エンターテインメント・ウェブマガジン
3月末に坂本龍一が逝去された。デビュー年である1975年生まれの筆者はYMO最盛期に間に合わず、YMOをリアルタイムで体験できたのは1993年の“再生”後だったが。当時、テクノに夢中で、後追いでYMOを聴いてた僕はリアタイで見れることに歓喜したし、アルバム『テクノドン』のカッコ良さに大興奮したのを覚えてる。あの頃とは異なり、YouTubeなどの動画サイトで、過去の貴重な映像もたくさん見ることができる現在。ここでは映像で見ることができる、坂本龍一ワークスを紹介。意外とYouTubeにオフィシャルのMVやライヴ映像が上がっておらず、坂本龍一編曲の「コンピューターおばあちゃん」もGEISHA GIRLS「少年」も、feat. Sister M「The Other Side of Love」も、YMO(正しくはバッテン)の「ポケットが虹でいっぱい」もありませんが。そちらはアンオフィシャルをご検索ください!
「Tong Poo」(’79) /YELLOW MAGIC ORCHESTRA
YMOファンの間でトップクラスの人気を誇る、坂本龍一作曲の大名曲。東洋的な雰囲気の楽曲イメージは北京交響楽団、曲タイトルはゴダール監督の「東風」、作曲にはドビュッシーの影響が大きくあったという、教授たる圧倒的センスと教養から生まれた楽曲、YMOにしか成し得ない演奏とアレンジ。この曲を聴くたびになぜか涙腺が刺激されて、泣きそうになってしまうのは俺だけだろうか? タキシード姿で淡々と演奏する姿もカッコ良いMVは、ビデオゲームの画面も時代感を感じることができて実に良い。坂本龍一のアルバム『BTTB』に収録された、ピアノの一人連弾によるセルフカバーも素晴らしいし。矢野顕子のアルバム『Welcome to Jupiter』(2015年)収録のカバーも最高です!
「ライディーン」(’80) /YELLOW MAGIC ORCHESTRA
YMOの代表曲として挙げられるのが「テクノポリス」とこの曲、あと「君に胸キュン」。あえて無機質な表現をした「テクノポリス」に対して、高揚感のある表現が特徴の「ライディーン」は、「『スターウォーズ』を黒澤明が撮ったらどうなるか?」が発想の起点だったとか。作曲者である高橋幸宏が持ってきたメロディーに、坂本が「こんな音楽あり得ない」と思ったとか、遊び心あふに楽しいし、近未来的なMVの3人の演奏シーンもカッコ良いし、何よりリリースから40年以上経つにもかかわらず、色褪せることのない曲の良さには驚かされるばかり。余談だが、♪テクノ~! テクノライディーン~! と歌う、空手バカボンのカバー「来るべき世界」もバカバカしくて大好きだった!
「Behind the Mask」(’10) /Michael Jackson
2010年、マイケル・ジャクソンの未発表曲を集めたアルバム『MICHAEL』収録。アルバム『スリラー』制作時、プロデューサーだったクインシー・ジョーンズがこの曲を気に入り、マイケルが歌詞とメロディーを補足したバージョンがレコーディングされたが。契約上で折り合いがつかず、マイケルの生前は発表される機会がなかったという、面白すぎるエピソードを持つ。坂本が『関ジャム 完全燃SHOW』に寄せたアンケートで、「ポップを定義することは本当に難しいことです。ただ、自分の作品の中でひとつのヒントになるのは「Behind the Mask」かと思っています」と語るほど、自身にとっても重要な存在だったこの曲。マイケルのバージョンは84年、サポートキーボードだったグレッグ・フィリンゲインズがアルバム『Pulse』でカバーした後、86 年にはエリック・クラプトンもアルバム『オーガスト』でカバー。87年には、坂本龍一もこのバージョンをセルフカバー。YMOの名曲はマイケルを介して大きな物語を生み、さらに世界に愛される曲となった。
「energy flow」(’99)/坂本龍一
1998年にリリースされた、初の全曲書き下ろしのピアノアルバム『BTTB』に続き、99年にリリースされたシングル「ウラBTTB」収録。「Merry Christmas, Mr Lawrence」や「the last emperor」と並ぶ、坂本龍一の代表曲。CMソングとして使用された同曲が大好評だったため、CD発売が決定。急遽、パートを追加して一曲に仕上げたそうだが。インスト曲のシングルとして初めて、オリコンウィークチャート1位を記録。「ポップ路線など何も考えずに5分ほどで作った曲で、なぜこの曲が売れたのか分からない」と坂本談。大学時代からアルバイトでCMソングを作っており、誰もが知ってるCMソングを多く手掛けてきた坂本は、それまで手掛けた全50曲のCMソングを集めたアルバム『CM/TV』(2002年)もリリース。同盤には、この曲のCMヴァージョンも収録されている。
「IN THIS WORLD feat. 坂本龍一」 (’22)/MONDO GROSSO
大沢伸一のソロプロジェクト、MONDOGROSSOのアルバム『BIG WORLD』収録。大沢のトラックに坂本がピアノを弾き、作詞をUAが担当。ヴォーカルを満島ひかりが務めるという豪華コラボレーションによる楽曲は、大沢の心地良いトラックに乗せた坂本の存在感あるピアノ、UAの愛にあふれた歌詞世界に満島の透明感ある歌声と、そこにある全てが美しく融合した奇跡の楽曲。完成した楽曲に坂本は「僕はもうこういう曲に何かするのは無理だと思っていましたが、メロディーに誘われるまま手を動かしました」とコメント。それでこれって、天才すぎます! MVで劇場を舞台にしなやかに踊り、華麗に空を舞う満島の美しさも含めて、異常に完成度の高い作品です。
TEXT/フジジュン
フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者など、なんでも屋として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野。現在は音楽サイトや、雑誌『昭和50年男』等で執筆。
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