【ジャイガ】スピンオフイベントでAooo/TRACK15ら32組のブレイク予備軍が熱演

2025年4月15日 / 13:00

 ライブサーキット【OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025 SPIN-OFF「THE BONDS 2025」GIGANTIC TOWN MEETING】が、4月13日に大阪・BananaHall、梅田BANGBOO、梅田Zeelaで行われ、ライブレポートが到着した。

 本イベントは、野外フェス【OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025】(通称『ジャイガ』)のスピンオフ公演として2021年にスタートし、今年はチケットが初のソールドアウトに。注目の若手アーティスト全32組が、大阪キタエリアのライブハウス3会場を終日熱く盛り上げた。

 梅田BANGBOOでこの日の幕開けを飾ったのは、イベント初の試みとして一般公募したオーディションから選出された、カタメツムリだ。急きょ出演が決まったにも関わらず、開演前からみるみるうちに埋まっていくフロア。【GIGANTIC TOWN MEETING】の鮮やかなピンクのバックドロップを背に、つゆ(Gt./Vo.)が「ポップとロックの境界線を飛び越えるバンド、カタメツムリです!」と叫び、1曲目の「ノンフィクション」から見渡す限りの手が挙がる。その光景に思わず笑みがこぼれ、「最高! 明日もあさってもずっとあなたの心に残るライブをして帰ります」(つゆ、以下同)と頼もしい宣言。その後も「2人の世界」「甘い罠」「曖昧」など、つかんだチャンスに物おじすることなく堂々と己の音を鳴らしてみせた。

 一方、梅田Zeelaのトッパーとして登場したLavtも、パンパンの場内でしなやかなボーカルを存分に響かせる。現時点ですでにライブハウスをはみ出すスケール感を漂わせ、「モルト」や「有象無象」「アルコール」など洗練されたサウンドデザインで見る者を踊らせる。「実は今日が誕生日でして。こんなめでたい日にライブができて、いいプレゼントになるなと。引き続き楽しんでいってください!」とハッピーな報告後も、「L4DY」「オレンジ」「HOLD ME」と近い将来の躍進を予感させる変幻自在のポップソングがズラリ。ロッキンな最新曲「JOOOOKE」でも熱量たっぷりにフックアップした、才気溢れるソングライター。彼の名前がシーンに広がるのも時間の問題だ。

 再び梅田BANGBOOでは、東京市ヶ谷出身の若きガールズバンド、らそんぶるが「ペアリング」からみずみずしいバンドサウンドをかき鳴らし、「大阪の皆さん、早い時間からありがとう! 私は入り時間が結構早くて、今ここに立ってやっと目が覚めました(笑)」と、そら(Gt./Vo.)が和ませる。他にも新曲「START DASH★」や、みやび(Dr.)のパワフルなドラミングから始まった「いつかのうた」、イントロで期待感が爆発した「ロックンロールに恋をしたんだ!」などを披露。「幕が開いたとき、いっぱい人がいてくれてうれしかった」(そら)と感謝したこの景色まで、初ライブからたった1年でたどり着いた新星から目が離せない。

2020年代の男性ソロアーティストの隆盛は言わずもがなだが、sanetiiも間違いなくそれに続くポテンシャルの持ち主だ。いきなり梅田BANGBOOが揺れた「大団円」、高揚感しかないハイパーポップ「アメイジンググレイス」でも、その片鱗をことごとく見せつける。「めっちゃ人おるな……願わくば本編にも出たいと思ってます!」とアピールした後は、「アイスベースガール」のカオスな高速BPMから「リスミーリスミー」のゴージャスなビッグビートと、緩急自在に魅せていく。MCではクールなサウンドとは裏腹のちゃめっ気ものぞかせ、後半戦は跳ねに跳ねまくった「寵愛族」にエッジィな「ミカクニンハスキー」、トドメのアンセム「フォーエバートゥエンティーズ」と一気に駆け抜ける! 新世代のトリックスター、sanetiiの高濃度な全7曲だった。

 TRACK15は、最大キャパのBanana Hallの空気を一変させる蓮(Gt./Vo.)の清廉な歌声がにじんだ「青い夏」や、TVドラマ『初めましてこんにちは、離婚してください』のエンディング主題歌「千年計画」など、その美しいメロディが地元関西のオーディエンスに愛されているのは明白だ。「ライブが僕たちの音楽を最大限に届ける手段で、何にも代えられないものだと思ってます。どんな気持ちで演奏して、どんな言葉を付け足してライブで渡すかで、曲は完結すると思うので」という蓮の真摯な思いを託した「話したいこと」、そして代表曲「シティーライト、今夜」etc、お茶の間を射程圏内に入れた4人の進化は留まることはない。

【GIGANTIC TOWN MEETING】も折り返し地点となった梅田BANGBOOに姿を現したPompadollSは、「邦楽ロックをやりに来ましたPompadollSです、よろしく!」と五十嵐五十(Gt./Vo.)が呼び掛け、「海底孤城」からド派手な照明もろともドラマチックな世界観を構築。童話をモチーフにした「みにくいアヒルの子」や配信を控える新曲「ロールシャッハの数奇な夢」と畳み掛けていく。「すげーノリが良くて楽しい! もっと大きくなって、大阪のたくさんの人に知ってもらえるように頑張ります」と青木廉太郎(Gt.)も気持ちが高ぶるのを隠さない狂乱のさなか、ヘヴィにグルーヴする「日の東、月の西」後は各々のソロ回しから「スポットライト・ジャンキー」へ! 体が自ずと動き出すキラーチューンで瞬く間に沸点まで到達し、ラストは小松里菜(Key.)のシアトリカルな調べが機能した「悪食」、残り時間わずかでぶち込んだ瞬殺の「魔法のランプ」と、日本のロックの正統進化を掲げる急先鋒が、ライブバンドとしての確かな過程を示した。

 Banana Hallでは、トンボコープの雪村りん(Vo./Gt.)が伸びやかに聴かせた「フラッシュバック」で圧倒。「万博に負けないぐらい大きなWOWを!」とコール&レスポンスを扇動した「喜怒哀楽」といい、亜流多き時代に王道のロックバンドであるために、同期を駆使したアレンジや機材のチョイスでも自らを丹念にアップデートしているのが伝わってくる。メンバーの体調不良によりアニバーサリーライブが中止となってしまった直後だけあって、雪村が「今日はめちゃめちゃ大事な新しい一歩です」と捧げた「始まりの合図」、「トンボコープとあなたで作った今を最高にして帰ろう!」と誓った「Now is the best!!!」など、バンドの現在地を投影したようなセットリストには彼らの意思がしかと刻まれていた。

 マルチクリエーターjohnによるソロプロジェクトTOOBOEは、バンドセットを従えBananaHallに降臨。中毒性の高いディストーションボイスと高い演奏力でアウトプットされる「ミラクルジュース」から、ズブズブとTOOBOE沼に引きずりこまれていくエクスタシー。スリリングに駆け巡るギターがたまらない「廻する毒素」、ハードな音像を引き連れパレードするような「痛いの痛いの飛んでいけ」など、個性的な楽曲群を貫くのは自由に音楽を楽しみ/楽しませるスタンス。機材トラブルに見舞われながら、いざライブが始まればさすがの現場力でアドレナリンへと変換していたのもお見事だった。

 埼玉県鳩ヶ谷発の青春ロックバンド、フィシュリことFish and Lipsは、「HERO」や「会いたくなったら」など、そのスローガンを地でいく骨太のギターロックを梅田BANGBOOにぶっ放す! 続く「シンデレララブストーリー」や「本音」も飾らないグッドミュージックで、まさに小細工抜きの30分一本勝負。血の通ったエイトビートは、ただそれだけで問答無用の感動をもたらしてくれる。「サーキットの日はいつも人が入るか不安だと言ってたんですけど、あなたが今日この時間、この場所を選んで見に来てくれたから、俺らは自分を100%信じて歌えるんだなと思った。一番素直で優しい音楽をあなたに歌って帰りたいと思います」、そんな西村大地(Gt./Vo.)の一言から、クライマックスは新曲の「青春が鳴り止まない」にダメ押しの「青春ロックを歌って」の2連発! 日常からこぼれ落ちるどうしようもない感情があるなら、あなたがフィシュリと出会ったのは必然かもしれない。

 RIRIKO(Vo./Gt.)が「Believe in Breeze」を弾き語った瞬間、BananaHallがギュッと一つになったのが分かる。まるでワンマンばりのシンガロングとクラップが巻き起こったNELKEは、「努力教信者」や「バイバイアクター」でも次々とピークを更新していく天井知らずのボルテージで、その求心力はケタ違い。きらびやかなサウンドメイクに潜む切なさが胸をうずかせる「花図鑑」に、それを受け取る観客のまなざしに、このバンドはまだまだデカくなると確信。不協和音にまみれた「カレンデュラ」は、終始すさまじい破壊力と推進力で突き進むリズム隊が強烈! そして、「忘れないからね、今日のこと。NELKEを選んで良かった、大切な日曜日にライブハウスに来て良かったと思わせるから」と彼女が一節歌い上げるや、勝負は決まった。最後に放った「ロリポップサイダー」は、このバンドのまばゆき未来を確実に照らしていた。

 約10時間にわたる【GIGANTIC TOWN MEETING】のクローザーは、元・赤い公園でソロとしても活動する石野理子(Vo.)を中心に結成されたAoooだ。ドライブ感に満ちた「水中少女」からBananaHallをあっという間にロックオンし、ライブ当日に配信されたばかりの1st EP『Fooocus』に収録された、キュートでマッドなサウンドウォールが押し寄せる「BAQN」や、TVアニメ『ウィッチウォッチ』エンディングテーマ「魔法はスパイス」など、ニコニコしながら壮絶なアンサンブルでせめぎ合うさまはもう圧巻! ハイエナジー極まる「サラダボウル」でついにフィナーレへ……と思いきや、想定外にして正真正銘のアンコールが発生。一日を締めくくる「アパシー」でとことんぶち上がった、大トリにふさわしい最高のパフォーマンスにシビれた。

なお、今後は5月25日に兵庫・神戸国際会館こくさいホールで【OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL SPIN-OFF THE BONDS 2025 -NICE TO MEET YOU KOBE-】、6月7日、8日に京都・KBSホールで【OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL Special Live POPPIN’ BASE in KYOTO 2025】、そして、7月19日、20日には大阪・万博記念公園ジャイガ特設会場で【OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025】が開催。また、公式アプリでは【GIGANTIC TOWN MEETING】の出演者の中から、『ジャイガ』に出演してほしいアーティストを推薦する投票企画を4月14日まで実施中。【GIGANTIC TOWN MEETING】から、夏のジャイガに繋がるストーリがまた今年も生まれ、夏がより待ち遠しい一日となった。

◎公演情報
【OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025 SPIN-OFF「THE BONDS 2025」GIGANTIC TOWN MEETING】
2025年4月13日(日)大阪・梅田BANGBOO/Banana Hall/梅田Zeela
出演アーティスト:Aooo/AKASAKI/インナージャーニー/Ochunism/omeme tenten/ガラクタ/Kanna/巨匠(KEYTALK)/声にならないよ/Conton Candy/sanetii/35.7/chef’s/JIJIM/SHO-SENSEI!!/jo0ji/Chim Chap/ちゃくら(出演キャンセル)/TOOBOE/TRACK15/トンボコープ/猫背のネイビーセゾン/NELKE/FIVE NEW OLD/Fish and Lips/PompadollS/ミーマイナー/Mega Shinnosuke/YUTORI-SEDAI/Lavt/らそんぶる/Laughing Hick

PHOTO:
マスダユウタ(カタメツムリ/らそんぶる/TRACK15/TOOBOE/Fish and Lips)
キラ(Lavt/sanetii/PompadollS/トンボコープ/NELKE/Aooo)


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