<ライブレポート>KAZ、バースデーライブで幕を開けた新たな物語――音楽と祝福に包まれた感動の夜

2025年1月27日 / 18:00

 昨年12月4日に「KAZ」名義で初のソロアルバム『STYLE』をリリースしたGENERATIONSのヴォーカル、数原龍友が12月28日、【KAZ Billboard Live 2024 STYLE】のファイナル公演を神奈川県・ビルボードライブ横浜で行った。ちょうどこの日は彼にとって32歳の誕生日。会場やライブ配信先でかけつけたオーディエンスとともに祝福する一幕もあり、終始なごやかで親密な空気に包まれていた。

 KAZによるソロライブは、好評を博した一昨年のソロ公演に続いて二度目。全国のビルボードライブを回った今回の【KAZ Billboard Live 2024 STYLE】は、大阪公演はクリスマスイブ、そしてファイナルとなるこの横浜公演は自身のバースデーというスペシャルなものとなった。

 定刻となり、まずはサポートメンバーの上條頌(Gt)、PENNY-K(Key)、石田まり(Key)、滝元堅志(Ba)、坂東慧(Dr)がステージに上がる。ギターの上條はGENERATIONSのライブサポートを務め、KAZのソロアルバムにも参加するなどチームのみならずファンからも絶大な信頼を得ている人物だ(この日も客席から、上條への熱いコールが上がっていた)。

 この記念すべき「バースデーライブ」を祝福するような、バンドメンバーによるとびきりファンキーな演奏をバックにKAZが登場。髪を後ろで束ね、黒いシャツに赤紫のシックなコーデュロイジャケットを羽織ったサングラス姿の彼に、フロアからは大きな歓声と拍手が巻き起こった。

 まずはアルバム『STYLE』からの楽曲「Second Wave」で、この日のライブをスタート。ソロアーティストとして「新たな一歩」を踏み出したKAZの心境を「波」に喩えたこの曲は、本人曰く「もっとも自分らしさが詰まった曲」だ。坂東&滝元のリズム隊による強靭なグルーヴと上條による軽やかなカッティング、そして石田&PENNY-Kが奏でる洗練されたコード進行。そんな豊かなアンサンブルをバックに、地声とファルセットを巧みに織り交ぜたKAZの官能的な歌声が響き渡り、ビルボードライブ横浜は一気に「KAZワールド」へと誘(いざな)われる。

 「今日はみなさん、来てくれてありがとう。最高の夜にしましょう」そう挨拶し、続いて披露したのは「Beautiful Sunset」。〈飾らないで 気負わないで ありのままでいいんじゃない?〉と歌われるこの曲も、等身大の自分自身を肯定しつつ、聴く人の気持ちにも寄り添うオーセンティックなソウルチューンだ。KAZはステージの端から端まで練り歩き、そこにいるファン一人ひとりに語りかけるように丁寧に歌っている。ラップとメロディの「あわい」を行き来するようなフロウも心地よい。

 「改めまして、最終公演へようこそ。あっという間にこの日が来てしまって寂しい気持ちもあるけど、なんといっても今日は誕生日ですからね」と挨拶をすると、会場からは温かい拍手とともに「おめでとう!」の声が飛び交う。「GENERATIONSの最年長メンバーは僕と(中務)裕太なんだけど、今日は来てくれてるのかな?」とフロアに呼びかけ、それに中務が「いるよー!」と客席から応えて会場がにわかに沸き立つ一幕もあった。

 「何より、みなさんとこうして誕生日を迎えられるのはすごく幸せなことだと思っています。みなさんにとっても今日がスペシャルな日になってもらえると嬉しいです」

 そう感謝の言葉を述べたあと、「Nostalgie」をアコースティックセットで披露。美しいファルセットをアカペラで響かせ、そこにピアノ、アコギと徐々に楽器が積み重なっていく。サビ前に訪れた一瞬の静寂で、聴き手を心地よい緊張感に包み込んだまま「Better With You」へ。アコースティック編成で聞かせるゴスペル風味のアレンジと、シルクのようなKAZの歌声に会場からは思わずため息が漏れた。そして、アコギに導かれ徐々にアンサンブルが熱を帯びていくミドルチューン「F.L.L.~4y~」が、中盤のクライマックスとなった。

 ロマンティックな雰囲気から一転、ライブ後半は滝元によるファンキーなベースリフで一気にテンションを上げていく。自然発生的に湧き上がったハンドクラップとともに「My Love」が演奏され、天井のミラーボールが回り出すとビルボードライブ横浜が一気にディスコへと早変わり。躍動感あふれるリズムとKAZの甘い歌声が響き渡る。さらに、波の音とともに演奏されたのは「Pacific Love Memories」。KAZ自身が作詞作曲に関わり、自身のアメリカでの思い出を綴った大切なソウルチューンだ。

 「ソロアーティスト『KAZ』として、ようやくスタート地点に立てた気がします」と今の心境を語り、「KAZとしての活動も大切にしつつGENERATIONSのメンバーも大事にしたい」と、ソロを始めたからこそ感じるグループへの想いを真摯に語ったKAZ。「少し過ぎてしまいましたが、僕からみなさんへのクリスマスプレゼントです」と言って、GENERATIONSのウィンターソング「Winter Wish」をしっとりと歌い上げた。

 『STYLE』にも収録されているシャネルズのカバーソング「ハリケーン」では、ステージを降りて客席を歩きながら〈あの娘探すのさ Midnight チュー・チュー・トレイン〉と歌いオーディエンスを大いに沸かせ、ファンへの感謝の思いを込めたというゴスペルソング「No Matter What」を披露し本編を終了した。

 アンコールでは、バンドメンバーとオーディエンス、そしてバースデーケーキを持って現れた中務裕太に誕生日を祝福されたKAZ。少し照れくさそうにお礼の言葉を述べつつ、「さっき(中務に)話しかけなかったらもっとみんな驚いてくれたのにね、失敗した」と話して客席の笑いを誘った。さらに「Pacific Love Memories」の日本語歌詞バージョンを歌い、「みなさん、そして自分自身にも向けた応援ソングです」と紹介して「Go Your Way」を力強く歌い上げ、この日のステージに幕を下ろした。

 ソロアーティスト「KAZ」として第一歩を踏み出した数原龍友。その記念すべき瞬間を目撃した、とても貴重な一夜だった。

Text:黒田隆憲
Photo:LDH JAPAN

◎公演情報
【KAZ Billboard Live 2024 STYLE】
12月12日(木)東京・ビルボードライブ東京
12月24日(火)大阪・ビルボードライブ大阪
12月28日(土)神奈川・ビルボードライブ横浜
※全公演終了


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