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聖飢魔IIの創始者である大魔王・ダミアン浜田陛下が再び人間界に顕現。選ばれし改臟人間たちと結成したヘヴィメタルバンド・Damian Hamada’s Creatures(D.H.C.)が、8月25日に恵比寿LIQUIDROOMにて人間椅子との初のツーマンライヴを実現した。
【Damian Hamada’s Creatures と人間椅子】と題されたこのイベントには、HR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)界の若手有望株であるASTERISMと現在日本のROCKシーンで異彩を放つ注目のバンドWENDYもフロントアクトを務めるべく登場。HAL-CA(g,vo)、MIYU(b)、MIO(dr)によるASTERISMがインストゥルメンタルからポップセンスの光るボーカル曲までスーパーテクニカルな演奏で観客の度肝を抜き、世界を股にかける3ピースメタルバンドとしてのスター性を見せつければ、続くWENDYもJohnny(b)不在ながらSkye(vo,g)、Paul(g)、Sena(dr)、サポートベーシスト・大桃俊樹の4人で、70’s/80’sのルーツロックやハードロックを純粋無垢に再構築したロックナンバーを畳み掛け、会場中を煽情していく。Skyeが「このライヴ出るの、少し怖かったんですよ。俺らだけメタルじゃないから(笑)」と語る場面もあったものの、そのロックスター然とした歌声と演奏で終始オーディエンスを熱狂させていた。
そして、ライヴはいよいよ本編へ。先攻は和嶋慎治(g,vo)、鈴木研一(b,vo)、ナカジマノブ(dr,vo)による、今年でバンド生活三十五周年を迎えた日本が誇るハードロックバンド・人間椅子。MCでは「転換の音楽がELP(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)の「タルカス」1曲だけだったんですけど、さっき楽屋でダミアン浜田陛下と話をしていたとき、なんと陛下はね、ELPのファンクラブに入っていたと聞いて。でも、せっかくファンクラブに入ったのに、ELPは来日しなかったんだそうです」「今日のイベントは若い方からお年寄りまで。お客さんじゃなくて出演者の話ですよ? 世代を超えた素晴らしいHR/HMフェスティバルと言えるんじゃないでしょうか! なんと言っても一番年上はね、ダミアン浜田陛下は10万歳超えているというお話をね、楽屋で伺いまして。一気に平均年齢をあの方が上げていますけど!」と笑いを誘いつつも、演奏が始まれば、異端なヴィジュアル含む怪奇な世界観を重厚なサウンドで魅せていき、その唯一無二なライヴパフォーマンスで会場を狂喜乱舞させていく。
そんな人間椅子の圧倒的なアクトを受け、シエル(vo)の気合いの入ったシャウトとハイトーンボイスから始まったD.H.C.のステージは、冒頭から拳を振り上げたり、共に歌い叫んだり、ヘドバンを繰り広げたりと誰もが全身全霊で暴れまわる狂乱の渦へ。そんな愛しき光景に笑顔を浮かべながら「対バンを快く引き受けて下さいました人間椅子の皆さん、フロントアクトを務めてくれたASTERISM、WENDYもありがとうございます!」と感謝の言葉を述べつつ「恵比寿LIQUIDROOM、ここは今から地獄です」と宣言すれば、さらに重く激しい演奏とエモーショナルな歌声を轟かせていく。また、ダミアン浜田陛下が荘厳なオーケストレーションと共に降臨すると、自らセンターで魔王然とした劇的なギターを奏で、会場中の人々の心を完全掌握。圧倒的な一体感を生み出してみせた。「諸君、私だ。魔王、ダミアン浜田である! この度のライヴ【Damian Hamada’s Creatures と人間椅子】、楽しんでおるかぁー!」という陛下の問いに爆発的な歓声で応えるオーディエンス。
そして、D.H.C.のメンバーを1人ずつ紹介していく流れで、人間椅子のTシャツを着て今日の現場に現れたというリリス(b)にダミアン浜田陛下が「人間椅子の魅力、惹かれたところは一体どこかね?」と問うと、リリスは「私が答えるのはめちゃくちゃおこがましいんですけど、魅力のひとつを私から言わせて頂くと、ブレないところ。ブレずに、ひたすらあの世界観がブラッシュアップ、熟成されて、今がいちばん常に面白い状態。というところがかなり魅力的だと思っていて。それを35年やっているというのは、本当に凄いなと。私が人間椅子に出逢ったのは『品川心中』のMVが出たあたりだったので、18年前ぐらいになるんですけど、そのときと変わらない姿を今日観て。同じステージに立てているのが不思議なような、嬉しいような気持ちです。ありがとうございました!」と語り、人間椅子のファンたちから拍手喝采を浴びていた。
また、陛下も「私と人間椅子の繋がりだが、28年前に私の個悪魔教典、ソロアルバムだな。これに鈴木研一氏が参加してくれて、ここで繋がりが出来たのではあるが、その頃、私はだな、世を忍ぶ仮の姿で高校教師をしておった! つい5年前までしておった! そんなこともあって人間椅子と一切接点もなくきておったのだが、今年の1月、元聖飢魔IIのゾッド星島親分の紹介で、ナカジマノブ氏と会食することになった! その席で私のほうから「いつか対バンができるといいな!」という話をした。それをナカジマノブ氏は持ち帰って、後日「鈴木研一氏と和嶋慎治氏も乗り気ですよ!」という連絡を頂いた! 私はな、本当に嬉しかったぞ。ありがタイガー! だから、私はこの日がとても待ち遠しかった!」と人間椅子との共演を喜んだ。
そして「人間椅子の作品は文学作品からのタイトルが付けられていることが多い。我々が次に演奏する曲はイギリスの文学作品からタイトルをもらった!──「嵐が丘」聴いてくれたまえ」と、その後もヘヴィなサウンドとドラマティックなフレーズの洪水にオーディエンスを飲み込んでいくD.H.C.。日本のHR/HMが今後再び隆盛していくことを確信させたイベント【Damian Hamada’s Creatures と人間椅子】のトリに相応しいアクトで最後までオーディエンスを歓喜させ続けてみせた。すべてのライヴ終了後、ASTERISM、WENDY、人間椅子と出演者を全員ステージに招き入れ、陛下自らそれぞれのバンドに「大きな拍手を!」と観客と共に健闘を称える。
「我々は存分に楽しむことができたぞ。そなた達のおかげでな! そなた達は楽しむことが出来たのかね!(大歓声)だが、楽しい時間はあっと言う間に終わってしまう。そろそろお別れの時間だ! 私はそなた達に、本日参加してくれたバンドのメンバーの演奏を、何度でも何度でも聴きたくなる麻薬的な魔力を放っておったから、それを浴びまくった諸君はまたどこかのライヴ会場で会うことになるであろう! 楽しみにしておるぞ! それでは、今宵はこれにてサラバである! ある! ある! ある! メタルぅー!!」
取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:岡見 高秀
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