<ライブレポート>SHISHAMOと思いだすそれぞれの10年ストーリー、最後は“ライブで育っていった曲”で締める

2023年11月17日 / 19:00

 2013年にデビュー・アルバム『SHISHAMO』をリリースしたSHISHAMOが、【SHISHAMO 10th Anniversary Final Live「FINALE!!! -10YEARS THANK YOU-」】を2023年11月11日、12日に神奈川・ぴあアリーナMMで開催した。

 SHISHAMOのCDデビュー10周年イヤーの締めくくりとなる2デイズ。1日目はワンマン、2日目は後夜祭として【スペースシャワー列伝JAPAN TOUR】を共にした4バンドの対バンが開催された。その1日目の模様をレポートする。

 ぴあアリーナMMの巨大なビジョンに、2013年にリリースされた1stアルバム『SHISHAMO』の1曲目「僕に彼女ができたんだ」からのこの10年の歩みが映し出される。初の日本武道館公演、紅白歌合戦出場……そして、10周年イヤーへ突入という物語が描かれ、ステージ上に置かれたどこでもドアから宮崎朝子(Gt. / Vo.)、松岡彩(Ba)、吉川美冴貴(Dr.)が登場。オーディエンスに手を振りながら花道を歩き、アリーナ中央に設置されたセンターステージで3人が手をつなぎ、おじぎをした。この冒頭から、オーディエンスへの感謝の気持ちと距離の近さが溢れたライブだった。

 まずは、SHISHAMOの知名度をぐっと広げた「僕に彼女ができたんだ」を演奏。非常にソリッドなアンサンブルでスリーピースバンド・SHISHAMOとしての矜持を見せつける。続けて、1stシングル「君と夏フェス」。夏フェスブームの真っ只中、この曲に胸をときめかせ、甘酸っぱい夏フェスの光景を思い描いた人は多いはずだ。

 宮崎が何度も「ぴあアリーナ!」と嬉しそうに声を上げ、「遂にこの日が来ましたね。嬉しいです。こんな景色が見られるとは思ってなかった」と言い、吉川が「緊張より楽しいが勝ってる」と続けた。ビジョンに怪獣が登場するアニメーションが流れ、「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」を披露。宮崎は少女漫画を描くように曲を作ることが多いという。「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」の主人公は暴走気味の愛情を爆発させながらも、最後にいずれ訪れるであろう別れをふと思い浮かべる。ファンタジーとリアルを自由に行き交う世界観は確かに少女漫画の世界とリンクするし、ドキドキもワクワクもヒヤヒヤもたっぷり吸い込んだSHISHAMOの楽曲にしかないエンターテインメント性が病みつきになる人が多いのも頷ける。しかも、そのシチュエーションは全曲違う。SHISHAMOのラブソングの数だけラブストーリーが存在し、SHISHAMOのリスナーにはおそらくそれぞれのお気に入りの主人公もいるし、共感できる主人公も共感できない主人公もいるのだろう。

 宮崎が「10周年イヤーが終わらないんじゃないかと思うくらい盛り盛りだった」と言うと、松岡が「いろいろな人に支えられてきたことを強く実感した1年だった」と口にした。吉川は「何かをやる度にみんながめっちゃ喜んでくれて、この1年で皆さんからの愛を受け取ってすごく幸せな1年でした」と話した。序盤からどこかしんみりしたMCが繰り広げられたことに対し、宮崎が「最後のMCみたいだね」と突っ込むと、「ここはゆるい話をするはずだったのに、みんなの顔を見るとエモくなっちゃう」という風に口々に言い訳する姿が微笑ましい。

 今年11月にSHISHAMOは初めてのアコースティック・アルバム『10th Anniversary Acoustic Album「ACOUSTIC SHISHAMO」』をリリースしたが、宮崎が「SHISHAMOはよくアコースティックをやっていて、お客さんから音源化してほしいという声が上がった。アコースティック・アルバムを10周年に作れて嬉しい」と話した後、来年1月にビルボードライブ東京と大阪と横浜で初のアコースティック・ライブ・ツアーを行うことを告げ、アコースティックで「犬ころ」「ロマンチックに恋して」「あなたと私の間柄」を披露。バンドセットに戻った後、宮崎が「今日やらないと今後なかなかやらないんじゃないかと思って」と前置きして、高校時代の楽曲「宿題が終わらない」を披露するというスペシャルな流れもあった。

 アンコールで宮崎は「私たちのほうがみんなから10年間ずっとすごいものをもらってきた。どんどんそれがすごいことなんだって思えてきて、それが高まりに高まったタイミングで今日を迎えられた」と感謝を述べた。「嫌なこともたくさんあって、10年やるつもりもなかったのにここまでやってくれたのはSHISHAMOに関わってくれているみんなのおかげです。こういう日があると、やめられないものなんですよ」と話し、次のアルバムやツアーを示唆した。

 最後の曲は「恋する」。今年1月、10周年を記念して開催された3回目の武道館の1曲目に演奏され、「ライブで育っていった曲」だと3人が公言する曲だ。この日の「恋する」もまたこれまでとは違った焦燥感と後悔とときめきが滲んでいた。

Text by 小松香里
Photos by 柴田恵理

◎セットリスト
【SHISHAMO 10th Anniversary Final Live「FINALE!!! -10YEARS THANK YOU-」】
※2023年11月11日(土)公演
1. 僕に彼女ができたんだ
2. 君と夏フェス
3. 君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!
4. 笑顔のおまじない
5. ドキドキ
6. ドライブ
7. 狙うは君のど真ん中
8. ひっちゃかめっちゃか
9. BYE BYE
10. 犬ころ(ACOUSTIC ver.)
11. ロマンチックに恋して(ACOUSTIC ver.)
12. あなたと私の間柄(ACOUSTIC ver.)
13. 宿題が終わらない
14. 第3ボタン
15. 天使みたい
16. 夏の恋人
17. 熱帯夜
18. 夢で逢う
19. 夏恋注意報
20. 私のままで
21. OH!
22. タオル
23. 明日も
24. 明日はない
<アンコール>
1. 春に迷い込んで
2. 恋する

◎公演情報
【SHISHAMO Billboard Live TOUR「ACOUSTIC SHISHAMO」】
ビルボードライブ東京
2024年1月7日(日)1stステージ 開場15:30 開演16:30/2ndステージ 開場18:30 開演19:30

ビルボードライブ大阪
2024年1月10日(水)1stステージ 開場17:00 開演18:00/2ndステージ 開場20:00 開演21:00

ビルボードライブ横浜
2024年1月19日(金)1stステージ 開場17:00 開演18:00/2ndステージ 開場20:00 開演21:00

チケット:サービスエリア7,500円、カジュアルエリア7,000円(1ドリンク付)
※ご飲食代は別途ご精算となります。


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