<インタビュー>テディ・スウィムズが語る、全米No.1曲「Lose Control」のロングヒットと【ワープド・ツアー】愛

2024年8月7日 / 12:00

 米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”を制し、現在28週にわたりTOP10入りしている「Lose Control」で一躍スターとなったテディ・スウィムズが7月末に開催された【FUJI ROCK FESTIVAL‘24】で初来日した。Billboard JAPANは、フジロックでの初ライブを終えたばかりのテディをキャッチ。当日披露してくれた“しびれる”白熱のパフォーマンスやロングヒット中の「Lose Control」、さらには待望の新作について話を訊いた。

――まだ到着して間もないと思いますが、日本を楽しんでいますか?

テディ:会場入りする前に東京で一日過ごしたんだけど、美しくて息をのむような、素晴らしい都市だった。人生で最高のひとときだったね。買い物に出かけたり、焼き肉や寿司を食べに行ったり、すごく楽しかった。古着屋にも行ったよ。マネージャーと一緒にビンテージの時計を売っているお店で、初めてのロレックスも手に入れたんだ。1946年製のとてもレアで美しい時計だったから、買わなきゃって思って。日本はとても美しい国で、言葉では言い尽くせないよ。

――先ほどの日本初パフォーマンスも素晴らしくて、しびれるような内容でした。観客もとても盛り上がっていましたね。

テディ:しびれるようなという表現はいいね、まさにピッタリだ!

――バンド・メンバーとは親友だとMCで何度かおっしゃっていましたが、いつ頃から一緒に演奏しているのですか?

テディ:昔いくつかバンドに所属していたんだけど、その頃からの仲間で少なくとも10年以上の付き合いなんだ。ギターのジェシー(・ハンプトン)に関しては11歳ぐらい、ベースのアディ(・マックスウェル)は10歳のときから知っているから、中には20年来の付き合いになるメンバーもいるよ。

――曲作りも一緒にされているそうですね。

テディ:そう、すごくクールな関係性なんだ。

――演奏があれほどタイトだった理由がわかりました。ではソロとしての活動をスタートして、どんな部分が変わりましたか?

テディ:正直、今もバンドとして活動をしている感じ。テディ・スウィムズというアーティスト名だれど、本名はジェイテン・ディムズデールだから、僕ら全員でテディ・スウィムズという感じ。いつでも音楽活動を共にしているし、彼らは僕のベイビーなんだ。表向きソロ・アーティストとなっているのは、彼らが写真を撮られたり、スポットライトを浴びたりするのをあまり好まない部分があるから。「その部分は君がやってくれ、僕らはいいよ」っていう風に。

――逆にあなたはスポットライトが気に入ってるんですね。

テディ:大好きだよ。マイケル・ジャクソンのようになりたいと思っていたから!

――そうだったのですね。ライブでシャナイア・トゥエインの名曲「You’re Still The One」をお母さまに捧げていたのも素敵でした。

テディ:世界に一人だけのママで、愛しているから。顔に“Mama’s Boy(ママっ子)”ってタトゥーも入れてる。ツアーで一番辛いのは彼女に会えないことで、地球の裏側にいると、電話するタイミングを合わせるのが大変なんだ。

――今年3月に米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で1位に輝いた「Lose Control」がロングヒットとなっていて、現在もトップ10にチャートインしていますが(8月2日付で歴代最長10番目となる28週目)、曲を書き終えた際に特別な曲になるという感覚はありましたか?

テディ:トップ10チャートイン最長記録にだんだん近づいていっていて、本当にクレイジーだよ。特別な曲で、自分の人生を変えるだろうとはわかっていたけれど、こんなにも激変するとは思ってもみなかった。曲に息が吹き込まれ、これほど長く聞かれるなんて。これほどビッグな曲になったことに、毎日驚かされている。とんでもなく巨大な曲が、今なお成長し続けている。一日に10万以上の楽曲がリリースされるような世の中で、この曲がまだ聞かれ続けているのは、とても美しいことだ。

――アメリカのデータを含まない“Global Excl. US”チャートでも最高3位となり、世界的にもヒットしました。これほど多くの人々を魅了した要因はなんだと思いますか?

テディ:特別だとわかっていたから、可能なことはすべてやった。この曲を流したいというラジオ局やプロモーションの機会など、あらゆる場所に足を運んだ。もちろん素晴らしい曲なんだけど、やはり聞いてもらうには出向いて、みんなに会って握手をして、関係性を作っていくことも大切だ。この曲がリリースされてからは本当に忙しくて、自分のベッドで過ごしたのは合計で1週間ぐらいだと思う。ヨーロッパでもみんなと握手をして、この曲を流してくれるのであれば、朝4時に起きてラジオ局を訪ねた。聞いてくれる人がいるのであれば演奏する機会を作ってもらった。そうすることで、より多くの人々に届いたんだと思う。

――デビュー・アルバム『アイヴ・トライド・エヴリシング・バット・セラピー(パート1)』の発売からもうすぐ1年になりますが、今作を振り返ってみると?

テディ:すべてを変えてくれたアルバムだから、感謝の気持ちでいっぱい。これまで望んでいた”本当に正直で傷つきやすい自分”になれたのはこのアルバムが初めてで、多くの扉を開いてくれた。今作によって、自分、そしてリスナーが少しだけ孤独を感じなくなったことに、とても感謝している。このアルバムは心の傷を癒してくれて、今もずっと癒しのプロセスを続けている。

――これまで正直になれなかったのが、今作で吹っ切れた理由はなんでしょう? また、制作後はセラピーにいきましたか?

テディ:うまくいかなかった恋愛関係、これに尽きるね。セラピーにも行くようになって、癒しであるとともに美しい経験になっている。

――ツアーで各国を飛び回りながら忙しく過ごしているようですが、特に印象に残っているパフォーマンスがあれば教えてください。

テディ:多分一番気に入っているのは、ニュージーランド・オークランドのスパーク・アリーナでの公演。活動を始めて2曲目ぐらいにカバーしたのが、Six60というバンドの曲だったんだけど、そのバンドのシンガーを招いて、一緒に演奏したんだ。あのライブは本当に、本当に美しかった。

――昨年末、アヴィーチー・アリーナで行った故アヴィーチーの追悼ライブでのパフォーマンスも印象的でした。

テディ:あのライブもすごくクールだった。「Lose Control」と「Sky Full Of Stars」を歌ったけれど、最高だった。 アヴィーチーの両親と対面することができたのも特別だったし、素晴らしい経験をさせてもらった。グリフにも会うことができた。彼女は素晴らしいシンガーだよね。

――コールドプレイの曲をカバーするというのは誰のアイディアだったのでしょう?

テディ:光栄にも、この曲を歌ってほしいとオファーされたんだ。忘れないように歌詞を手に書いておいた。本番中は(手をチラチラ見ながら)こんな感じで歌ってたよ(笑)。YouTubeで動画を見てもらえばわかるけど、照明ですごく見にくくて。(タトゥーが施されていないわずかな隙間を指しながら)こういうところにも書いたんだ。

――(笑)。ちなみに一番最近入れたタトゥーは?

テディ:(左頬のあたりを指しながら)この小さな、小さなテディベアを入れたばかり。オーストラリアで売っているアーノッツというブランドが出しているテディベア型のクッキーにちなんだものなんだ。

――ツアーはハードだと思うのですが、体調管理において気をつけていることはありますか?

テディ:睡眠時間を確保すること。どのタイミングでもいいし、30分の昼寝でもいい。合計8時間は必ず寝るようにしてる。これはとても大事。常温の水をたくさん、たくさん飲んで水分補給を怠らないこと。水分補給をして、睡眠をとって、声を休ませる。あと自分はたぶん飲み過ぎだから、これは真似しないほうがいい。でもついつい飲んでしまうんだよね(笑)。

――せっかくなので一番好きなお酒を教えてください。

テディ:テキーラ!大好きすぎて、おそらく世界で一番好きなものだと思う。

――あなたはとても個性的な声の持ち主でもあり、ONE OK ROCKをはじめ多くのアーティストとタッグを組んできましたが、コラボ曲を成功させる鍵は何だと思いますか?

テディ:本物であること、これがすべてだね。近年はコラボ相手に実際に会うことさえできないことがある。自分のパート、相手のパートも完璧かもしれないけれど、そこにこだわらずに曲そのものが最も重要だと認識すること。曲を第一に考える必要があって、曲が特別で完璧なら自分の身を任せること。自分の元に曲を手繰り寄せては決してならない。

――では、いち音楽ファンとして参加した音楽フェスで思い出深いものは?

テディ:当時23歳だったと思うけど、【Counterpoint】というEDMフェスティバルはすごく特別だったのを覚えている。そしてもちろん【ワープド・ツアー】。2007年に参加したことがきっかけで、ミュージシャンになりたいと思ったんだ。モーション・シティ・サウンドトラック、サーカ・サバイブ、パラモア、ベイサイドやチオドスなど世界最高のバンドが数多く出演していた。自分がなりたいと思っていたバンドがすべて2007年の【ワープド・ツアー】につまっていた。今はもう開催されていないけれど、出演してほしいと言われたら二つ返事で引き受けるよ。

――様々なジャンルを好むあなたがフェスを企画するとしたら、どういったものになりますか?

テディ:親友で最高のシンガー、アレン・ストーンが主宰する【ストーン・ファミリー・フィールド・トリップ】のような内容にしたいね。米ワシントン州スポケーンにある小さなロッジで行われていて、スケジュールが空いていれば必ず足を運んでいる。自分はもちろん、アレン・ストーン 、マット・ハリス、そしてガールフレンドのRaiche(ライシュ)に出演してもらう。とても美しいフェスで、アレン・ストーンはGOAT(史上最高)だ。

――アレンと楽曲でコラボをしたことはまだないですよね?

テディ:実は何曲か一緒に書いたけど、まだ何も世にはでていないと思う。

――近いうちに聴けることを楽しみにしています。新しいアルバムには取り掛かっているのでしょうか?

テディ:ああ、もうすぐ完成すると思う。ジュリアン(・ブネッタ)のプロデュース作業がまだ残っていて、一貫性のあるものに仕上げる必要がある。どの曲を収録するのか、あとは曲順も決めなきゃいけないけれど、形になっていっていると思うよ。

――全体的なテーマがあれば教えてください。

テディ:癒し!

――前作の続きになるようですね。

テディ:前作のように悲痛な曲ばかりというよりは、癒しが感じられる内容になっている。自分の人生における現在地が反映されている。癒しと学びに加えて、学び直すべきこともあった。それはそれでいいことだと思う。今、すごくいい状況にいて、特別な作品になると感じているよ。

――では、最後にこの夏一押しの曲を教えてください。

テディ:今日リリースされたばかりのライシュによる「Making Room」。マジで最高!自分のガールフレンドの曲で、彼女は素晴らしいんだ。

Photo:Hiroshi Yamaguchi


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