<ライブレポート>トリー・ケリー、ヴォーカリストの神髄を至近距離で体感したプレミア来日ライブ

2024年9月3日 / 18:00

 トリー・ケリーの初めてのアジアツアー【Purple Skies Tour】の最終公演を8月29日に東京・渋谷WWWXで観た。キャパ500人の会場は、チケット発売と同時に完売となり、私の周りでも「チケットが買えなかった」という声が聞かれた。観客は、20代~30代が中心だが、小学生の姿もある。映画『SING/シング』の影響かなと思いつつも、日本公開されたのは2017年だからなぁ……。

 19時からのメイジー・ケイのオープニングアクトの後、20時を少し過ぎたところでケリーがバンドと登場する。暗転と共に上がった「トリー、トリー」の声は、悲鳴にも似た歓声に変わる。その大音量はとても500人とは思えず、倍以上はいそうな感覚は最後までずっと続いた。

 ライブは「thing u do」から始まり、「制作する過程で自分がパフォーマンスする姿が浮かんでいた」と言うほどステージを意識して作ったニュー・アルバム『TORI.』を中心とする構成。2曲目の「unbelievable」から早くもその発言を実感できた。というのも彼女が観客に「次の曲は、みんなの助けが……」と全て言い終える前に食い気味に「ユーア~、ユーア~、ユーア~♪」という歌声が上がったのだ。この曲のゲストであるアイラ・スターのパートは任せてよ、という意欲の表れだったと思うが、ここから息ぴったりのコール&レスポンスが始まり、「Nobody Love」、「diamonds」、「Hollow」、「shelter」などで大合唱が湧きあがる。トリーの曲は、自分がコーラス隊となってサビで一緒に歌いたくなるものが多い。この一体感こそが彼女の求めていたことではないか。

 また、『TORI.』は、90年代後半から2000年代初頭にかけての音楽にインスピレーションを受けた作品だと言う。その言葉を裏付けするかのように「cut」の後にアイディアの元となったデスティニーズ・チャイルドの「Say My Name」のフレーズを続けて歌う。『TORI.』の特徴として異なる要素をシームレスにつないでいることがあるけれど、この展開も極めてナチュラルで、粋な演出に感嘆の声が上がる。

 中盤にアコースティック・ギターを抱えて、2013年のEP『Foreword』から「Dear No One」を歌い始める。コンサートの構成でよくあるアコースティック・コーナーではあるが、トリーの場合、作品によって音楽が異なるので、シンガーソングライターの側面に触れられる歓びがお約束のイメージを上回る。とりわけソロでの「oceans」の弾き語りではハイトーン・ヴォイスの美しさと繊細な表現力が際立つ。

 順番は前後するが、この曲の前に恒例となっているリクエストを募ると、方々から声が上がり、「Paper Hearts」と「Something Beautiful」を歌う。さらにアジアツアーの最終公演だからもう1曲と、「Confetti」を。この間にトリーも「1stアルバムのボーナストラックだから忘れちゃっている」と「Personal」を歌い始めたが、すぐに歌えなくなると、ひとりの観客がその続きを大声で歌うという微笑ましい場面もあった。

 そして、前述の「oceans」に続き、自身の入院生活と親友の夫が亡くなったことから生まれた「high water」を弾き語りで歌い始めて、途中でバンドが加わることで、自然な流れのなかで後半に突入となった。

 その後半でサプライズとなったのがアカペラで歌った「明日に架ける橋」。ジェイコブ・コリアーとのレコーディングの動画が好きでよく観ていたが、まるで声を楽器のようにコントロールし、ゴスペルの影響を見せつつ熱唱するアカペラは、ライブでも圧巻だった。

 最後の曲「alive if i die」が終わり、アンコールを待つ間、「彼女のライブをこんな至近距離で観られるなんて信じられない」「本来ならもっと大規模会場でやるべき人」と、興奮しながら話す声が耳に入った。まさにそう。この初来日公演を体験できた人はラッキー。派手なステージ演出抜きに歌そのものをたっぷり楽しむことができた。フルコーラスを歌ったわけではないけれど、リクエスト2曲を含めて全24曲。子供の頃から「音楽が好き。ただ歌いたいだけ」という思いを胸に10代から活動を始めて、現在31歳となったトリー・ケリーの歌を満喫する一夜となった。またぜひ来日してほしい。

Text by 服部のり子
Photos by 古溪一道

◎セットリスト
Intro
thing u do
unbelievable / Expensive
Should’ve Been Us
Nobody Love
spruce
cut
diamonds / Don’t Take Me Home
Dear No One / Unbreakable Smile
-Song Requests-
oceans
high water
Never Alone / I’ll Find You
Bridge Over Troubled Water
Hollow
shine on
shelter
same girl
alive if i die
missin u


音楽ニュースMUSIC NEWS

ENHYPEN公式キャラクター「ENCHIN」が誕生、メンバーの個性を能力として反映

J-POP2026年5月8日

 ENHYPENのグループ公式キャラクター「ENCHIN」(読み:エンチン)が誕生した。  名前「ENCHIN」は、ファンの日常にそっと幸運と癒やしを届ける「ENGENE(※ENHYPENファンの呼称)の友達(※韓国語でチング)」を意味。人 … 続きを読む

LiSA、氷の中からエネルギーを放つ「YES」MV公開

J-POP2026年5月8日

 LiSAが、新曲「YES」を配信リリースし、ミュージックビデオを公開した。  新曲「YES」は、2026年5月8日に劇場公開となった『劇場版「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」』の主題歌。今回で3作目の『魔法科高校の劣等生』シリーズ主題歌担 … 続きを読む

TUBE、通算37回目の横浜スタジアム公演【TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2026】開催

J-POP2026年5月8日

 TUBEが、2026年9月5日に神奈川・横浜スタジアムにてワンマンライブ【TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2026】を開催する。  メンバーの地元・神奈川県にある横浜スタジアムでの公演は毎回、炎や噴水、花火といった野外な … 続きを読む

Cuegee(SUPER★DRAGON・松村和哉)、嘘偽りのない素顔を「Time won't wait.」MVで描写

J-POP2026年5月8日

 松村和哉(SUPER★DRAGON)のソロプロジェクト・Cuegeeが、新曲「Time won’t wait.」のミュージックビデオを公開した。  新曲「Time won’t wait.」は、2026年3月23日に … 続きを読む

ヤングスキニー、アニメ『百鬼夜行抄』主題歌「何にもなれない」配信&MVプレミア公開

J-POP2026年5月8日

 ヤングスキニーが、2026年5月13日に新曲「何にもなれない」を配信リリースし、ミュージックビデオをYouTubeプレミア公開する。  新曲「何にもなれない」は、tvk(テレビ神奈川)ほかにて放送されているショートアニメ『百鬼夜行抄』の主 … 続きを読む

page top