NARITA THOMAS SIMPSONが駆け抜けた濃密なライブシリーズ 最終日にはMISIAが華を添える

2024年5月24日 / 19:00

 NARITA THOMAS SIMPSONが、1stアルバム『冒険者たちのうた』を引っ提げたビルボードライブ公演を5月12日・13日、17日・18日、20日~22日に開催した。本稿では最終日の模様をお伝えする。

 本ライブシリーズは、ビルボードライブ東京で4日間、続いてビルボードライブ横浜で3日間、計7日間で14ステージという濃密なものだった。3人それぞれがキャリアと経験を重ねて結成された“新人バンド”NARITA THOMAS SIMPSONにとって、ビルボードライブという空間はまたとない舞台となった。

 成田昭次(Guitar)、寺岡呼人(Bass)、青山英樹(Dram)のメンバーを中心に、彼らのライブにはもはや欠かすことのできないピースとなったLittle Black Dressをコーラスに、そしてテナーサックス、トロンボーン、トランペットからなるホーン隊とギター、キーボードを加えた編成でスタート。

 ドラムのフィルインから1曲目に披露したのは「冒険者たちのうた」。4月10日にリリースした彼らの1stアルバムのタイトルトラックだ。ぐいぐいと腕を引っ張っていくようなドラムの力強いビートが特徴的な楽曲は、まさにライブの幕開けを飾るに相応しい。成田がアコギに持ち替えて演奏したのは「名もない愛の物語」。アルバム収録曲の中で成田が作詞・作曲した3曲のうちのひとつで、珠玉のバラード作品となっている。イントロのギターからUKロックのテイストが色濃く感じられ、イノセントな歌詞が胸を締め付ける。MCでは、横浜育ちの青山を中心にメンバーそれぞれの横浜トークを展開。
 
 3曲目「クライシス」、4曲目「思い出になる日まで」とアルバム収録の新曲を畳み掛ける。「クライシス」はフォークロア的な雰囲気も漂う無国籍なロックナンバーで、「思い出になる日まで」はシティポップと、 NARITA THOMAS SIMPSONのバンドとしての引き出しの多さを感じられる。

 続くMCでは、このライブシリーズを振り返り、出演してくれた2名のシークレットゲストについての言及があった。5月17日と18日のビルボードライブ東京での2ndステージには野村義男が、5月21日のビルボードライブ横浜での1stと2ndステージにはGLAYのTAKUROが出演した。どちらも説明不要のスーパーギタリストだ。彼らと熱いギターバトルを展開した成田は、野村については「野村さんがいなかったらここまでギターを続けていなかった」と大先輩への感謝を示し、TAKUROへは「まさかステージで一緒にプレイできるなんて」という驚きを口にした。

 5曲目に披露したのは、こちらもアルバム収録の楽曲「B・P・M!」。Little Black Dressが作詞・作曲したディスコナンバーだ。オーディエンスは総立ちになり、サビの〈B・P・M!〉では両手を使ってアルファベットをかたどったダンスで盛り上がった。メンバー紹介でのソロ回しに続いてパフォーマンスした 「I▽R&R」(※▽はハートマーク)は、NARITA THOMAS SIMPSONの3人が参加するバンド、Rockon Social Clubの楽曲。サビの〈I▽R&R〉を横浜にちなんで〈I▽シューマイ〉に変えて歌唱。オーディエンスはさらに勢いを増して盛り上がった。食事やドリンクをテーブルで愉しみながら音楽に浸るビルボードライブではあまり見られないようなライブハウス的光景が新鮮でもあった。

 切ないメロディが特徴的な「花火と君」で本編を締めると、アンコールは「いっぽんみち」からスタート。MCではなんと、この日もシークレットゲストがいると告げると会場が騒然とした。「昨日の夜中に急遽決まったんです。おれたちのクイーン!」と言って呼び込んだのは、MISIA。オーディエンスからは悲鳴に近い歓声が飛ぶ。「最終日を皆さんと一緒に楽しませていただきたいと思ってやってきました!」(MISIA)、「皆さん、『紅白歌合戦』は見てくれましたか?」(寺岡)とオーディエンスに問いかけて始まったMISIAとのセッション曲はもちろん「傷だらけの王者」。Rockon Social Clubとのコラボ曲だ。

 そして最後に披露したのは、まだレコーディングもしていないというRockon Social Clubの出来立ての新曲「ポイントちょーだい」。曲間ではMISIAのアドリブと成田のギターソロのバトルが炸裂。7月6日・7日に開催されるフェス【PEACEFUL PARK 2024 for 能登-supported by NTT docomo-】にも出演する両者の共演が楽しみになった。

 アルバムリリースからビルボードライブでの濃密なライブシリーズを経て、NARITA THOMAS SIMPSONの冒険者として描く軌跡がどんなものになるのか、次なる続報を楽しみに待ちたい。なお、22日2ndステージがStreaming+で配信中(2024年5月29日23:59まで)。

◎セットリスト
【NARITA THOMAS SIMPSON 冒険者たちのうた Billboard Live】
※5月22日(水)1stステージ
1. 冒険者たちのうた
2. 名もない愛の物語
3. クライシス
4. 思い出になる日まで
5. B・P・M!
6. I▽R&R
7. 花火と君
8. いっぽんみち
9. 傷だらけの王者(with MISIA)
10. ポイントちょーだい(with MISIA)


音楽ニュースMUSIC NEWS

<ライブレポート>ブラック・カントリー・ニュー・ロードが示した、変化し続ける音楽家集団の“現在地”

洋楽2025年12月18日

 ブラック・カントリー・ニュー・ロード(以下、BCNR)が12月10日、2度目となる単独ジャパンツアーのファイナル公演を東京・EX THEATER ROPPONGIにて行った。  ペトゥラ・クラークの「Downtown」が大音量で鳴り響くな … 続きを読む

【先ヨミ】パンダドラゴン『Winter Song 防衛隊』12.9万枚で現在シングル首位 僕が見たかった青空が追う

J-POP2025年12月18日

 今週のCDシングル売上レポートから2025年12月15日~12月17日の集計が明らかとなり、パンダドラゴンの『Winter Song 防衛隊』が129,268枚を売り上げ、現在首位を走っている。  今作はパンダドラゴンの13thシングル。 … 続きを読む

【先ヨミ】IMP.『MAGenter』現在アルバム1位走行中 ENJIN/NCT DREAMが追う

J-POP2025年12月18日

 今週のCDアルバム売上レポートから2025年12月15日~12月17日の集計が明らかとなり、IMP.『MAGenter』が54,018枚を売り上げて首位を走っている。  本作は、12月15日にリリースされたIMP.の2ndアルバム。初回生 … 続きを読む

セントラル・シー、一夜限りの単独公演を2026年3月に開催

洋楽2025年12月18日

 UKラップ界を牽引するセントラル・シーの単独来日が決定した。公演は、2026年3月2日に東京・豊洲PITにて開催され、チケットの一般発売は1月24日からとなる。 ◎公演情報【CENTRAL CEECAN’T RUSH GREA … 続きを読む

ENJIN、カエデ(3時のヒロイン)が“ヒロイン役”として出演「One Snow, One Love」MV公開

J-POP2025年12月18日

 ENJINが、新作EP『SNOVE』収録曲「One Snow, One Love」のミュージックビデオを公開した。  「One Snow, One Love」は、みんなで歌い、踊れる“一体感”をテーマに制作され、ポップネスを強く打ち出すこ … 続きを読む

Willfriends

page top