<ライブレポート>テイラー・スウィフトと旅する9つの時代 前代未聞のスケールで幸福をふりまく

2024年2月12日 / 19:50

 テイラー・スウィフトが、海外女性アーティストとしては初となる東京ドーム4連続公演を2月7日~10日に開催、その初日公演をレポートする。

 興行収入は史上最高、“時代”を意味するタイトル通りにこれまでに発表したアルバムをひとつひとつ丁寧に振り返るというコンセプトは前代未聞、それゆえに驚異的なボリュームとスケールを誇るテイラー・スウィフトの【THE ERAS TOUR】が、ついに日本に上陸。瞬時に売り切れた東京ドーム4公演の初日、2月7日の公演で、地球上で目下最もパワフルな人物のひとりと呼んで差し支えない彼女は、デビューから18年間の輝かしい軌跡を45の曲で辿り、非の打ち所がない無敵のショウを披露してくれた。そう、彼女自身が「【THE ERAS TOUR】ヘヨウコソ。一緒に18年を網羅するアドベンチャーに出かけましょう!」と誘ってくれたように。

 そもそもこのツアーが米国のアリゾナ州で始まったのは、昨年3月のことだ。以来11月末までに南北アメリカで60回のスタジアム公演をこなし、400万枚以上のチケットを売り切って、年内に史上初めて10億ドル(約1,500億円)の興行収入を記録。7日の公演は、今度はアジアからヨーロッパを周って再び北米を旅するツアー後半戦の1発目であり、3日前に開催された【第66回グラミー賞】授賞式にて、最新作『ミッドナイツ』(22年)で前人未踏の4度目の〈最優秀アルバム賞〉受賞という快挙を達成したばかり。しかもアジア地区で訪れるのは日本とシンガポールのみとあってアジア全域からスウィフティー(ファンの愛称)たちが集うスペシャルな一夜とあって、開演前から尋常ではない高揚感がドーム内に充満していた。

 そんな中で、開演時間の18時を前にカウントダウンが始まり、まさにその高揚感が最高潮に達した瞬間、バンドとバックシンガーとダンサーたちを従えたテイラーが、シルバーのボディスーツをまとい晴れやかな笑みを湛えて、アリーナの中央に伸びるメインステージに颯爽と登場。第1章の『ラヴァー』の幕を「ミス・アメリカーナ&ザ・ハートブレイク・プリンス」で切り、「さあ東京のみんな、私たち、到着したよ!」と宣言すると、大歓声が上がる。

 もちろん彼女はいわゆるグレイテスト・ヒッツ・ツアーで済ませることもできたのだろう。そのほうが遥かに楽だ。しかしそれでは満足できないテイラーは、ファーストを除く9枚のスタジオ・アルバムにそれぞれフォーカスした9つの章とアコースティック・コーナーから成る全10章で、キャリアと人生を総括するショウを用意。順番は時系列にこだわらず全体の流れを考慮してシャッフルし、各アルバムからプレイする曲数も変えてメリハリを付けているが、いずれの章でも衣装、巨大スクリーンに映し出した映像、観客が身に付けたLEDリストバンドと連動するライティング、自在にアップダウンする可動式のフロアを駆使したステージセット、ダンス、そして言うまでもなく音楽で、各々自己完結した世界を構築。例えば『ラヴァー』は徹底してロマンティックなトーンに貫かれ、ゴールド・カラーを基調にした第2章の『フィアレス』ではギターを抱えてカントリー時代に回帰。「私とハイスクールに帰ろう!」と前置きして披露した初期の二大ヒット曲、「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」と「ラヴ・ストーリー」は、会場をあげての大合唱を誘う。

 そして、フォークに傾く第3章の『エヴァーモア』で打ち出した幻想的な森の情景に対し、ヘビの映像で物々しく始まった第4章の『レピュテーション』はレッド&ブラックの毒々しいゴシック・ワールド……といった具合に、各アルバムの世界に佇んで、アティチュードや声色も変えて歌うテイラーを見ていると、2年に一度のペースでこれらの作品を続々発表してきた彼女の、恐るべき創造欲とカメレオンぶりを改めて思い知らされる。そう言えば、ステージセットと映像には繰り返し“家”のモチーフが使われていたが、様々な異なる部屋を内包する家こそテイラー自身だということか?

 また、9回に及ぶステージ転換も実にスピーディーかつスムーズで、バンドの演奏や映像で巧みに異なる世界をつなぎ、その度に彼女は新たな衣装を身に付けて、モードを切り替えて、エネルギーをチャージし直して、生まれ変わって帰ってくる。声量は終始落ちることなく、逆にテイラーが漲らせるエネルギーとハピネスが観ている側に伝播し、圧倒されるばかり。恐らく、「感謝すべきことがあまりにたくさんある最高の一週間になった!」などとMCで幾度か触れていた、【グラミー賞】の効果もあるのだろう。授賞式で告知した新作『The Tortured Poets Department』というサプライズにも言及したが、『ミッドナイツ』の完成後すぐに着手し昨年のツアーを通じて制作を進めていたそうで、もし無冠だったら、東京で新作の完成を知らせるつもりだったのだとか。

 サプライズと言えば、クライマックスのアコースティック・コーナーは、毎夜何が聴けるか分からない注目のコーナーなのだが、この夜はライブ初披露となる「ディア・リーダー」(『ミッドナイツ』の別ヴァージョン『Midnights(3am Edition)』収録)をギターで、「ホーリー・グラウンド」(『レッド』収録)をピアノで歌い聞かせる。殊に後者では圧巻のヴォーカル力を見せ付けて5万のオーディエンスを魅了し、続いて事実上のアンコールと言える終章の最新作『ミッドナイツ』へ。

 テイラー流にディスコやR&Bを解釈したエレクトロ・ポップ・ソングの数々から成る、レインボー・カラーに包まれたセンシュアルなパフォーマンスでショウを締め括ると、「アリガトウゴザイマス」と一礼してステージをあとにしたのだった。ここまで3時間15分、何しろ全部が全米ナンバーワンに輝いた大ヒット・アルバムである上に、楽しくて仕方ないと言わんばかりに歌い続けるテイラーのペースに抗う術もなく巻き込まれて、時間が立つのを忘れてしまう。絶頂期にあるアーティストを目撃したと確信させて余りあるショウであり、同時に、これを超える可能性も大いにあると想像させるところにテイラーの凄さがある。

Text by 新谷洋子
Photos by TAS Rights Management

◎【THE ERAS TOUR】セットリスト
※2024年2月7日公演
<Lover Era>
Miss Americana & The Heartbreak Prince
Cruel Summer
The Man
You Need To Calm Down
Lover
The Archer

<Fearless>
Fearless
You Belong With Me
Love Story

<evermore>
‘tis the damn season
willow
marjorie
champagne problems
tolerate it

<reputation>
…Ready For It?
Delicate
Don’t Blame Me
Look What You Made Me Do

<Speak Now>
Enchanted
Long Live

<Red>
22
We Are Never Ever Getting Back Together
I Knew You Were Trouble
All Too Well (10 Minute Version)

<folklore>
the 1
betty
the last great american dynasty
august
illicit affairs
my tears ricochet
cardigan

<1989>
Style
Blank Space
Shake It Off
Wildest Dreams
Bad Blood

<Surprise Songs>
Dear Reader
Holy Ground

<Midnights>
Lavender Haze
Anti-Hero
Midnight Rain
Vigilante Shit
Bejeweled
Mastermind
Karma


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