<ライブレポート>チ・チャンウク “俳優”ではなく、“歌手”として。初のジャパンツアー開催

2024年3月28日 / 18:00

 俳優のチ・チャンウクが、日本で初めてのコンサートツアー【2024 Ji Chang Wook Japan First Tour –March-】を開催。3月8日および9日の大阪・オリックス劇場を皮切りに、3月12日および13日に福岡・福岡サンパレスホール、3月16日および17日に東京・東京国際フォーラム ホールAと、3都市6公演を行った。

 チ・チャンウクといえば、2007年に韓国でデビューして以来、ドラマでは『ソル薬局の息子たち』(2009年)、『ペク・ドンス』(2011年)、『ヒーラー~最高の恋人~』(2014年)、『アンナラスマナラ』(2021年)、『最悪の悪』(2023年)、『サムダルリへようこそ』(2023年)と、出演作を軒並みヒットに導く主演クラスの人気俳優として名を馳せている。2017年には初主演映画『操作された都市』で、韓国にて公開初日に興行成績1位を記録。2021年には映画『発信制限』に特別出演するなど、活躍の場を広げている。

 一方で、俳優キャリアを韓国屈指の演劇の街として知られる大学路(テハンノ)の小劇場でおこなわれていたミュージカルにオーディションを受けて参加したことからはじめており、その後も、日本でも人気のミュージカル『スリル・ミー』や『ジャック・ザ・リッパー』など、舞台でも活躍。つまり、演技だけでなく歌もうまい多才な人なのだ。実際、韓国ドラマに欠かせないOSTにも多数参加しており、2015年には中国で歌手デビューを果たしている。日本でも、これまで3度のコンサートを開催。2023年に1stシングル『あなたがいてくれた』で正式に日本での歌手デビューを果たし、今年3月13日には2ndシングル『The Wind Of Spring』をリリース。そして今回、ファン待望のジャパンツアーという夢がかなった。昨年にも来日しているが、ファンミーティングであったため、コンサートは2017年以来7年ぶり。その時と同じ東京国際フォーラム ホールAという会場で行われた、最終日3月17日の模様をレポートする。

 ステージにバックバンドを従えたチ・チャンウクの姿が見えると、会場は早くも総立ちに。「みなさん、お久しぶりです!」という満開の笑顔とともに、ドラマ『ファーストキスだけ7回目』のOST「Kissing You」でコンサートはスタート。「この曲は春によく合う明るい曲だと思います。日本ツアーのタイトルも春を思わせる3月(March)ですよね。春の爽やさや新しい出会いへの楽しみと期待、ときめきと愛を込めて(ツアータイトルを)『3月』にしました」という言葉どおり、徐々に春に近づくのが感じられるツアーになったよう。「大阪での公演時は思っていたより肌寒かったのですが、福岡はそれよりはあたたかくて。東京に来たら、外を歩いていると汗ばむくらいになってきました」と、春に向かう季節に日本に来られたことを喜んでいた。

 「春にまつわる曲です」と紹介して始まった「Spring Is You」は、3月13日にリリースしたばかりの2ndシングル収録曲。「日本に来るたび、日本語曲のカバーを歌うとみなさんが喜んでくださるので、僕の曲を日本語で歌ったら喜んでいただけるんじゃないかと思って初めてのシングルをリリースしたのですが、もうすでに2枚目のシングルがリリースされました。僕の音楽を愛してくださってありがとうございます。これから先どれだけ歌っていけるかわかりませんが、これからも最善を尽くして音楽を続けていきたいです」と、歌への想いを語った。

 コンサートの合間には、会場を訪れた人から寄せられた春のエピソードを紹介するコーナーも。富士山の麓に住むという、来場者の100歳のおばあちゃんのエピソードが紹介されると、「まずはおばあさまの100歳のお誕生日おめでとうございます」とお祝いし、「富士山の方向はどっちですか?」と富士山の方向を向いて90度のお辞儀。さらに母の手料理で好きなものを聞かれると、「母の手料理は何でも好きです。おばあさまのように、僕の母も、そしてみなさんもずっと元気でいてほしいです」と語った。2ndシングル発売日、そして福岡公演がおこなわれた3月13日に誕生日を迎えたというファンには「誕生日おめでとうございます」と2階席に向かって笑顔でお祝いをし、「誕生日に僕に会いに来てくれてありがとうございます」とにっこり。一人ひとりのファンと向き合い、言葉を交わし、心を込めて回答する姿に、自分の話ではなくても客席が一体となってエピソードに聞き入っていた。

 ドラマ『サムダルリへようこそ』OSTの「夢」を歌った後はバンドメンバーを一人ひとり紹介し、彼らが演奏で繋いでいる間にチ・チャンウクが2階席から登場! 客席の通路をくまなく歩きながらファンと目を合わせて、時には手も合わせてふれあいを楽しんだ。その後には1階席後方から再び客席に現れ、くまなくまわり、どの席にいる観客も楽しめるようにという気遣いが感じられた。チ・チャンウクは今回のツアーでこの時の演奏をいちばん気に入っているそうだが、「僕はこの演奏を一度も見ることができないままだったんですが、今日ようやくリハーサルで見ることができました。素敵なバンドのみなさんとは出会って10年経つんですが、忙しい中、僕のツアーのために駆けつけてくれて心から感謝しています」と、バンドメンバーをねぎらった。

 「とても有名なのでたくさんの方がご存知だと思います、一緒に歌ってください」と言って続いて歌われたのは、徳永英明の名曲「レイニー ブルー」。難曲を自分の歌にしてしまう技量とエモーショナルさをあわせ持ち、魅力たっぷりに歌う姿に客席からは拍手と歓声が鳴り止まなかった。ジャケットを脱ぎ捨て、タンクトップ姿になって歌った米津玄師の「Lemon」では、歌よりもチ・チャンウクのセクシーさに観客のどよめきが止まらず、歌が終わってジャケットをはおり直すと、客席からは「アンデ!」(だめ)という声が飛ぶほどだった。ミュージカル『あの日々』で歌ったという「愛していたけど」は、マイクを大きく離してのロングトーンで会場を圧倒。豊かな声量と正確なピッチで、まさにミュージカルの舞台を観ているように思わせた。

 「こうしてツアーをまわりながら、たくさんのファンの方に出会って、やりとりして、僕の歌を聴いていただいて、僕にとってとてもいい思い出になりましたし、あたたかい春になりました」とツアーを振り返ったチ・チャンウク。はじめは「上手にできるだろうか、ファンのみなさんに満足していただけるだろうか」という不安もあったそうだが、会場を見れば全員が笑顔で、その心配が杞憂であったことがうかがえる。アンコールではリリースしたばかりの新曲「The Wind Of Spring」を、客席も一体となって踊りながら満喫。チ・チャンウクがお気に入りだという〈好きなのはラテだったね〉という歌詞は、客席も一緒になって大合唱。そうしてジャパンツアーは終わったかに思えたが、拍手と名前を呼ぶ声が止まず、ドラムのバスドラもそれに加わり、大歓声の中チ・チャンウクが再びステージに登場。最初に歌った「Kissing You」を、客席の声を楽しむようにイヤモニを外して歌唱し、伴奏中には客席に投げキッスするファンサービスも。最後にはバンドメンバーと手を繋いで、客席に向かって深々とお辞儀。最後にひとりステージに残ったチ・チャンウクは、客席へ、バンドのメンバーへ、そしてステージ裏にいるスタッフへ向けても拍手を贈って、ツアーの終わりを惜しんだ。演技をする俳優としてではなく、素顔のチ・チャンウクの素晴らしい人柄が垣間見えるジャパンツアーはこうして幕を閉じた。

Text by 尹秀姫
(C) JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

◎公演情報
【2024 Ji Chang Wook Japan First Tour –March-】
2024年3月16日(土)、17日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA


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