔らかく伸びやかだが、絶妙にリズムを宿したテクニカルなボーカルとスクラッチが混ざり合い、心地よいグルーヴを刻んでいく。サザンオールスターズの「愛の言霊 ~Spiritual Message~」のカバー、「愛の言霊(ことだま)~Spiritual Message~(feat. Night Tempo)」の英詞パートはバリトンボイスで歌い、間奏で華麗なダンスを披露した後は花道を歩きながらラップ。多彩なボーカルとラップで歌い手としてのスキルを見せつけた。
「もう楽しくてお腹が空いてきた」と言って、バンドメンバーへの「今何が食べたいか?」というリサーチタイムを経て、「カツカレー(feat. 在日ファンク)へ。途中で床に苦しそうに這いつくばる香取に、客席から「PBI!」(パーフェクト・ビジネス・アイドル)というコールが浴びせられると、ダンサーに支えられてよろよろと歩きだす。と思ったら再び踊り始め、〈お疲れ まだまだやりたいことだらけ お疲れ ここで果てるにはいかないわけ〉と歌う。力強く〈僕らはもう カツカレー!〉と口にし、マイクスタンドから鮮やかにマイクを取り、勢いよくステージ前方に飛び出す。まるでジェームス・ブラウンのようなシアトリカルなファンクショーだった。
「“皆の笑顔は僕の笑顔”でいいですか!? いつまでも一緒に遊んでくれますか!? この夢の世界が大好きです! いつまでもみんなの一億人の恋人にさせてください!」と言って歌われたのは、推し活をテーマにした「一億人の恋人(feat. 乃紫)」。乃紫が香取のことのみならず、香取のファンのことも調べた上で歌詞をしたためた曲だ。香取が〈その唇で僕の名前を呼んでくれ〉と歌うと客席から「慎吾―!!」というファンの声が響き渡った。これぞ推し活の醍醐味だ。〈ステージの上で僕はダイヤの海を見た 一億人の愛を背負ってる〉。ステージから炎が勢いよく上がる中、香取は「一億人の恋人になる」と歌い切った。
MCでは、主演ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』や『週刊ナイナイミュージック』など、お世話になった番組の関係者が来場していることを告げ、オーディエンスと共に何度も「ありがとう!」というメッセージを伝える場面も。「昨日は草彅剛が来てくれて、『すごい良かったよ!』と大絶賛してくれた。今日は稲垣吾郎さんが……来ていません!」と言って大爆笑を誘った後、親友の山本耕史が来ていることを告げると、ビジョンには笑顔で応える山本の姿が映るという一幕もあり、全く飽きさせないトークからも「人々を出来る限り楽しませたい」という想いを感じる。香取自身は、満開の笑顔で「本当に楽しいんです! 幸せです! ありがとう!」と歓喜を露わにし、ここが笑顔と幸せが循環する場であるということが伝わった。香取は『Circus Funk』のリリース時、ステージという場所に対して「一番安らげる場所。皆さん愛を持ってライブに来てくれるし、僕も皆さんのことを愛しています。一人でもドキドキして楽しいのに、それが何万人もいるので最高です」と語っていたが、この日も大切な相手とずっと話し続けているような親密で愛に溢れたムードが漂っていた。
ライブ中盤ではSNG BANDのメンバー紹介が行われ、バンドがファンク・アンサンブルを奏でる中、メンバー一人ひとりのソロ演奏をフィーチャー。ビジョンには、名前が書かれたたすきをかけたメンバーが楽器を演奏する映像が流れるという凝りようだ。
〈不敵に笑うピエロ〉という歌詞から始まる『Circus Funk』のタイトルトラック「Circus Funk(feat. Chevon)」はダンサーたちと共に華やかに踊り、〈境界の無い大合唱 幾層にも引くその口紅に笑われている様だ〉と歌う際に、香取は口紅を引く仕草をした。度々、「10代20代の頃は、自分のことを大人たちに仕事させられているピエロだと思っていた」と語っている。しかし、経験を重ねタフになった香取は、能動的に自らがピエロとなり、大勢のオーディエンスを楽しませるというマインドを手に入れた。約40年間のアイドルとしてのキャリアを持った上で、そんなマインドセットが行われている香取はポップスターとして無敵である。
「ライブを作るにあたって、あれもやりたいけど時間が足りなくて入らない。そんなときが来たのかと。やりたくてもちょっと入らないくらい曲が増えてきたかっていう喜びです」と話し、一度はステージを下りたが、音楽への情熱と周囲からの後押しによって再びこの場所に戻ってきてからの約5年間の濃さに思いを馳せた香取。「みんなありがとう! 慎吾ちゃんは最高に幸せです!」と感謝を伝え、「また一緒に遊ぼうね! 愛してます!」と再会を誓い、ステージを後にした。
Text by 小松香里
◎公演情報
【SHINGO KATORI1st LIVE TOUR Circus Funk】
2025年5月31日(土)東京・国立代々木競技場第一体育館
2025年6月01日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館
2025年6月28日(土)福岡・福岡国際センター
2025年6月29日(日)福岡・福岡国際センター
2025年7月05日(土)兵庫・神戸ワールド記念ホール
2025年7月06日(日)兵庫・神戸ワールド記念ホール
2025年7月12日(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2025年7月13日(日)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
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2025年7月20日(日)愛知・Aichi Sky ExpoホールA
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