【米ビルボード・ソング・チャート】ケンドリック・ラマー＆シザ12週連続1位、シャブージーTOP5入り最長記録更新

　今週の米ビルボード・ソング・チャートは、ケンドリック・ラマー＆シザの「Luther」が12週目の首位を獲得。シャブージーの「ア・バー・ソング（ティプシー）」はTOP5の史上最長記録をさらに更新、テディ・スウィムズ「ルーズ・コントロール」はランクイン総週を通算90週目に塗り替えて、史上2番目の記録に到達した。

　R&B界のレジェンド＝故ルーサー・ヴァンドロスへのオマージュとして名付けられ、そのルーサーとシェリル・リンによる「イフ・ディス・ワールド・ワー・マイン」をサンプリングした「Luther」は、ケンドリック・ラマーにとってソング・チャート“Hot 100”での通算6曲目の首位獲得、シザにとっては3曲目のNo.1タイトルで、両者にとって現時点での首位最長記録を更新し続けている。

　1958年8月4日に集計が始まったソング・チャート“Hot 100”史上、男女ソロ・アーティストによる共演（両者がリード・アーティストとしてクレジットされているデュエット曲）としては、1997年に11週間を記録したパフ・ダディ＆フェイス・エヴァンスの「アイル・ビー・ミッシング・ユー feat. 112」を上回り、単独の史上最長記録に到達した。

　ソロ・アーティスト同士の楽曲ではないが、男女のアーティストによる楽曲としては、1995年から1996年にマライア・キャリー＆ボーイズIIメンの「ワン・スウィート・デイ」が、それを上回る16週間の記録を打ち立てている。

　以下は、男女のアーティストによる共演（両者がリード・アーティストとしてクレジットされたデュエット曲）で最も長く1位を獲得した楽曲。

（）は首位を初めて獲得した日付

・16週間　マライア・キャリー＆ボーイズIIメン「ワン・スウィート・デイ」（1995年12月2日付）
・12週間　ケンドリック・ラマー＆シザ「Luther」（2025年3月1日付）
・11週間　パフ・ダディ＆フェイス・エヴァンス「アイル・ビー・ミッシング・ユー feat. 112」（1997年6月14日付）
・9週間　ライオネル・リッチー＆ダイアナ・ロス「エンドレス・ラブ」（1981年8月15日付）
・6週間　アッシャー＆アリシア・キーズ「My Boo」（2004年10月30日付）
・6週間　R・ケリー＆セリーヌ・ディオン「アイム・ユア・エンジェル」（1998年12月5日付）
・5週間　レディー・ガガ＆ブルーノ・マーズ「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」（2025年1月11日付）
・5週間　ジェイ・Z＆アリシア・キーズ「エンパイア・ステイト・オブ・マインド」（2009年11月28日付）
・4週間　エルトン・ジョン＆キキ・ディー「恋のデュエット」（1976年8月7日付）
・4週間　フランク・シナトラ＆ナンシー・シナトラ「恋のひとこと」（1967年4月15日付）

　2020年代におけるR&B／ヒップホップ・ソングとしては、2020年に11週間を記録したロディ・リッチの「ザ・ボックス」を上回り、単独の最長記録に到達した（R&B／ヒップホップ・ソングの定義はR&B／ヒップホップ・ソング・チャートにランクイン、またはランクインする可能性のある曲とする）。

　12週目の首位を獲得した「Luther」は、今週の集計期間（2025年5月2日～5月8日）にラジオ・エアプレイが6,540万回（前週比4％減少）、公式ストリーミング再生回数が1,910万回（前週比7％減少）、週間セールスは2,000（前週比12％減少）を記録。

　エアプレイ・チャートでは6週目の首位を獲得して、ストリーミング・ソング・チャートでは先週の3位から2位に再浮上（以前に7週間1位を獲得）。R&B／ヒップホップ・ソングとラップ・ソングの両チャートでは、それぞれ通算20週目の首位を獲得した。

　1958年10月に集計が始まったR&B／ヒップホップ・ソング・チャートでは、2019年に同20週間を記録したリル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロード」に並び、史上3番目の記録に到達した。これを上回るのは以下の2曲で、ケンドリック・ラマーとシザの曲が独占している。

・22週間　ケンドリック・ラマー「ノット・ライク・アス」（2024年～2025年）
・21週間　シザ「キル・ビル」（2022年～2023年）
・20週間　ケンドリック・ラマー＆シザ「Luther」（2025年）
・20週間　リル・ナズ・X「オールド・タウン・ロード」（2019年）

　また、ラップ・ソング・チャートでも2019年に同20週間を記録したリル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロード」に並び、史上2番目の記録に到達した。

・26週間　ケンドリック・ラマー「ノット・ライク・アス」（2024年～2025年）
・20週間　ケンドリック・ラマー＆シザ「Luther」（2025年）
・20週間　リル・ナズ・X「オールド・タウン・ロード」（2019年）

　先週のチャート（2025年5月10日付）で2位に最高位を更新したアレックス・ウォーレンの「オーディナリー」は、今週も同位をキープ。今週の集計期間に2,160万回（前週比1％増加）の公式ストリーミング再生回数を記録して、ストリーミング・ソング・チャートでは3週目の首位を獲得した。また、週間セールスは6,000（前週比11％減少）を記録して、デジタル・ソング・セールス・チャートでも3週目の首位を獲得。ラジオ・エアプレイは、前週から24％増加の2,450万回に大きく上昇している。

　1月から通算5週間1位を獲得したレディー・ガガ＆ブルーノ・マーズの「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」は、前週に続き今週も3位にランクイン。続いて4位には、シャブージーの「ア・バー・ソング（ティプシー）」が先週の5位から上昇して、TOP5のランクイン総週を通算44週目に更新している。これで、2020年から2021年に43週間を記録したザ・ウィークエンド「ブラインディング・ライツ」を上回り、TOP5の史上最長記録に到達する快挙を達成した。

　「ア・バー・ソング（ティプシー）」は、カントリー・ソング・チャートでも今週44週目の首位を獲得して、史上2番目の記録を更新。これを上回るのは、2017年から2018年に50週間を記録したフロリダ・ジョージア・ライン＆ビービー・レクサの「メント・トゥ・ビー」で、その記録に迫っている。

　ドレイクの「Nokia」（最高2位）は、前週の4位から今週5位にワンランクダウン。チャペル・ローンの「ピンク・ポニー・クラブ」は先週に続き今週も6位に、テディ・スウィムズの「ルーズ・コントロール」も7位をそれぞれキープした。

　「ルーズ・コントロール」は、今週でTOP10の滞在週を通算61週目に更新。この記録はソング・チャート“Hot 100”史上最長記録で、自身の記録をさらに塗り替えたことになる。

　同時に、Hot 100（100位内）におけるランクイン総週も今週で90週目に更新し、2019年から2022年に同90週を記録したザ・ウィークエンド「ブラインディング・ライツ」と同率の史上2番目の記録に到達した。次週以降ランクインすることができれば、グラス・アニマルズ「ヒート・ウェイヴス」と同率の史上最長記録に到達する。

※（）は最高位到達年度
• 91週間　グラス・アニマルズ「ヒート・ウェイヴス」（2022年／最高1位）
• 90週間　ザ・ウィークエンド「ブラインディング・ライツ」（2020年／最高1位）
• 90週間　テディ・スウィムズ「ルーズ・コントロール」（2024年／最高1位）

　先週9位にランクインしていたベンソン・ブーンの「ビューティフル・シングス」（最高2位）は今週8位に上昇。ドーチーの「Anxiety」も先週の10位から9位にワンランクアップして、最高位を更新した。モーガン・ウォレンの「アイム・ザ・プロブレム」（最高2位）は、先週の8位から今週10位に順位を下げている。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは5月16日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「Luther」ケンドリック・ラマー feat. シザ
2位「オーディナリー」アレックス・ウォーレン
3位「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」レディー・ガガ＆ブルーノ・マーズ
4位「ア・バー・ソング（ティプシー）」シャブージー
5位「Nokia」ドレイク
6位「ピンク・ポニー・クラブ」チャペル・ローン
7位「ルーズ・コントロール」テディ・スウィムズ
8位「ビューティフル・シングス」ベンソン・ブーン
9位「Anxiety」ドーチー
10位「アイム・ザ・プロブレム」モーガン・ウォレン

Photo: Dave Free