cadode、ライブで魅せる優しさと激しさ【カモレの夏 [追慕譚]】オフィシャルレポート到着

2024年5月22日 / 18:00

 cadodeは、「あるはずのなかった夏」を表現する独自の音楽スタイルと、感情豊かなライブパフォーマンスで注目を集めるアーティストだ。5月8日、激しい雨の降りしきる東京・渋谷Star lounge にて、ワンマンライブ【カモレの夏[追慕譚]】が開催された。4月17日に発売された『カモレの夏 EP』と同じタイトルを冠したこのライブは、EPの世界観が存分に表現されたコンセプチュアルな内容となった。以下、同公演のオフィシャルレポートを掲載する。

 1曲目はEPのタイトル曲「カモレの夏」。イントロの厳かな鐘の音が鳴り響くと、一気に時の流れが止まったような空間が現れ、そこに薄明りに照らされたメンバーの 3 人が浮かび上がる。聴衆も楽曲の表現する壮大な情景に引き込まれ、cadodeの「夏」の始まりが告げられた。

 koshiの軽い自己紹介とともに、2曲目はEPから「感嘆符」、そして「浮いちまった!」とアッパーな楽曲が続く。「感嘆符」は特にebaのファンキーなカッティングが印象的だ。髪を振り乱して、cadodeの楽曲では珍しいギターソロを刻むebaの姿に魅せられ、自然と体が動いてしまう。仏教的なモチーフが散りばめられた個性的な歌詞と合わさり、2曲目にしてその独特な世界観に取り込まれる。「浮いちまった!」を歌い終え、雨の中集まったファンに向けて一礼をしたkoshiは、ゆっくりと噛みしめるように口をひらく。

 サークル「カモレの夏」とともに「全身全霊で魂を燃やして作った」と語る今回のEP。果たしてライブではどのように表現されるのか期待が高まるが、koshiは作りこまれた前回のワンマンライブと異なり「今日は気楽にやりたい」と話す。「平日働いてる人は今日、週の真ん中でしょ、気楽に歌って踊って、自由に楽しんで帰ってください」とあくまで自然体で観客をほぐす。

 そこで「回夏」の印象的なイントロが流れ、軽くなった心が大きく揺さぶられる。cadodeの音楽はすべての人を自然体で優しく受け入れるが、だからこそ、そこで奏でられる音楽と感情に敏感になるのかもしれないと感じさせる一幕だった。

 koshiの叩きつけるようなアカペラが響き渡る「近道」「たらちね」、そして前半のハイライトとなる壮大な「かたばみ」と続く。

 「幸せです」とひとこと告げると、koshiは今回のライブのコンセプトについて、EPに合うように旅にまつわる曲を多めにしたこと、そして「今日は前回のライブと違ってみんなとの距離も近いし、自分も力を抜いて、みんなにも力を抜いてほしい」と語る。「気楽にいこうと思って、セットリストを考えるためにパラパラと歌詞をめくって見ていたら、当時と解釈が変わっていたりして、聴くときの気持ちや環境などで変わると思った」と話すkoshiに頷いた観客は多かったのではないだろうか。

 「ゆっくりしていってください」そう言うと、「波止場にて」の浮遊感のあるイントロが流れ、そこにebaのアンビエントなギターが泳ぐ。心地よいリズムに揺られながら、公開されているミュージックビデオの様々な夏の情景がフラッシュバックする。エモーショナルなkoshiのボーカルと谷原のコーラスが重なり、ライブは静かなクライマックスを迎える。

 「シュウ未紀行」「ワンダー」と初期の人気曲を挟み、EPの中でも異質な存在感を放つ「ポストスクリプト」へ。つぶやくようなkoshiのボーカル。「カモレの夏」の世界観に重ねながら、「身を削って書くことが/いいとは限らないけれど/私が私でなくなるよりマシ」と歌うその姿に、表現者としての抜き身の姿が垣間見えた気がする。

 「ポストスクリプト」を歌い切り、koshiはMCでよりパーソナルな内容を観客に向けてゆっくりと、しかし明るく打ち明ける。「あまり話したことはない」とのことなので詳細は伏せるが、亡き母への思いと音楽との関係に関するものだった。MCのせいもあるかもしれないが、cadodeの楽曲の中でも特にイノセントな耳障りを感じる、初期楽曲の「IEDE」へと続く。「ライムライト」をたたみかけ、ここでライブの熱狂は最高潮に達した。

 「あぁ、楽しい」高揚感と多幸感につつまれた最後のMCで、7月10日に水槽とのコラボシングルをリリースする事が発表された。以前ライブでもコラボレーションしたこの2組が、どんな楽曲を生み出すのか期待が高まる。

 最後は「寺にでも行こうぜ」「カオサン通り」、そして「旅に立ってまで」では自然に合唱が起こり、物語は大団円へ。そのままメンバーはステージを去り、残された空間に、EPと同じように「intro」が流れる。ここで「カモレの夏」はこの場所で永遠にループするかのように幕を閉じた。

 今回のライブは、『カモレの夏 EP』の世界観を存分に表現し、観客に夏の儚さとその中にある一瞬一瞬の美しさを伝えるものであった。koshiのMCからも、そのテーマに対する強い思いが感じられた。ぜひ、この優しい世界に足を踏み入れ、そして魂を揺さぶられてほしい。

◎公演情報
【カモレの夏 [追慕譚]】
2024年5月8日(水)
東京・渋谷Star lounge

<セットリスト>
01. カモレの夏
02. 感嘆符
03. 浮いちまった!
04. 回夏
05. 近道
06. たらちね
07. かたばみ
08. 波止場にて
09. シュウ末紀行
10. ワンダー
11. ポストスクリプト
12. IEDE
13. ライムライト
14. 寺にでも行こうぜ
15. カオサン通り
16. 旅に立ってまで
17. intro

◎リリース情報
シングル「タイトル未定(feat.水槽)」
2024/7/10 DIGITAL RELEASE


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