<ライブレポート>結成20周年のUNISON SQUARE GARDEN、アルバム『Catcher In The Spy』を携えた再現ツアー完走 10年の時を経て証明したロックバンドの在り方

2024年5月9日 / 18:00

 UNISON SQUARE GARDEN が、全国ツアー【Revival Tour “Catcher In The Spy”】のファイナル公演を東京・NHKホールで開催した。

 このツアーは2014年に行われた【UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2014『Catcher In The Spy』】を再現するというもの。ユニゾンの“Revival”ツアーは、2021年に行われた【Revival Tour “Spring Spring Spring”】、【Revival Tour “CIDER ROAD”】と3回目の開催になる。今回は20周年のアニバーサリー・イヤーとも重なり、祝福のムードのなかでアルバム『Catcher In The Spy』の世界をダイレクトに体感することができた。根底にあるのは、ロックバンドとしての確固たるレゾンデートルだ。

 開演時間となり、いつものSEとともに斎藤宏介(Vo. / Gt.)、田淵智也(Ba.)、鈴木貴雄(Dr.)がステージに上がると、客席から大きな拍手が送られる。1曲目はアルバム『Catcher In The Spy』の最後に収められた「黄昏インザスパイ」。ノスタルジックな空気を濃密にまとった楽曲でライブをスタートさせた後、「ようこそ!」(斎藤)という声とともに、背後に『Cather In The Spy』のアルバムジャケットによるバックドロップが出現。「サイレンインザスパイ」へと勢いよく突入し、オーディエンスは身体を揺らしまくる。間髪入れずに初期の代表曲のひとつ「オリオンをなぞる」を放つと、最初のインターバルへ。

 「こんばんは、UNISON SQUARE GARDENです」と挨拶すると、長く、強い拍手が巻き起こり、斎藤は満足そうに頷きながら会場を見渡す。さらに今回のツアーの趣旨を改めて説明し、「最後まで自由に楽しんでいってください」という言葉を挟み、「流れ星を撃ち落せ」から怒涛のロックンロール・ショーへと突き進む。凝ったリズムアレンジと肉体的なグルーヴが共存する「箱庭ロック・ショー」、青いポップネスが炸裂した「to the CIDER ROAD」にもグッと来たが、セトリの中心は言うまでもなくアルバム『Catcher In The Spy』の収録曲。メロディの美しさと、歌を際立たせるアンサンブルを軸にした「君が大人になってしまう前に」、3人の音が有機的に絡み合い、軽やかにして鋭利な音像を生み出した「メカトル時空探検隊」、疾走するサウンドのなかで、〈「一人だけど 独りじゃない」〉というフレーズを奏でる「何かが変わりそう」、ヘビーなグルーヴとラップに近いボーカリゼーションが共鳴する「蒙昧termination」、鮮やかなギター・フレーズからはじまり、解放的なサビのメロディが響き渡った「シューゲイザースピーカー」――。 そこから伝わってきたのは、ロックバンドの無限の可能性。分かりやすく言うと「ロックバンドってこんなに色々なことができるんだな」ということだ。

 繰り返しになるが、アルバム『Cather In The Spy』はUNISON SQUARE GARDENがロックバンドあることを証明した作品だ。4thアルバム『CIDER ROAD』はピアノ、ストリングス、管楽器などを積極的に取り入れ、ユニゾン流のポップスを追求したアルバムだったが、ちょうど10周年を迎えるタイミングで彼らは“ギター、ベース、ドラム、歌だけで成立するロック・ミュージックを更新する”という方向へと振り切った。思うがまま自分たちの音楽を追求し、それを全身で楽しむ。ライブでは観客となれ合うことなく、純粋に音楽を介して通じ合おうとする。バンドとしての態度を強く示した『Cather In The Spy』は間違いなく彼らのキャリアにおける大きなポイントだったのだ。

 ライブ後半、斎藤は「せっかくカメラが入ってるのに濡れ鼠です。恐るべし、10年前の自分たち(笑)」とつぶやいた後、今回のツアーについてこんなふうに語った。

 「10年前のツアー、来てくれた方います? 10年好きでいるってすごいカッコいいことだと思います。同じ音楽好きとして、尊敬します」「10年前を振り返ると、ロックバンドとして攻め方が確立した時期だと思ってます。今年20周年を迎えるわけですけど、20年の節目で、大事な気持ちを取り戻せた気がして。すごく有意義なツアーだったなと思っています」

 「harmonized finale」から、ライブはクライマックスへと向かった。鈴木の強烈なドラム・ソロに導かれた「天国と地獄」、この季節にぴったりな情景が広がった「桜のあと(all quartets lead to the?)」、そして爆発的なテンションを伴った「crazy birthday」「場違いハミングバード」へ。田淵はいつものようにステージ狭しと動き回り、はちゃめちゃなステージングと的確なフレージングを共存させてみせる。斎藤の色彩豊かなギタープレイ、幅広い音域と表現力を兼ね備えたボーカルもまさに絶品。高いプレイアビリティと圧倒的なエモーションを湛えた3人のアンサンブルは今もなお進化と変化を続けている。

 もちろんアンコールも見どころたっぷり。「instant EGOIST」では曲の途中でブレイクし、メンバー3人が静止するパフォーマンスで会場を沸かせた。さらにライブ・アンセム「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」、「23:25」を放ってライブは幕を閉じた。

 前述した通り、UNISON SQUARE GARDENにとって今年は結成20周年のアニバーサリー。結成記念日の7月24日にはキャリア初のベスト・アルバム『SUB MACHINE, BEST MACHINE』をリリース。この日から日本武道館3デイズ公演(24日はアニバーサリー・ライブ【ROCK BAND is fun】、25日はストリングスやブラスセクションを加えたライブ【オーケストラを観にいこう】、26日はクリープハイプとの対バンライブ【fun time 歌小屋】)を行い、さらには9月からはベスト・アルバムを携えた全国ツアーが大阪城ホールより開催されるほか、その後もさまざまな活動が予定されている。この記念すべき一年のはじまりに、“ロックバンドとしての矜持”を示すツアーを行ったことは大きな意味を持っているはず。そう、UNISON SQUARE GARDENは徹頭徹尾“ロックバンドとはどうあるべきか”を追求し続けているバンドなのだと思う。

Text by 森朋之
Photos by Viola Kam (V’z Twinkle)

◎公演情報
【UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE “ROCK BAND is fun”】
2024年7月24日(水) 東京・日本武道館

【UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE オーケストラを観にいこう】
2024年7月25日(木) 東京・日本武道館

【UNISON SQUARE GARDEN 20th Anniversary LIVE “fun time 歌小屋”】
2024年7月26(金) 東京・日本武道館

【UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2024「20th BEST MACHINE」】
2024年9月 7日(土)、8日(日)大阪・大阪城ホール
2024年9月 11日(水)静岡・アクトシティ浜松大ホール
2024年9月 14日(土)北海道・カナモトホール
2024年9月 16日(月・祝)石川・本多の森北電ホール
2024年9月 17日(火)愛知・センチュリーホール
2024年9月 21日(土)福岡・サンパレス
2024年9月 22日(日)広島・ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ
2024年9月 28日(土)香川・サンポートホール高松
2024年10月 1日(火)栃木・宇都宮市文化会館
2024年10月 2日(水)宮城・サンプラザホール
2024年10月 5日(土)、6日(日)神奈川・ぴあアリーナMM


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