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CVLTEが8月11日、Zepp Shinjuku (TOKYO)にて開催した【CVLTE pre. SCORPION PROJECT (Part 1)】の、オフィシャル・ライブレポートが到着した。
本公演は、彼らが今年4月に完走した全国ツアー【HELLSONG TOUR 2023】最終公演にて発表されたもの。新宿・歌舞伎町エリアにて、3か月連続でライブ開催をするというもので、今回はその皮切りとして、バンド史上最大規模に匹敵する1,500名のファンが押しかける一夜となった。
メンバー登場前、ステージ後方にあるLEDに、タブレットを模したような怪しげなキャラクターの映像が投影される。Scorpy Jr.と名乗るそのキャラクターは、自身のモチーフである小さなタブレット=SCORPIONを摂取すると、視覚・聴覚ともに活性化を促し、自らのやってきた2052年の未来とリンクさせてくれると解説。「たしか会場に入るときに怪しげな白いタブレットを手渡されたな……」と、半信半疑の面持ちで、SCORPIONを掌にのせ、映像に誘われるままに一気に飲み込む会場一同。いよいよライブの幕開けだ。
開幕を飾ったのは、8月4日に発表したばかりの新曲「scorpion.」。これから鼓膜と網膜に飛び込んでくる2052年の音楽体験の凄まじさをプロローグ的に予感させるかのように、サイケデリックなサウンドと、CVLTEの特徴である逞しい音圧が襲いかかってくる。
その後のわずか数曲で実感させられたのが、CVLTEが鳴らす音楽のなかでも、とりわけ特徴的な“ブレイクの妙”。言い換えれば、“静寂の使い方”とも表せるだろうか。ラウドかつ縦ノリのグルーヴを提供しながら、曲中に幾度となくブレイクを置き、静寂が破られるタイミングで頭を振らせるなど、純粋に“鳴っている音の気持ちよさ”にこだわっているバンドだと伝わってくる。
楽曲制作の中心であるaviel kaei(Vo.)謹製の打ち込みサウンドのほか、ライブではHAL(Dr.)による生演奏が重なるところも大きなポイントだろう。そうした静寂が時に、あえてリズムをずらした瞬間に訪れるため、楽曲を知っていればぴったりのタイミングで頭を振れて快感も倍増するし、そうでなくとも楽しめてしまうわけである。
また、ライブ全編を通して映し出された映像も“SCORPION PROJECT”の世界観の構築に大きく貢献していた。
「今日は多くは語らないんで、音を聞いて感じてください」
その言葉通り、最初に披露した「scorpion.」から終演までのなんと75分間、途中に何度か、1分間にも満たない短いSEを挟む時間こそあれど、MCやアンコールは当たり前のように、文字通り息つく間すらなくぶっ通しのパフォーマンスを見せつけられた。自分たちが用意してきた世界をぶつけ、フロアにそれを受け止めてもらう。avielの言葉は、これまで開催してきたライブとはコンセプトが大きく異なると示すようでもあり、同時に75分間の連続パフォーマンスに耐え抜くバンドの集中力、精神力、スタミナのすべてにも感服させられてしまった。
ライブ中盤は、CVLTEのサウンドレンジの幅広さを体感できるひとときに。どこか祈りを捧げるように、心の弱い部分を開いた6曲目「opium.」はバラードに近い雰囲気で。そこから、ラテン~レゲトンビートも取り入れた「needed you.」、Takuya(Gt.)がポップステイストなギターカッティングを見せる珍しいスタイルで、スムースな印象のキーボードと、その表情にあわせてボーカルも柔らかに微笑むようだったのが「hedonist.」。さらには、細かなハイハットが際立つトラップチューン「paradise.」まで、ヒップホップ、ポストハードコアなどを行き来する楽曲が並んでいた。
ライブ後半になると、フロアの一体感をますます煽る楽曲が立て続く。トランスの要素を全面に押し出した本公演初公開の新曲である12曲目「digital paranoia.」では、この日最大の低音で最も内臓を揺さぶられ、時間帯としてはまだ19時前後だったにも関わらず、深夜27時のような酩酊感に。また、2番に入りBPMが一気に加速すると、HALがドラムセットの上に駆け上がり、フロアを大きく煽りつつ、再び勢いよく着地したかと思えば、ドラムスティックを宙に飛ばすというダイナミックさも繰り広げていた。
15曲目「garden.」の間奏では、avielが頭の上でハートマークを作り、ここまでのフロアからの愛情に応えてみせる。すると続けて、今度はHALも同じポーズに。そこから間奏を終えて、わずかな静寂を迎えた後、歌い出しから3音目で一気にブレイクに突入。メンバー全員で鳴らす迫力の音圧で、何度でもCVLTEならではの音の気持ちよさに震わせられる。最後には、この日のエモーショナルも臨界点に達してだろうか。avielが自身の歌唱フレーズを歌い切る前にフロアにマイクを向けたのだが、彼の息とマイクが空を切り、風の音のようにスピーカー越しに届いてきたところに、バンドとしての生を感じ取ることができた。
熱狂のライブを締め括ったのは「tokyo insomnia.」。ここでは、TakuyaとFuji(Ba.)がともにフロアすれすれまで腰を落として演奏を見せた後、最後にはフロアの柵に足をかけるくらいの至近距離に接近。楽曲終盤に差し掛かると、ステージ後方には前述のScorpy Jr.から、SCORPIONが大量製造される様子、磔のような状態の人間らしきなにかが灼熱で燃え焼かれる状態まで、この日に流れたすべての映像が走馬灯のように巻き戻して再生され、我々のシナプスに直接訴えかけてくる。
ポストハードコア、ヒップホップ、エモ、メロディックコア、ハイパーポップ……CVLTEの音楽は、いわゆる“オルタナティブ”のその先にあると確信している。そうした未来を来月以降も見せてくれるかもしれないのが【CVLTE pre. SCORPION PROJECT】残り2公演である。
終演後には、第2弾の9月22日、第3弾の10月19日ともに、この日と同じZepp Shinjuku (TOKYO)が会場に選ばれたことが発表されたほか、第2弾公演は入場無料ライブとして開催。両公演にはゲストアーティストの出演も予定していることが明らかに。第2弾公演の整理券の配布方法など、詳細は後日アナウンスされる。また、第3弾公演のチケット先行予約は、8月28日18時までチケットぴあにて受付中だ。
Text:一条皓太
Photo:ERINA UEMURA
◎イベント詳細
【CVLTE presents:“SCORPION PROJECT (Part 2)”】
2023年9月22日(金) 東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)
【CVLTE presents:“SCORPION PROJECT (Part3)”】
2023年10月19日(木) 東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)
◎リリース情報
シングル「scorpion.」
2023/8/4 RELEASE
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