<来日インタビュー>シンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデ&ジョン・M・チュウ監督 『ウィキッド』から教わる“多角的に見ることの重要性”

2025年3月18日 / 18:00

 不朽のミュージカルを現代の最高キャストで映画化した『ウィキッド ふたりの魔女』が大ヒットを記録している。3月7日に全国公開された本作は、2024年以降に公開された洋画実写作品として最高のスタートを切り、2025年公開の洋画作品の中で最速で興行収入10億円を突破した。

 緑色の肌と秘めた魔力を持つエルファバ役にシンシア・エリヴォ、裕福な家庭で育ちエルファバをライバル視しながらも、あることをきっかけに彼女の親友になるグリンダ役にアリアナ・グランデという、もはや説明不要の稀代のシンガーが主演。そして、音楽ファンには馴染みがあるダンス映画『ステップ・アップ』シリーズやジャスティン・ビーバーのコンサート映画とドキュメンタリー、近年は『クレイジー・リッチ!』『イン・ザ・ハイツ』で名実共にブロックバスター作品のリスト入りを果たしたジョン・M・チュウ監督がメガホンを取ることで、ミュージカルというエンターテイメントの側面が最大限に表現され、それと同時に、物語が問いかける「違う角度から見えるもの」を考えるきっかけも与えている。早くも続編の公開が待ちきれないが、2月中旬に来日したシンシアとアリアナ、監督に本作の魅力を語ってもらった。

――本作が今の時代に求められている部分は、どんなところだと思いますか?

アリアナ・グランデ:映画を見れば、(エルファバののちの姿となる)西の魔女は邪悪な存在ではないことがわかります。育った環境によって人間は形成されますし、一つの要素だけでその人を判断するのは不可能です。憎悪に対面したとき、人はどう反応するのか、そしてそこからどう成長するのかといったことは、『オズの魔法使い』が発表された頃から存在するテーマでもあります。分裂がある今、人々が話し合うきっかけを与える重要なトピックだと思います。

――シンシアにお聞きします。エルファバと共通する部分がありますか? そしてアリアナとの仲睦まじい関係性が素敵ですが、アリアナはどんな方でしょうか?

シンシア・エリヴォ:エルファバは自分の弱さを示すことを少し恐れていると思います。それは私も似ていて、よりオープンになる術を学ばなければなりませんでした。愛するものを全力で守ろうとする気持ちは私も同じで、エルファバのように私も常日頃から親切でいようと心がけています(ここでアリアナが「あなたこそ世界で一番親切な心の持ち主だよ!」と一言)。アリアナはその場を一瞬で明るくさせる存在で、広い心の持ち主でもあり、勉強熱心でもあります。コメディシーンではなんの躊躇もせずその世界観に飛び込んでいく姿を実際にセットで見て、感心もしました。アリアナこそグリンダがなりたいと願う人間だと思いました(この言葉に取材班含め、取材部屋にいる全員から感嘆の声が漏れ、アリアナの目から涙がこぼれた)。

――素晴らしいキャストの生歌を楽しむ時間でもありました。出演者が実際にセットで歌い、それを撮影する手法は簡単ではなかったと思います。

ジョン・M・チュウ:キャストに現場で歌ってもらい、それをそのまま活かす撮影方法は、今考えても最適な判断だったと思いますし、そういう判断に至ったのも自然な成り行きでした。というのも、会話の中に歌が存在しているからです。世界でも有数の素晴らしい、このシンガー&アクター2人のおかげで、セリフと歌唱の明白な切り替えが発生せず、とてもなめらかにナチュラルにやり取りが展開していくため、真実味に辿り着くことができました。観客はミュージカルにおける音楽の力を感じるはずです。簡単そうに見えますが、この2人だからこそ、できたことでもあると思います。

――実際、撮影は大変でしたか?

シンシア:飛ぶ行為と歌う行為を同時にするのは至難の業です。地に足を付けて歌う場合、声を発するための筋肉や肺、重力が働きますが、飛行中はそれら全てを失うことになり、(地上で歌うときと)同じ状態を空中でなんとかして作る必要があります。声を出すための呼吸法も変わってきます。ハーネスやコルセットを付けてクルクル回りながら歌うのは非常に難しいながらも、楽しくもありました。通常の歌唱スタイルとは異なる状況で自分の体をどう使えば歌えるのかを学ぶことができました。この経験があるので、私はどこでも歌えると思います。

――冒頭の「ノー・ワン・モーンズ・ザ・ウィキッド」の歌唱シーンには華やかさがあり、今まで見たことのないアリアナの歌唱スタイルに驚きました。

アリアナ:そのシーンは、マンチキンの人々に西の魔女が死んだという吉報を伝える場面です。(市民には)いいニュースであるのですが、グリンダは人生で唯一の親友を失って悲しんでいるので、悲しみを堪えながら自分の役目を全うするというバランスに気をつけました。

最初のオーディションの3か月前から声楽レッスンを受け始めました。グリンダはオペラを歌うのですが、私にはそのスキルがなかったですし、ソプラノも使ったことのない筋肉や声帯を使うことになりそれに向けたトレーニングもしました。準備万端で挑んだので役を勝ち得た感じがあります。もう一回でもやりたいくらい、それくらい誇りに思える体験になりました。

――エルファバやグリンダは偉大な魔法使いになるために勉学に励んでいます。夢を叶えるために必要なことはなんでしょうか?

シンシア:誰かから「無理(ノー)」と言われて夢を諦めるのは、許容すべきことではありません。夢を叶えるための努力は、当然必要です。夢が叶う瞬間がやってきたときに準備ができていないといけませんから。急に叶うものでもなく、努力の積み重ねがあってこそ、夢が叶うときに自分が望む姿になっているんだとも思います。夢は掴むことのできない、実体のないものに思えますが、大地に根差したリアルなものだと思うので、自分が実際に掴む姿をイメージすると違った景色が見えると思います。

Text by Mariko Ikitake

◎公開情報
『ウィキッド ふたりの魔女』
全国公開中
監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリーほか
配給:東宝東和
(C) Universal Studios. All Rights Reserved.


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