<ライブレポート>2PMが7年ぶりに日本の地へ、笑いあり涙ありの3時間半超えステージはヒット曲と圧巻の連続

2023年10月11日 / 14:00

 デビュー15周年を迎えた2PMが、約7年ぶりの来日公演【2PM 15th Anniversary Concert in JAPAN】を10月7日と8日に東京・有明アリーナで開催した。本稿では2日間で計22,000人を動員したツアーの初日をお伝えする。

 韓国で2008年にデビューした“野獣アイドル”こと2PMが6人揃って日本のHottest(ファンの愛称)たちの前に現れるのは、2016年10月の東京ドーム公演以来。日本デビュー10周年の2021年には、5年ぶりの韓国カムバック作品『MUST』と日本ミニアルバム『WITH ME AGAIN』のダブルの贈り物があったが、パンデミックの影響で再会はお預けとなっただけに、この再会の喜びは二倍も三倍も大きくなったことだろう。

 「Again & Again」から「Without U」のピアノ、「Heartbeat」のオーケストラへと繋げるマッシュアップで、オープニングからオーディエンスの鼓動を高めていく。そして、ステージに目を凝らすと雄々しい6人のシルエットが。親指を天に突き出したJun. Kの〈I’ll be back〉の第一声とともに、待望の再来日公演が幕開け。一人一人がスクリーンに映るたびに悲鳴に近い歓声が沸き起こる。「I’ll be back」の中盤、Hottestたちと同様、この日を待っていたニックンの力強い歌唱が印象的だった。

 間髪入れず、「Jump」では花道を駆け、ダンサー12人が参加した「ミダレテミナ」、Jun. Kの「Put your hands in the air!」の掛け声で始まったヒット曲「Hands Up」で会場にいる全員の息と気分が一気にあがった。

 2PMコールに包まれ、6人は手をつないで「ただいま、2PMです!」と挨拶。「7年ぶりに6人でついに戻ってきました。約束を守る男、テギョンです」「こんばんは! 2PMのジュノです!」「皆さんが一番会いたかった2PMのずっと熱い歌声、Jun. Kです」「筋肉ニクニクニク、ニックンです」「こう見えて末っ子のチャンソンです!」「皆さんのビタミン、ウヨンで~す」の懐かしい自己紹介で空白の時間を取り戻していく。

 次の曲の説明を求められたウヨンは「日本で初めて披露します。みんな準備OK? はい……会いたかった」と愛嬌をプラスした説明にメンバーたちは総ツッコミを入れるも、ウヨンの自作曲「Make it」が流れると瞬時に歌手モードに切り替える。そんなギャップも実に2PMらしい。ミュージック・ビデオに出てくるオフィスをイメージした映像をバックに、一糸乱れぬダンスに「おぉ」と会場が唸った。続く「この歌を聞いて戻ってきて」もまるでMVの舞台にいるような演出で、途中、テギョンからの「皆さん、愛してる」に誰もが胸を撃ち抜かれた。「Only You」「I Can’t」という色褪せないナンバーでは、〈Only you〉で遠くにいるHottestを人差し指でポイントしたり、座り込んで目の前のHottestに向けて歌ったりと、ファンと見交わし、最後、〈I just wanna be with you〉をジュノに向かって情熱的に歌うJun. Kの左頬を指で突くジュノの姿も見られた。

 続くMCではニックンのふとした発言にテギョンが「今日は29曲あって~」と早くもネタバレ。「なんで言うの!?」とチャンソンから責められるが「忘れてください。29曲以上やりますから」とこの後のプランが口をついて出るテギョンを見かねて、ウヨンとチャンソンは正座に両腕をあげるよう韓国式におしおき。「皆さん、これが2PMのコンサートです」と開き直るテギョンに笑いが起こった。気を取り直して、2010年に初めてショーケースを行った両国国技館の話になったが、当時会場にいたファンに対して、ウヨンが「失礼ですが何歳ですか?」という衝撃的な質問をして、今度はウヨンに大ブーイング。メンバーの失態を取り消すため、ジュノがフロアごとに叫んでもらうシーンを作るも、ニックンが「二階の皆さん、何歳ですか?」と振りだしに戻るオチで日本デビュー曲「Take off」がスタートした。

 タオルを振り回すライブ定番曲「NEXT Generation」では、ウヨンとテギョンの激しいダンスをリピートする恒例の一幕に苦笑いする他メンバー、Jun. Kとジュノが手を合わせるシーンなど、ステージ全体を有効的に使いながら彼らのライブの代名詞が次々と披露されていく。続く韓国デビュー曲「10 out of 10」では、チャンソンとジュノの側宙やウヨンの軽快なステップ、テギョンのお尻を撫でるシーンやニックンのララララにJun. Kの熱がこもったシャウトなど、見逃せない名場面が盛りだくさん。最後にテギョンのバク転もバッチリ決まった。

 ここで差し込まれる2015年発表の韓国アルバム『No.5』の収録曲「RED」を使ったVTRは、どこか『MUST』のDark ver.を彷彿とさせる世界観だ。歴代曲の中でも特に官能的なこのナンバーに合わせて、テレフォンブースで繋がらない電話をかけるウヨン、映画館の座席に一人座るニックン、湯船に浸かって日記を書くテギョン、スタジオで撮影するチャンソンと赤い暗室で写真を現像するJun. K、そして赤ワインを口にするジュノは、導かれるように赤い扉へと進む。刺激的で大人の色気をここから見せていくことを予兆する。

 そして、待ちに待った2PMの新たな代表曲「My House」がスタート。センターステージが数メートル上がり、会場の中心で華麗に踊り歌う6人に熱いまなざしと歓声が送られる。テギョンが制作したラブソング「Promise (I’ll be)」でも年上・年下組に分かれる誓いのダンスパートや終盤に向けて激しくなっていくダンス、続く「A.D.T.O.Y.」では魅惑的なボーカルと、切羽詰まったように早いリズムに反してスロウな見せ場を作るダンスに目が離せなかった。日本で2PMのたくましいイメージを確立させたと言っても過言ではない「I’m your man」では、他にはないネクタイダンスやシャツのボタンを外す場面でこの日一番の盛り上がりを作った。経験もスキルも重ねた現在の彼らによって、この4曲に共通する一人の女性に捧げる愛が今までよりも濃く深く表現されたように思う。

 大人の男性像をアピールした6人だったが、テギョンによる“ファン(とテギョン)が聞きたい曲を歌うジュークボックス”コーナーで再び笑いが絶えない時間が流れる。ウヨンは「R.O.S.E」(後ろで完璧に踊る他5人)、チャンソンは「僕は」と「Treasure」(Jun. Kとジュノ、ニックンがプレイヤーの真似)、Jun. Kは「NO LOVE」(ウヨンとチャンソンが華麗に飛びまわる)と「LOVE & HATE」、ジュノは「キミの声」と「SAY YES」(コール&レスポンスが完璧で、まるでソロコンのようだった)、ニックンは「Lucky Charm」と「Let It Rain」(テギョンの甲高い「ニックンちゃん」が響く)を歌い、肝心のテギョンは「I LOVE YOU, YOU LOVE ME」「Fight」「Winter 一人」と誰よりも多く披露して、序盤の重罪を償った。

 賑やかな空気から一転、トーンを下げたテギョンの美声で始まった「離れていても」、2016年の活動休止前にファンを想ってジュノが書いた「一緒に過ごした時間」と、ファンと2PMの絆が深く刻まれた2曲に会場はうっとり。そしてJun. Kが作詞作曲した日本初披露バラード「OK or Not」で落ち着きのある時間を届けた。

 ここからは、6人に野獣アイドルの地位を与えたJ.Y. Parkによるヒットナンバーの時間に。「Again & Again」「Without U」では悲しみが憑依した歌声と特徴的なダンスが繰り広げられた。極めつけは「Heartbeat」。ストリングスが響き、6人が息を吹き返した人造人間のように一心不乱に踊り、5人が重なって、ジュノがテギョンの足の間をくぐり抜け、最後ニックンがシャツを脱ぎ捨てるまでの4分間は、瞬きも息をすることさえも忘れてしまうくらい、圧巻の連続だった。全てを出し切る6人の気合いとそれを見つめるオーディエンスの空気も他とは違っていた。

 本編ラストは「I hate you」「Game Over」「Don’t Stop Can’t Stop」の3曲。ジュノ曰く「2PMを語る上で欠かせない、僕たちの全部をお見せすることができる曲」だ。悔しさを経験した6人は、「Game Over」で見せた飛び立つ鷲のように立ち上がり、止まることなく突き進んでいく姿でファンを虜にしてきた。

 アンコールの「Forever」では「この日をずっと待ってたよ」というスローガンのサプライズに2PMも感慨深い様子。「ステージ上で皆さんと目を合わせることができて嬉しかったです。6人で戻るのは7年ぶりですが、次はもっと早く戻ってくることを約束します。日本でも(デビュー)15周年が来ますから~(笑)。お足元も“いい”中、来てくれてありがとうございました!」(テギョン)、「7年間、皆さんと一緒にこの瞬間を待っていました。僕にとっても夢みたいな瞬間でした。本当に楽しかったです」(ニックン)、「6人でまた日本に来られたなんて信じられません。(メンバーに向かって)元気で生きていてくれてありがとう」(Jun. K)、「本当にこの瞬間を待っていました。歌手として一番幸せな瞬間だと思います。相変わらず僕たちを見てくれる皆さんを見ていて、こんなに幸せな時間は人生でそんなにないと思います」(チャンソン)、「7年間、僕たちのことを忘れずに応援してくれてありがとうございます。また会うという約束を果たすことができて嬉しいです」(ジュノ)、「ジュノと同じ気持ちです。僕たちは今日から始まります。だから僕たちを信じて、これから50年、一緒に走っていきましょう!」(ウヨン)とそれぞれが感謝の気持ちを表明した。

 センターステージ端に6人が腰かけた「忘れないで」、合唱が途絶えなかった「Zero Point」、ステージを自由に行き来する「SET ME FREE」、そして予想外の「HIGHER」で最後までハイライトを作っていく。ラストナンバーの見せ場であるCメロ前のダンスでは6人揃ったカッコいいシーンが見られる……はずが、テギョンはファンサービスに夢中になってメインステージに戻ることを忘れている。5人の呼ぶ声でハッと気づき、猛ダッシュするテギョン。ほんの少しだけ遅れたが、何とか間に合った。

 「以上、2PMでした!」と深くお辞儀をして、最後のフリー時間に。ファンとタオルを投げる・投げないの駆け引きをするジュノ、最上階に大きなハートを贈るJun. K、四方八方にお辞儀を欠かさないチャンソン、手を振りながら身に着けるツアーグッズをファンに渡すニックン、ステージのギリギリまで行ってファンサービスするウヨン、ジャンケンしたり「結婚して」の告白にノーを突き付けたりするテギョンなど、時間が許すまでファンと交流の時間を設けた。

 この日は実に3時間30分以上のコンサートだったが、2日目はHottestから2PMへのメッセージ動画が流れるサプライズもあり、2PMは特別な時間を4時間近くもHottestたちと過ごした。「15年も2PMを守ってくれてありがとう」「誰かの光になっていることを忘れないで」「たくさんの幸せをありがとう」といった温かい言葉に胸がいっぱいになるメンバーたち(涙が頬を伝うテギョンの姿も)。「また戻ってきます!」と高らかに宣言した6人のその言葉を信じて、再び会える日を心から願う。

Text by Mariko Ikitake
Photos by 田中聖太郎写真事務所

◎セットリスト
【2PM 15th Anniversary Concert in JAPAN】
2023年10月7日(土)・10月8日(日)、東京・有明アリーナ
M1. I’ll Be Back
M2. Jump
M3. ミダレテミナ (BOYTOY Crazy remix)
M4. Hands Up
M5. Make it
M6. この歌を聞いて戻ってきて
M7. Only You
M8. I Can’t
M9. Take off
M10. NEXT Generation
M11. 10 out of 10
M12. My House
M13. Promise (I’ll be)
M14. A.D.T.O.Y.
M15. I’m your man
M16. 離れていても
M17. 一緒に過ごした時間
M18. OK or Not
M19. Again & Again
M20. Without U
M21. Heartbeat
M22. I hate you
M23. Game Over
M24. Don’t Stop Can’t Stop
M25. Forever
M26. 忘れないで
M27. Zero Point
M28. SET ME FREE
M29. HIGHER


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