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水樹奈々が、1月22日に埼玉・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ【NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023 -BLADE MODE-】を開催した。
水樹は1月21日と22日に、自身の声優としての代表作となる作品にインスピレーションを得た2つのコンセプトライブを実施。初日21日には【LIGHTNING MODE】と題し、自身が”フェイト・テスタロッサ”役で出演するアニメ『魔法少女リリカルなのは』シリーズのテーマソングを中心とした楽曲群を披露していた。そして本稿でレポートする2日目、22日公演のサブタイトルは「BLADE MODE」。彼女が“風鳴翼”役を務めるアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズに提供したナンバーや、翼のメインウェポンである剣(BLADE)をイメージさせる自身の楽曲でセットリストを構成した。
当日のステージは【HEROES】というライブタイトルと、アニメを大きくフィーチャーした、その内容になぞらえたデザインに。上手・下手にはアメリカンコミックを思わせる巨大パネルが設置され、中央には東京のビル群をアメコミタッチにデフォルメした巨大セットがお目見え。サポートバンド・Cherry Boysが、この日のオープニングナンバー「TESTAMENT」のイントロをキックすると、ステージ中央にそびえ立つ十数メートルはあろうかという、「077」(オナナ)ビルの屋上に水樹が登場。アニメ『戦姫絶唱シンフォギアAXZ』のオープニングテーマであるこの曲に続けて、彼女は「FINAL COMMANDER」「Exterminate」と『シンフォギア』ナンバーを3連投。「FINAL COMMANDER」ではいくつもの火柱が上がるステージを上手下手へと猛然と駆け抜け、7色のレーザー光が会場いっぱいに飛び交う「Exterminate」では、そのオープニングをアカペラで高らかに歌い上げるなど、コンセプトライブ2日目の序盤をド派手に彩ってみせていた。
直後のMCで水樹は「『エラい日に来ちゃった』って思っている人もいると思うけど、今日は攻め攻めだよ」「大変なことになってます」とポツリ。その煽りのとおり、その後もライブは変幻自在かつ怒濤の展開を見せていく。
スタイリッシュなストリングスとピアノが楽曲を引っ張る「METRO BAROQUE」と「嘆きの華」、ハープの音色が印象的な「Heart-shaped chant」と、特撮ヒーローソングを思わせるCherry Boysによるセッションののちには、ウサ耳姿の水樹が、バックダンサー・team YO-DAとともに、ステージからアリーナ中央へと伸びるランウェイに登場。まさにその姿ならではの楽曲にして、バウンシーなハウスチューン「Mr.Bunny!」と、ロックナンバー「JET PARK」と、それまでのトラディショナルな楽器で構成された楽曲群とはまったく毛色の異なる、しかし、彼女ならではとしか言いようのない2曲をパフォーマンスした。「METRO BAROQUE」から「Heart-shaped chant」までのパートでは、その主旋律や上モノの楽器の奏でるメロディに寄り添った歌で魅せていた彼女だが、「Mr.Bunny!」からのダンス曲パートでは一転。ボトムヘヴィなキックや、リズム隊の繰り出すシャープな8ビートに乗せて、team YO-DAとともにタフなステップを披露。ここにも彼女の「攻め攻め」の姿勢、エンタテイナーとしての懐の深さをうかがわせた。
なお、水樹がウサ耳姿でライブに登場するのは、前回の卯年、2011年の公演【LIVE CASTLE】以来とのこと。そのスペシャルな遊びにもオーディエンスは大きな声援を贈っていた。
Cherry Boysの演奏に乗せて、team YO-DAの面々がそれぞれソロのパフォーマンスを回し合うセッションコーナーののちも水樹は“踊る”モード。トランスチューン「PRIDE OF GLORY」と四つ打ちダンスロック「恋の抑止力 -type EXCITER-」をCherry Boysとteam YO-DAとともにパフォーマンスした。そののちにはスケール感あふれるロックバラード「ストラスフィア」と、自身最大のヒット曲のひとつ「深愛」をドラマチックに歌い上げ、アリーナを感動の渦に包み込んだ。
そののちの幕間映像では、HERO NANAと共に『シンフォギア』シリーズで共演する先輩声優・三木眞一郎がゲスト出演し悪と闘う実写ショートムービーというコミカルな仕掛けを挟みつつも、水樹はライブ本編の最終盤、シリアスかつハード、そしてデコラティブな楽曲と演出で畳みかける。ショートムービー直後の「FEARLESS HERO」を12メートルの高さでフライングしたまま歌い上げ、正調ハードロックナンバー「純潔パラドックス」ではCherry Boysのリードギタリスト・北島健二を大フィーチャーするテクニカルなプレイでオーディエンスを魅了した。また、T.M.Revolutionとのデュエットナンバー「革命デュアリズム」では、シーケンスフレーズとして流れるT.M.Revolutionのボーカルとテクニカルな掛け合いとハーモニーを見せつけていた。
『シンフォギア』シリーズ第1作『戦姫絶唱シンフォギア』のオープニング曲「Synchrogazer」でライブ本編を締めくくった水樹は、アンコール代わりのハンドクラップに応えて、アリーナの客席下手側に用意されたフロートに乗って登場。それまで振りかざしていた剣や刃をいったん鞘に収めて「ミラクル☆フライト」と「POP MASTER」というブライトな2曲を、文字どおりオーディエンスを眼前にしながらドロップした。
そして『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズのクリエイター・金子彰史との出会いの曲であるという、ゲーム『WILD ARMS the Vth Vanguard』のテーマソングであるミディアムチューン「Crystal Letter」を優しく歌い上げたところで、ライブはいよいよ最終盤に。「みんなといるといろんなパワーをもらって何度も限界突破できたり、羽根が生えたみたいに飛び回れたり、ひとりではできないことがいっぱいできるんです」「それって実はスーパーパワーなのかもしれない」「それを生み出すみなさんはHEROなんです」と、さいたまスーパーアリーナの最大キャパシティ仕様であるスタジアムモードの客席に駆けつけたオーディエンスに感謝の言葉を伝えつつ、『戦姫絶唱シンフォギアGX』の劇中歌「Glorious Break」を投下。この日一番の熱狂を巻き起こして、【HEROES】ライブ2日目の公演を締めくくった。
水樹はライブ最後のMCで「【HEROES】というメインテーマを据えつつ、更に2日間で細分化したにもかかわらず、この2ステージに収まらなかった曲がたくさんあるんです」とひと言。この日の公演は、その言葉のとおり、圧倒的なボリュームのディスコグラフィの中から厳選された22曲を、これまた圧倒的な演出とともに魅せる内容に。舞台装置、コスチューム、ダンス、そしてなによりボーカリゼーションのすべてにおいて“声優アーティストのトップランナー・水樹奈々”ならではの矜持を存分に見せつける一夜だった。
Text by 成松哲
Photo by kamiiisaka
◎公演情報
【animelo presents NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023 supported by JOYSOUND】
2023年1月22日(日)
埼玉・さいたまスーパーアリーナ
<セットリスト>
01.TESTAMENT
02.FINAL COMMANDER
03.Exterminate
04.METRO BAROQUE
05.嘆きの華
06.Heart-shaped chant
07.Mr.Bunny!
08.JET PARK
09.PRIDE OF GLORY
10.恋の抑止力-type EXCITER-
11.ストラトスフィア
12.深愛
13.FEARLESS HERO
14.純潔パラドックス
15.Vitalization
16.革命デュアリズム
17.METANOIA
18.Synchrogazer
<アンコール>
19.ミラクル☆フライト
20.POP MASTER
21.Crystal Letter
22.Glorious Break
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