<ライブレポート>サウジアラビアと日本の音楽が融合した【マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ】東京公演 (12/20訂正)

2024年12月20日 / 13:28

 サウジアラビア国立管弦楽団・合唱団が、2024年11月22日に東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにて【マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ】東京公演を開催した。

 サウジアラビア国立管弦楽団・合唱団は2019年に結成され、サウジアラビアの音楽文化を世界に広めるため、ワールド・ツアー【マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ】を行っている。今回の東京での開催は、仏パリ、メキシコ・メキシコシティ、米ニューヨーク、英ロンドンに続く5都市目。

 本公演では、サウジアラビアと日本の伝統音楽の演奏、サウジアラビア国立管弦楽団・合唱団と東京音楽大学オーケストラ・アカデミー、そして、特別ゲストのギタリスト・布袋寅泰を迎えた共演など、両国の音楽の融合を見ることができた。日本ではなかなか聴くことのできないアラブ音楽の伝統楽器や、これらの楽器から奏でられる独特な響きに観客は大いに魅了された。

 公演は、サウジアラビア音楽委員会CEOのポール・パシフィコ氏による挨拶で開幕。2025年は日本・サウジアラビアの外交関係樹立70周年であり、パシフィコ氏は記念すべき年を前に初めて東京で公演ができることの感謝や、世界に橋をかける共通の言語としての音楽の重要性などを語った。

 第1部は雅楽団体である雅楽オーケストラ インペリアルコートミュージックによって、舞楽「陵王」が披露された。龍笛が旋律を奏で始め、太鼓と金属製の打楽器・鉦鼓の音色が合わさる。赤い装束に仮面をつけた舞人が舞台上に登場し舞い始めると、笙、篳篥などの音色が重なり、だんだんと盛り上がりを見せる。千年以上にわたり受け継がれてきた、荘厳な演舞に圧倒された。

 続いて第2部は、サウジアラビア国立管弦楽団・合唱団による演奏。舞台上にはヴァイオリンやチェロなどオーケストラで使われる楽器と共に、ウードや琴のようなカーヌーン、大きな円形の枠に皮を張った打楽器・ダフなどアラブの伝統楽器が並び、壮観であった。

 最初の楽曲は、弦楽器による短い前奏の後、さまざまな楽器が加わりリズミカルな曲が特徴の「アル・ハワ・アルガイブ」。トレモロや様々な奏法を巧みに操るウードや、カーヌーンのソロが心地の良い音楽である。

 続いて「ワルダク・ヤ・ザール・アル・ワ」へ。冒頭のヴァイオリン・ソロでは、低音部から高音部まで自在に駆け巡る音、狭い音程の間をうねるように複雑なリズムで奏でられる超絶技巧を堪能した。ソロの後はオーケストラと合唱団も加わり、情熱的で壮大な音楽が披露された。

 その後、ハイテンポな「シャクニ・ハブ・アル・ジャヌーブ」、弦楽器の重厚なユニゾンの上を細かく爪弾くカーヌーンのソロが美しい「タラヒブ・ビ・ガイリ」、陽気な笛の旋律や、女声・男声合唱の掛け合いが楽しい「アル・カイド」が続く。

 第2部を締めくくったのは「アニメ・メドレー」。『UFOロボ グレンダイザー』、『キャプテン翼』、『名探偵コナン』、『ポケットモンスター』など、日本アニメのアラブ・バージョンのメドレーを、オーケストラ、合唱団、女声ボーカルのソロで披露。演奏終了後は観客たちが歓声や指笛で演奏者たちを称えており、日本アニメの人気ぶりを目の当たりにした。

 アラブ音楽は、現在多くの国で使用されているクラシック音楽の語法をあてはめることができない。ピアノには出せない半音より狭い音程や、独特の音階。サウジアラビア国立管弦楽団はまだ歴史の浅いオーケストラであるにもかかわらず、アラブの伝統音楽をクラシック音楽で使用されるオーケストラに柔軟に融合させ、世界中に広げる姿勢に独自性がある。本公演でもクラシックやポピュラー音楽と伝統的なアラブ音楽を上手く合わせ、楽しめるようにしていたのが印象的であった。

 最終パートである第3部は、日本の演奏者たちとのコラボレーション。サウジアラビア国立管弦楽団・合唱団と東京音楽大学オーケストラ・アカデミーが舞台上を埋め尽くす。サウジアラビア国立管弦楽団が日本のオーケストラと共演するのは今回が初めてということで、その貴重な瞬間を金管楽器のファンファーレと行進曲調の「アル・ウラの序曲」、次々と曲調を変えながら、高いテンションへ導いた「サウジアラビアの名曲メドレー」で堪能することができた。

 熱狂も冷めやらぬまま、舞台上にはスペシャル・ゲストの布袋寅泰が両国のオーケストラの好演に拍手をしながら登場し、映画『キル・ビル』より「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」を演奏。布袋は両国のオーケストラに溶け込むような音色から、咆哮のように唸るソロまでたっぷりとその技巧を聴かせた。

 最後は、サウジアラビア国家歌「アンマー・ヤ・ダルナ」が演奏された。会場のモニターにはサウジアラビアの国旗がなびく映像が映し出され、音楽に合わせてスマートフォンのライトを照らし左右に振りながら楽しむ観客も多く見られた。

 言葉や文化の違いはあるが、その壁を超えて楽しめるのが音楽だと体感した公演だった。そして、音楽を通して両国がさらに交流を深めていく、新たな始まりの光景を【マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ】では見ることができた。

Text:山下実紗

◎公演情報
【マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ】
2024年11月22日(金) 東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル

※記事初出時、内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。


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