<インタビュー>人気急上昇中のブロンドシェルを知るための9つのこと

2023年5月1日 / 18:00

 ここでは、米ビルボードによる2023年4月の<インディー・アーティスト・オブ・ザ・マンス>に選ばれ、自分の気持ちを率直に表現することで人気が急上昇中のアーティスト、ブロンドシェル(Blondshell)を紹介する。

<最新プロジェクト>
ブロンドシェルによるセルフ・タイトルの1stアルバムは、<パルチザン・レコード>より2023年4月7日にリリースされ、2022年のデビュー・シングルでブレイク曲「Olympus」が収録されている。

<原点>
米マンハッタンで幼少期を過ごしたブロンドシェルことサブリナ・タイテルバウムは、子供の頃からシンガーになりたいと思っていた。2015年、彼女は南カリフォルニア大学のポピュラー・ミュージック科に通うために米LAに拠点を移し、やがてバウムというソロ・ポップ・プロジェクトを立ち上げた。彼女のキャリアが定まったのは、ブルージーでスローな「Olympus」を書きあげた時で、そこからブロンドシェルが誕生した。プロデューサーのイヴ・ロスマンが、同じような生々しいロック風のスタイルでもっと曲を書くよう彼女に勧めたそうだが、彼女は当初“怖かった”と振り返っている。その後、アルバム『ブロンドシェル』を構成するほとんどの曲がすぐに生まれた。「この作風が自分らしいということは明白だった」と彼女は話す。

<サウンド>
ザ・ローリング・ストーンズのようなロックの巨匠を聴いて育ったタイテルバウムは、ザ・ナショナルの大ファンだ。自身のデビュー作のアートワークは、バンドの6thアルバム『トラブル・ウィル・ファインド・ミー』のモノクロのジャケットにインスパイアされていると彼女は語る。2000年代に育った彼女は、同時にクリスティーナ・アギレラ、ケリー・クラークソン、グウェン・ステファニーなどのポップ・アイコンを聴いていたそうだ。“音域が広いシンガーたちばかりだった”と彼女は当時を振り返り、長い間、自分も同じように歌わなければならないと考えていたと付け加えた。

彼女がこのアプローチを考え直すきっかけとなったのは、ライブで披露するのが好きな曲の一つである話す、告白的な「Sepsis」のような曲だ。「私の声にうまくあった曲です」と彼女はこの曲について語り、「アルバムのために曲を書き始めた時、特に“Sepsis”が、“ああ、あんな風に歌わなくてもいいんだ。自分が一番気持ちいいと思う音程で歌えばいいんだ”と思わせてくれました。あの曲を歌うのは楽しい、なぜならいとも簡単にできるから」と話している。

<アルバム>
ニュー・アルバム『ブロンドシェル』のリリースは“リラックスしながら祝った”そうで、発売日の夜にアメーバ・ミュージックでインストア・ライブを行い、翌日ビーチを訪れたそうだ。アルバムは、米ビルボードの“Top Current Album Sales”チャートで88位にランクインし、彼女にとって初チャートイン作となった。インディー・レーベルと契約したことについて、彼女は「“これが今後ずっとあり続けたい姿だ”という判断を下したくなかった。常に変化する自由がとにかく欲しかったんです……“このアルバムを制作する上で、何を参考にしたのか”ということをずっと考えていました。主に90年代のギターを中心とした音楽だと気付きました。私はいつもそれを参考にし続けるつもりです。なぜなら自分が大好きな音楽だから」と話している。

<ブレイクスルー>
2022年にデビューしたばかりのブロンドシェルだが、ここ数か月でお気に入りのライブ会場であるフォンダ・シアターで演奏し、米トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』への出演で、深夜トークショー・デビューを果たした。だが、そこに至るまでは、長年の努力が必要だったと彼女は語る。「最初は、“どうやってSpotifyに曲を登録すればいいんだろう?、どのようにプロデューサーに出会い、どのようにセッションに参加すればいいんだろう?“という感じで、何年もかけて、一歩一歩進んできました。そこから、“どのようなパフォーマーになりたいんだろう?どんなショーがやりたいんだろう?”というぐあいに」

「ここ数年間は、“音楽でなければ、長期的に何をしたらいいのかわからない”という感じで、ちょっと怖くなっていました」と彼女は振り返り、「世間は、ミュージシャン、特に女性ミュージシャンに、若いうちから自分がどのようなアーティストかを自覚し、成功を掴まなければならないというプレッシャーをかけます。“25歳までに成功しなければ、一生無理だ”など、私が成長する過程で刷り込まれてきたこれらのメッセージは、長らく私を不安にさせました」と続ける。

転機となったのは、昨年の夏、ブロンドシェルとして初めてライブを行った時だと彼女は言う。「非常に大きな瞬間でした。“Olympus”をリリースした時、人々はあのような音楽を(私から)聞いたことがなかったと思います。私の友人や一緒に仕事をしてきた人たちですら。そして、“ほら、音楽に一生懸命取り組んで、ライブの準備をしてきたんだよ”と、みんなに証明することができたんです」

<未来>
ロックに根ざしつつも、より実験的な作品を作りたいと言うブロンドシェルはすでに次のアルバムの構想を始めている。彼女は、成功しながらも“より奇妙でプログレッシブな”インディー・ロック・アルバムをリリースしてきたアーティストとして、PJハーヴェイを挙げている。「様々な曲構成などで実験してみたいんです」と彼女は言う。

彼女はまた、自身が素晴らしいボーカリストと思うアーティストたちにも注目している。「最近、ライブが上手なアーティストがより増えてきているように感じます」と彼女は話し、「その部分で、自分の先をいっている、あるいはキャリアを積んでいる他のアーティストに関心を持っています」と明かす。特にエセル・ケインとウィローについて言及しており、両者の【コーチェラ・フェスティバル】でのパフォーマンス映像をネット上で繰り返し見ているそうだ。加えて、子供の頃からインスパイアされてきたスーパースター、マイリー・サイラスの名前も挙げた。「彼女が大好きなんです」と言うと、「昨日、彼女が歌う動画を見ていたんですが、あれほど安定した素晴らしい声で歌うのは、とても大変なことなんですよ」と続けた。

<新人インディー・アーティストが心に留めるべきアドバイス>
「音楽を作っている最中は、それをどのようにリリースするかについて考えてはいけない。ビジネスの要素を実際のソングライティングに持ち込んではいけない。そういったこと、そして人々が曲に共感してくれるかどうかという期待も無視したほうがいいと思います」

<今、夢中になっているインディー・アーティスト/バンド>
「ウェンズデイが結構好きです。“Formula One”を聴いてみてください」

<今、音楽シーンで最もエキサイティングなこと>
「ここ最近、多くのシンガーソングライターが、インディーをよりメインストリームに感じさせています。ギター音楽の人気が再熱しているのも、その一環だと思いますね。また、インディー・スリーズ(Indie Sleaze)が復活の兆しを見せているような気もします。そのエネルギーを人々が渇望しているのだと思いますね。どうでしょう、現在は様々な種類の音楽がよりメインストリームで流行する余地があるように感じています」

「でも、もっと重要なのは、一握りのジャンルだけでなく、他のタイプの音楽を受け入れる余地があることです。そして、自分のレファレンスが全く異なっていてもいいと知ることです。私がマイリー・サイラスの大ファンであることに驚く人もいるかもしれません。かなりインディーなアーティストで彼女のことが好きな人はたくさんいます。以前、きょうだいの犬を連れていた時に、彼女を街で見かけたことがあるんです。彼女に“犬に挨拶していい?”って話しかけられたので、私は、“マイリー・サイラスですよね”って感じで。その時、私は家族と一緒にいたんですが、父に“あれ誰だ?顔が赤いよ”って言われました。“マジで言ってるの!?マイリー・サイラスだよ、そう、赤面してる。いちいち言わなくてもいいじゃん”って感じでしたよ。実に彼らしい反応でしたね」

◎リリース情報
アルバム『ブロンドシェル』
2023/4/6 RELEASE
PTKF3033-2J 2,500円(plus tax)

Interview:Lyndsey Havens / Billboard.com掲載


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