【米ビルボード・アルバム・チャート】モーガン・ウォレン2023年最高週間ユニットで首位獲得、カリ・ウチス初登場4位

2023年3月13日 / 11:00

 米テネシー州出身のカントリー・シンガー=モーガン・ウォレンの新作『ワン・シング・アット・ア・タイム』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 『ワン・シング・アット・ア・タイム』は、2021年1月にリリースした前作『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』から約2年ぶり、3枚目のスタジオ・アルバムで、Billboard 200ではその『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』に続く2作目の首位獲得、2018年4月にリリースしたデビュー・アルバム『イフ・アイ・ノウ・ミー』(最高10位)を含む3作目のTOP10入りを果たした。

 前作『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』は、2021年1月から3月まで10週間連続で首位をマークした後、約2年間TOP10に居座り今週も6位にランクインしている。TOP10のチャートイン記録は通算110週で、173週を記録したサウンドトラック『マイ・フェア・レディ』(1956年)に続く歴代2番目のランクイン総週を更新している。

 『ワン・シング・アット・ア・タイム』は、今週の集計期間中(2023年3月3日~2023年3月9日)、アルバム・ストリーミングが382,000、アルバム・セールスが111,500、トラックによるユニットは7,500をそれぞれ記録して、累計501,000ユニットを獲得した。全体の76%を占めたストリーミングは、全36曲で4億9,828万回を記録している。

 カントリー・アルバムが2作連続で1位を獲得したのは、トーマス・レットが『ライフ・チェンジズ』(2017年)から『センター・ポイント・ロード』(2019年)で達成して以来で、ストリーミングが集計に加算された2014年12月以降では、男性アーティストによるカントリー・アルバム最大の週間ユニットを更新した。なお、女性アーティストを含めるとテイラー・スウィフトの『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』が記録した604,500に続く2番目の記録となる。

 2014年12月以降、週間ユニットが50万を超えたアルバムは9作のみで、モーガン・ウォレンはアデル、ビヨンセ、ジャスティン・ビーバー、ドレイク、ケンドリック・ラマー、トラヴィス・スコット、ハリー・スタイルズ、テイラー・スウィフトに続く8組目の快挙を達成した。

 週間ユニット(501,000)としては2023年現時点での最高記録で、2022年11月5日付でテイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』が打ち出した1,578,000以来の最高値を更新した。また、カントリー・アルバムとしてもそのテイラーの『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(2021年11月27日付)が記録した604,500以来の最高記録を塗り替えている。

 セールス111,500枚の内訳、87,500枚がデジタル・ダウンロード、24,000枚がCDによる売上で、デジタル・アルバムは公式ウェブサイトでカバー・アートの異なる2種が購入可能となっている。なお、デジタル・アルバムはクリーン・エディションとエクスプリシット・エディションの2種類、CDはエクスプリシット・エディションのみ購入可能で、アナログ盤(LP)やカセットテープはまだリリースしていない。

 週間セールスとしては、2月11日付でTOMORROW X TOGETHERの『The Name Chapter: TEMPTATION』が記録した152,000枚に続く今年2番目に高い売上枚数で、カントリー・アルバムとしては前述の『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(2021年11月27日付)が記録した369,000枚以来の最高記録を更新している。

 週間ストリーミングは以下に続く史上5番目に記録を更新し、現時点でのカントリー・アルバム最大の数字を打ち出した。なお、以下の5作はいずれも初登場週での記録となる。

ドレイク『スコーピオン』(2018年7月14日) 全25曲で7億4,592万回
ドレイク『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』(2021年9月18日) 全21曲で7億4,367万回
テイラー・スウィフト『ミッドナイツ』(2022年11月5日) 全20曲で5億4,926万回
ドレイク&21サヴェージ『ハー・ロス』(2022年11月19日) 全16曲で 5億1,356万回
モーガン・ウォレン『ワン・シング・アット・ア・タイム』(2023年3月18日) 全36曲で4億9,828万回

 アルバムのストリーミング・アクティビティは、収録曲の各ストリーミングの合計によって集計されるため、曲数が多い方が有利となる。『ワン・シング・アット・ア・タイム』も、全36曲で4億9,828万回という高記録に繋げたわけだが、歴代トップの『スコーピオン』と同じ上位25曲に限定しても、3億9,793万回を記録していたことになる。また、4位の『ハー・ロス』と同じ上位16曲に限定しても2億9,465万回と高記録を打ち出してはいたが、20曲以下で構成されていればTOP5はもちろん、歴代TOP10にもランクインすることはなかった。

 過去1年間で首位を獲得した作品としては、ディズニー映画『ミラベルと魔法だらけの家』のサウンドトラック(全44曲)に次ぐ収録曲の多いアルバムで、12曲未満で1位を獲得した作品はわずか4枚のみだった。その4枚全てがK-POPのアーティストで、ストリーミングではなくセールス(主にはCDの売上)がユニット数のほとんどを占めている。

 『ワン・シング・アット・ア・タイム』からは、2022年4月からリリース日の2023年3月3日までに9曲がリリースされ、そのうち「ドント・シンク・ジーザス」、「ユー・プルーフ」、「ソート・ユー・シュッド・ノウ」、「ラスト・ナイト」(4週連続)の4曲がカントリー・ソング・チャートで1位を記録し、アルバムのプロモーションに繋げた。

 チャートに戻り、2位はシザの『SOS』(82,000ユニット / 5%減少)が同位をキープし、先週1位に初登場したカロルGの『Mañana Será Bonito』(60,000ユニット / 36%減少)は3位にダウンした。

 続いて今週4位にはコロンビア出身のシンガー・ソングライター=カリ・ウチスの新作『レッド・ムーン・イン・ヴィーナス』が初登場し、自身初のTOP10入りを果たしている。初動ユニットは55,000で、その内訳アルバム・セールスが28,000、アルバム・ストリーミングが27,000(3,549万回)、トラックによるユニットは残りのわずかだった。

 2020年11月にリリースした前作『Sin Miedo (del Amor y Otros Demonios)』は主にスペイン語で構成されたアルバムで、本作からは「Telepatía」がソング・チャート“Hot 100”で25位まで上昇し、初のTOP40入りを果たした。また、同曲はラテン・ソング・チャートで初のNo.1に輝き、通算8週間をマークしている。

 本作『レッド・ムーン・イン・ヴィーナス』は英語でのプロジェクトとしては初めてチャートインした作品で、アルバムにはオマー・アポロやドン・トリヴァー、サマー・ウォーカーといった人気アーティストが参加している。

 以下、 テイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』(48,000ユニット / 1%減少)が5位、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(46,000ユニット / 1%減少)が6位、メトロ・ブーミンの『Heroes & Villains』(40,000ユニット / 4%減少)が7位をそれぞれキープし、バッド・バニーの『El Último Tour Del Mundo』(39,000ユニット / 1%増加)が先週の10位から8位に上昇。先週9位に再ランクインしたザ・ウィークエンドの『スターボーイ』(35,000ユニット / 13%減少)は同位にランクインし、ドレイク&21サヴェージの『ハー・ロス』(34,000ユニット / 5%減少)が11位から10位に、再びTOP10入りした。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは3月17日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
2位『SOS』シザ
3位『Mañana Será Bonito』カロルG
4位『レッド・ムーン・イン・ヴィーナス』カリ・ウチス
5位『ミッドナイツ』テイラー・スウィフト
6位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
7位『Heroes & Villains』メトロ・ブーミン
8位『Un Verano Sin Ti』バッド・バニー
9位『スターボーイ』ザ・ウィークエンド
10位『ハー・ロス』ドレイク&21サヴェージ


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