<ライブレポート>新生リンキン・パーク、12年ぶりの来日公演で轟かせた圧巻のラウド・ミュージック

2025年2月22日 / 18:00

 リンキン・パークが、12年ぶりに日本に上陸した。通算8枚目となるアルバムをタイトルとした【LINKIN PARK: From Zero World Tour 2025】の日本公演を、2月11日と12日に埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催。新曲に加えて、過去の代表曲が惜しみなく披露され、公演を待ち望んだ多くのファンを熱狂に包んだ。

 2000年にアルバム『Hybrid Theory』でメジャーデビューした彼らは、ニューメタルやミクスチャーの先駆けとして、21世紀のロックシーンを牽引し続けてきた。しかし、ボーカル=チェスター・ベニントンの突然の死により、2017年以降バンドは活動休止状態に。そして2024年9月、沈黙を破るかのように再始動を果たし、ニューアルバム『From Zero』のリリースとワールド・ツアーの開催が発表された。新ボーカルにエミリー・アームストロング、新ドラムにコリン・ブリテンを迎えた新生リンキン・パークの英姿を余すところなく感じることができた今回の来日公演。本稿では公演2日目の模様をお届けする。

 日本の特撮映画で使用されているテーマ「怪獣大戦争マーチ」がオープニングSEで流れる。会場の期待がさらに上昇する中、彼らはステージに姿を現した。メロディアスなアルペジオと高揚感のあるドラミングによるイントロが奏でられ、「Somewhere I Belong」からスタート。エミリーとマイク・シノダによるパワフルで調和のとれたツインボーカルと重厚なバンドサウンドに、会場のボルテージは一気に上昇。すると立て続けに「Points of Authority」「New Divide」と、序盤から有名曲が続き、何度も大歓声が沸き上がった。テンションマックスの観衆に対して次に投下されたのは、ニューアルバムからのリードシングル「The Emptiness Machine」だ。新体制になってから最初にリリースされた同曲。曲が始まった途端に起きた歓声は、まさに新生リンキン・パークを歓迎するかのようなものだった。新ボーカルのエミリーは完全にバンドと一体化しており、空間を突き破るかのような彼女のシャウトに、会場の全員が心を奪われたに違いない。まだライブは始まったばかり。これからどんな曲が演奏されるのか、ますます期待値が高まっていく。

 荘厳な雰囲気をまとったシンセの音色とDJのジョー・ハーンによるリズミカルなスクラッチが響き渡る。4thアルバム『A Thousand Suns』より、「The Catalyst」だ。徐々にベースやボーカルが重なっていき、後半に向かうにつれて美しいメロディーを織りなしていく。続いて演奏されたのは、エレクトロニックな要素の強い「Burn It Down」や「Waiting for the End」。彼らの出発点となるのはヘヴィなバンドサウンドであるが、時には作風やコンセプトを変えながらも独自の世界観を作り上げてきた。柔軟なクリエイティビティ、それを体現することにより、多くの金字塔を打ち立ててきたバンドであることは明らかだ。あらためて、豊富な楽曲群とともに、彼らの表現の幅の広さを感じることができた。そしてサウンドは一転、エミリーのロングスクリームとラウドなギターで幕を開ける「Two Faced」が投下される。観衆が大きく揺れ始め、まさに“縦ノリ”という感じの激しさを持った楽曲だ。同曲はニューアルバムに収録されており、サウンドや構成において“リンキン・パークらしさ”全開のナンバーである。彼らのカムバックを大いに実感した歓喜の瞬間だった。

 ジョーによるDJソロ、マイクによるラップパートを経て、アップテンポなロックナンバー「Keys to the Kingdom」へ。拳を掲げた観衆は、これでもかというようなエミリーの強烈なシャウトに引き込まれていく。その後、ステージにスモークが立ち込め、聴きなじみあるギターリフが。クラシックな初期のメタルナンバー「One Step Closer」だ。会場のボルテージはさらに上昇を見せ、曲後半の「Shut Up!」と叫ぶパートでは爆発的な盛り上がりを見せた。ヘヴィでキャッチーなギター、繰り返されるエミリーの咆哮。筆者自身も惚れ惚れとしてしまった。その後に披露されたのは、切ないピアノ・バラード「Lost」。今までとは毛色の違う、エミリーの美しく強かな歌声が涙を誘った。

 熱気はとどまることを知らず、ライブは後半戦へと突入。大ヒットナンバー「Numb」が始まると、大きなシンガロングが巻き起こり、観衆はどんどん一体感を増していく。そこからも立て続けに名曲が放たれた。続く「In the End」では、エミリーがステージを降り、オーディエンスのもとへ。マイクを向けられたオーディエンスによる大合唱はまだまだ続いていく。その後に投下されたのが「Faint」だ。印象的なストリングスのもと、マイクのアグレッシブなラップが存分に感じられる大名曲。ここでも、エミリーのシャウトは衰えを知らず、歓声の中を響き渡っている。伝説的なナンバーが連続で演奏された後は、なんとなく放心状態に近い感覚に陥っていた。

 一旦ステージを後にしたメンバーが再び戻ってきた。「Papercut」で熱気を取り戻すと、その後に披露されたのは、意外にも「Lying From You」。攻撃的なギターリフ、ツインボーカルによる掛け合い、加えてエミリーのシャウト。会場には大きな地鳴りが起きていた。そんな最高潮の盛り上がりの中、ニューアルバムからのセカンドシングル「Heavy Is the Crown」が繰り出される。次々と放出されるヘヴィでダイナミックなサウンド。ファンの心は途絶えることなく燃焼し続けた。そして、2時間のステージのラストを飾ったのは、「Bleed It Out」。手拍子と大きなシンガロングが巻き起こる。空間全体が幸福感に満ち溢れる中、怒涛のように新旧楽曲が繰り広げられた熱狂的なライブは幕を閉じた。

 新生リンキン・パークとしての初の来日公演。新メンバーと一体となった彼らは、パフォーマンスやサウンド面において、既に完成されたバンドとなっていた。前ボーカルのチェスターが稀有な存在であったことは確かだ。しかし、エミリーやコリンは過去の彼らを踏襲しながらも、新しい解釈のもとでバンドをアップデートさせてくれた。もはや過去と比較することがナンセンスであるようにも感じる。不安を吹き飛ばす予想以上の新メンバーが加わったリンキン・パーク。今後もロックシーンに衝撃を与え続けていくことになるだろう。次回作、次の来日公演に早くも期待が膨らむ。

Text by Yutaro Takahashi
Photo by Teppei Kishida

◎公演情報
【LINKIN PARK: From Zero World Tour 2025】
2025年2月11日(火・祝)OPEN 16:30 START 18:00
2025年2月12日(水)OPEN 16:30 START 18:00
埼玉・さいたまスーパーアリーナ

<セットリスト>
1.Somewhere I Belong
2.Points of Authority
3.New Divide
4.The Emptiness Machine
5.The Catalyst
6.Burn It Down
7.Over Each Other
8.Waiting for the End
9.Castle of Glass
10.Two Faced
11.Joe Solo
12.Mike Solo(When They Come for Me/Remember the Name)
13.Keys to the Kingdom
14.One Step Closer
15.Lost
16.Good Things Go
17.What I’ve Done
18.Overflow
19.Numb(+“Numb Encore”)
20. In the End
21. Faint
22.Papercut
23.Lying From You
24.Heavy Is the Crown
25.Bleed It Out


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