<ライブレポート>SIX LOUNGE、アコースティック編成で豊かな表現力を見つけた初のビルボードライブ公演

2025年3月12日 / 20:30

 ヤマグチユウモリ(Gt. / Vo.)、ナガマツシンタロウ(Dr. / cho.)、イワオリク(Ba. / cho.)による3ピースバンド、SIX LOUNGE。2018年にメジャーデビューを果たした彼らの音楽的な軸は、王道のロックンロールだ。さらに歌謡的な憂いを感じさせるメロディ、情景や感情をリアルに映し出す歌詞、そして、強さと繊細さを兼ね備えたヤマグチのボーカルによって、ロックファンを中心に幅広い支持を獲得してきた。

 結成10周年を迎えた2022年以降は、『僕のヒーローアカデミア』EDテーマ「キタカゼ」、ドラマ『REAL 恋愛殺人捜査班』主題歌「Madness」などの話題曲を次々と発表。また2016年のアルバム『東雲』に収録された「リカ」がバイラルヒットとなり、Billboard JAPANが発表する“TikTok Weekly Top 20”で首位を獲得するなど大きな注目を集めた。

 生々しい感情を刻み込んだライブパフォーマンスも、SIX LOUNGEの大きな魅力。アコースティック編成で行われた初のビルボードライブ公演でも彼らは、自らの音楽性と表現力をダイレクトに響かせた。

 開演時間の17時半になり、ヤマグチ、ナガマツ、イワオがステージへ。3人が横に並ぶ形でライブはスタートした。今回のビルボードライブ公演の最大のポイントは、アコースティック編成であるということ。アコースティック・ギター、アコースティック・ベース、ドラムが絡み合い、豊かなアンサンブルが立ち上がる── それは“穏やか”とか“リラックス”というよりも、SIX LOUNGEの本質をヒリヒリと映し出しているように感じた(個人的には、ニルヴァーナの『MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク』を想起した)。

 シンプルかつ有機的な音像によって、楽曲の骨格がしっかりと感じられたことも印象的だった。その中心にあるのはもちろん、ヤマグチの歌だ。たとえば「言葉にせずとも」(TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』 オープニングテーマ)。原曲は性急かつアッパーなロック・チューンだが、この日はテンポを抑え、言葉とメロディを丁寧に紡ぎ出していた。〈嗚呼 言葉はもう必要ないさ/それ以上に通じ合ってる〉というフレーズを目の前のオーディエンスに手渡すように歌う姿は、ビルボードライブならではだろう。

 そう、観客とバンドの距離の近さもビルボードライブの良さ。「ちょっと控え目ですね(笑)。横浜の雰囲気に負けてるんじゃない?」(ヤマグチ)という気の置けないトークも楽しい。さらに「上品に楽しみたい気持ちもわかるけど、自由にやってください」と話しかけた後、本公演のために用意された限定カクテル「メリールー」(彼らの地元・大分の焼酎をベースにしたカクテル。ヤマグチいわく「甘さがちょうどいい」)で乾杯。ちょっと緊張気味(?)だったオーディエンスも笑顔になり、“この場を楽しもう”という雰囲気が広がった。

 歌をじっくり聴かせるだけではなく、このバンドの身上であるロックンロールもしっかりと体感することができた。そのことを象徴していた曲の一つが「アジアの王様」。やはり原曲よりもテンポを落としているのだが、心地よくグルーヴするベースライン、ドライブ感たっぷりのドラム、歌心を感じさせるアコギが共鳴し、極上のロックンロールが出現。観客も身体を揺らし、サビのメロディを口ずさみながらバンドとの“セッション”を楽しんでいた。楽曲によってはナガマツがカホンを演奏する場面も。メンバー3人の生音の響きを直接味わえたのも、今回の公演の大きな収穫だったと思う。

 さらに代表曲「リカ」「メリールー」も。ファンにとっては馴染みのある楽曲であり、ライブに欠かせないナンバーだが、アコースティック編成によって原曲の新たな表情を引き出していた。またメンバーの音楽的志向が感じられるカバー曲も披露。現在のSIX LOUNGEのリアルな音楽性をたっぷりと感じ取れる、貴重なステージだったと思う。4月10日にはビルボードライブ東京での追加公演も決定。オーセンティックなロックンロール、日本的情緒を感じさせる歌詞、エモーショナルな歌を軸にしたこのバンドの本質を、ぜひ至近距離で堪能してほしい。

Text:森朋之
Photo:masushi watanabe

◎公演情報
【SIX LOUNGE ACOUSTIC Billboard Live 2025】
3月3日(月)大阪・ビルボードライブ大阪
3月5日(水)神奈川・ビルボードライブ横浜
※全公演終了

【〈追加公演〉SIX LOUNGE ACOUSTIC Billboard Live 2025】
4月10日(木)東京・ビルボードライブ東京


音楽ニュースMUSIC NEWS

MISS MERCY、配信シングル『珈琲とバブルガム。』リリース&MV公開

J-POP2025年4月27日

 「GIRLS NEW ERA」(新時代の女の子たち)をコンセプトに活動する女性6人組ダンスボーカルグループMISS MERCY。3月2日から6人体制となったグループ第二章では、メンバーの個性を活かすべく、それぞれにフィーチャーした新曲を3 … 続きを読む

『パリピ孔明 THE MOVIE』上白石萌歌が惚れ込んだライバル役・詩羽の魅力「歌も表現もお芝居も本当に素敵でした」

J-POP2025年4月27日

 劇場公開を迎えた『パリピ孔明 THE MOVIE』にアマチュアシンガーの月見英子役で出演する上白石萌歌が、水曜日のカンパネラのボーカルでもある詩羽演じるshinの歌唱シーンを見て、感動したことを明かした。  現代の渋谷に転生した三国志の軍 … 続きを読む

GEZAN、【47+TOUR『集炎』】より4公演ゲスト&詳細発表

J-POP2025年4月27日

  GEZANが全国47都道府県に加え中国・上海公演を含む全50公演に及ぶツアー【47+TOUR『集炎』】のうち、4公演のゲストアクトと詳細を公開した。   広島公演にKOTORIとDJ中村明珍、山口公演・香川公演にSuiseiNoboAz … 続きを読む

FOMARE、結成10周年ツアー初日に新曲「サウンドトラック」配信リリース決定

J-POP2025年4月27日

  FOMAREが結成10周年記念ツアーの初日となる6月4日に、トイズファクトリーより新曲「サウンドトラック」をリリースすることが決定した。   新曲「サウンドトラック」は、不器用ながらも真剣だったあの頃の想いが聴く人の心にじんわりと響き、 … 続きを読む

Laura day romance、全国6か所ワンマンツアー 【Laura day romance tour 2025 a perfect review】2025年秋開催決定

J-POP2025年4月27日

  Laura day romanceが2025年10月から11月にかけて、全国6か所のワンマンツアーを開催することが決定した。   本ツアーは【Laura day romance tour 2025 a perfect review】と題 … 続きを読む

Willfriends

page top