エンターテインメント・ウェブマガジン
トリー・ケリーの初めてのアジアツアー【Purple Skies Tour】の最終公演を8月29日に東京・渋谷WWWXで観た。キャパ500人の会場は、チケット発売と同時に完売となり、私の周りでも「チケットが買えなかった」という声が聞かれた。観客は、20代~30代が中心だが、小学生の姿もある。映画『SING/シング』の影響かなと思いつつも、日本公開されたのは2017年だからなぁ……。
19時からのメイジー・ケイのオープニングアクトの後、20時を少し過ぎたところでケリーがバンドと登場する。暗転と共に上がった「トリー、トリー」の声は、悲鳴にも似た歓声に変わる。その大音量はとても500人とは思えず、倍以上はいそうな感覚は最後までずっと続いた。
ライブは「thing u do」から始まり、「制作する過程で自分がパフォーマンスする姿が浮かんでいた」と言うほどステージを意識して作ったニュー・アルバム『TORI.』を中心とする構成。2曲目の「unbelievable」から早くもその発言を実感できた。というのも彼女が観客に「次の曲は、みんなの助けが……」と全て言い終える前に食い気味に「ユーア~、ユーア~、ユーア~♪」という歌声が上がったのだ。この曲のゲストであるアイラ・スターのパートは任せてよ、という意欲の表れだったと思うが、ここから息ぴったりのコール&レスポンスが始まり、「Nobody Love」、「diamonds」、「Hollow」、「shelter」などで大合唱が湧きあがる。トリーの曲は、自分がコーラス隊となってサビで一緒に歌いたくなるものが多い。この一体感こそが彼女の求めていたことではないか。
また、『TORI.』は、90年代後半から2000年代初頭にかけての音楽にインスピレーションを受けた作品だと言う。その言葉を裏付けするかのように「cut」の後にアイディアの元となったデスティニーズ・チャイルドの「Say My Name」のフレーズを続けて歌う。『TORI.』の特徴として異なる要素をシームレスにつないでいることがあるけれど、この展開も極めてナチュラルで、粋な演出に感嘆の声が上がる。
中盤にアコースティック・ギターを抱えて、2013年のEP『Foreword』から「Dear No One」を歌い始める。コンサートの構成でよくあるアコースティック・コーナーではあるが、トリーの場合、作品によって音楽が異なるので、シンガーソングライターの側面に触れられる歓びがお約束のイメージを上回る。とりわけソロでの「oceans」の弾き語りではハイトーン・ヴォイスの美しさと繊細な表現力が際立つ。
順番は前後するが、この曲の前に恒例となっているリクエストを募ると、方々から声が上がり、「Paper Hearts」と「Something Beautiful」を歌う。さらにアジアツアーの最終公演だからもう1曲と、「Confetti」を。この間にトリーも「1stアルバムのボーナストラックだから忘れちゃっている」と「Personal」を歌い始めたが、すぐに歌えなくなると、ひとりの観客がその続きを大声で歌うという微笑ましい場面もあった。
そして、前述の「oceans」に続き、自身の入院生活と親友の夫が亡くなったことから生まれた「high water」を弾き語りで歌い始めて、途中でバンドが加わることで、自然な流れのなかで後半に突入となった。
その後半でサプライズとなったのがアカペラで歌った「明日に架ける橋」。ジェイコブ・コリアーとのレコーディングの動画が好きでよく観ていたが、まるで声を楽器のようにコントロールし、ゴスペルの影響を見せつつ熱唱するアカペラは、ライブでも圧巻だった。
最後の曲「alive if i die」が終わり、アンコールを待つ間、「彼女のライブをこんな至近距離で観られるなんて信じられない」「本来ならもっと大規模会場でやるべき人」と、興奮しながら話す声が耳に入った。まさにそう。この初来日公演を体験できた人はラッキー。派手なステージ演出抜きに歌そのものをたっぷり楽しむことができた。フルコーラスを歌ったわけではないけれど、リクエスト2曲を含めて全24曲。子供の頃から「音楽が好き。ただ歌いたいだけ」という思いを胸に10代から活動を始めて、現在31歳となったトリー・ケリーの歌を満喫する一夜となった。またぜひ来日してほしい。
Text by 服部のり子
Photos by 古溪一道
◎セットリスト
Intro
thing u do
unbelievable / Expensive
Should’ve Been Us
Nobody Love
spruce
cut
diamonds / Don’t Take Me Home
Dear No One / Unbreakable Smile
-Song Requests-
oceans
high water
Never Alone / I’ll Find You
Bridge Over Troubled Water
Hollow
shine on
shelter
same girl
alive if i die
missin u
J-POP2024年11月9日
Billboard JAPANとSpotifyによるコラボレーション・プレイリスト「Top Japan Hits by Women」が、11月8日に更新された。 Billboard JAPAN Hot 100からWomen Songsを … 続きを読む
J-POP2024年11月9日
jo0jiが、2025年3月に自身初の2マンツアー【jo0ji 2man tour 馴染】(読み:なじみ)を開催する。 これは、本日11月9日に大阪・Yogibo META VALLEYにて開催された、【1st ONEMAN TOUR … 続きを読む
J-POP2024年11月9日
「全方向美少女」が『TikTok上半期トレンド大賞2024』のミュージック部門賞を受賞したシンガー・ソングライター、乃紫が2025年にツアーを開催する。 11月9日に東京・Zepp Shinjiukuで2ndワンマンライブを開催した乃紫 … 続きを読む
洋楽2024年11月9日
世界で約1,000万部を記録したベストセラー『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』を映画化した『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』で、主人公リリー役を演じたブレイク・ライブリーが、劇中の重要なシーンで流れる … 続きを読む
J-POP2024年11月9日
XGが2ndミニアルバム『AWE』をリリース、リード楽曲「HOWLING」のミュージックビデオも合わせて公開した。 1stミニアルバム『NEW DNA』から約1年ぶりとなる今作は、新しい存在が現れる時に感じる、恐怖や好奇心を表す「畏 … 続きを読む