<ライブレポート>星野源、「まじでいい誕生日だわ」3年越しに実現した多幸感あふれる特別な一夜

2023年2月7日 / 17:00

 星野源がYELLOW PASS会員イベント【Gen Hoshino presents “Reassembly”】の最終公演を神奈川・横浜アリーナで開催した。

 オフィシャル・イヤーブック『YELLOW MAGAZINE 2021-2022』に付属するウェブサービス「YELLOW PASS」会員限定の本イベントは、当初2020年に開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく延期に。「YELLOW PASSの皆さんに何か繋がる時間、集まる時間みたいなものを作りたい」という星野の思いの元、今回待望の約3年越しに有観客での開催が実現した。2023年1月11日、12日に大阪・大阪城ホール、1月27日、28日に神奈川・横浜アリーナと全4公演が開催。本稿では、星野源の誕生日でもある、1月28日に千秋楽を迎えた横浜アリーナ公演の模様をお届けする。

 この日は通常のライブとは異なり、約1時間のライブにトークコーナー、“ニセ明”のコーナーとたっぷりした内容で構成。会場中央には観客がぐるりと一周囲む円形ステージが設置され、会場には開演前から心待ちにしている多くのファンが集まり期待感に溢れていた。オープニング映像を経て、サングラスをかけた星野が笑顔で手を振りながら客席の通路を歩いて登場すると、待ち侘びていたファンからの大きな拍手が響く。センターステージでスタンバイしていたバンドメンバーの長岡亮介(Gr/Cho)、櫻田泰啓(Key/Cho)、武嶋聡(Sax/Fl/Cl)、三浦淳悟(Ba/Cho)、玉田豊夢(Dr)と合流すると「こんばんはー!」と星野の元気な掛け声と共にオープニング・ナンバー「化物」で軽快に幕を開けた。メンバー同士中央に向かい合って演奏するスタイルで、笑顔で楽しそうにパフォーマンスする姿がとても印象的だった。オーディエンスも心地よいグルーヴの音楽に合わせ自然とクラップや体を揺らしながら1曲1曲を楽しむ様子で、曲間ごとに鳴り止まない拍手が3年越しの開催への想いを物語っていた。「久しぶりですね皆さん!」と星野が笑顔で挨拶し、この3年で作曲方法がギターからキーボードへ変化して音楽がさらに楽しくなったことを口にすると、コロナ禍で作曲した「不思議」をのびやかに歌い上げた。

 「なんか聞いたんですけど、声出してよくなったらしいですね」とこの日から声出し解禁されたことを星野が伝えると、すかさずファンから鳴り止まない拍手と共に歓声が沸き起こる。久しぶりに肌で感じるファンの温かさに「ちょっとまって泣きそうなんだけど……!」と感極まり嬉しそうに涙する星野。中には「おかえりー!」とファンからの声援も。星野は涙を拭いながら「感染対策もしながら楽しく普通に歌って、普通に『イェーイ!』とか言って。みんなで一緒に踊りましょう。動きたくねえなって人は、ぜひ心の“うち”で踊ってください」とその流れのまま「うちで踊ろう (大晦日)」を披露。演奏を終えると、早速歓声混じりの大きな拍手に包まれる。会場は常に最高潮で一体感があり、ハートウォーミングな空気感が漂っていた。曲間では、誕生日当日ということもありファンから「お誕生日おめでとう!」と声援が飛ぶと「ありがとうございます。今日誕生日なんです」と笑顔でピース。「まじでいい誕生日だわ」と嬉しさを口にすると、ファンからさらに大きな拍手と声援が飛び交い、バンマスの長岡と「やばいね(笑)」と笑い合いながら嬉しさと喜びを噛み締める。そして、懐かしい曲と紹介された「ある車掌」「日常」を立て続けに披露。星野が愛読していた漫画『SPY×FAMILY』から様々なメッセージを受け取り制作されたという秘話を語り、テレビアニメ『SPY×FAMILY』エンディング主題歌の「喜劇」を幻想的なシャボン玉が舞うなか届けた。

 「次で最後の曲です」という星野の一言に「えー!」という声が上がると「うるせぇ~!(笑)」「熟年夫婦のようなやり取り、久しぶり!」とコロナ禍前では当たり前だったファンとのやりとりを嬉しそうに楽しんだ。「あなたたち1人でもここにいなかったら、こういうライブになってなかったと思うんです。またこうやって集まれる時間に感謝しつつ、最後はこの曲をみんなで歌って、踊って、挨拶を交わしましょう!」と語り「Hello Song」をファンと共に歌い上げ会場をひとつにした。

 ライブ後は約3年ぶりの開催を祝福し、共演歴のある上白石萌音、宮野真守、ハマ・オカモト、水谷千重子らのコメントVTRが流れ、映像ディレクター・山岸聖太と放送作家・寺坂直毅が司会を務めるトークコーナーへ。星野は再登場すると、山岸から「泣いてました? もしかして」といじられると「はい……泣いちゃった(笑)」「凄いね、人のエネルギー」と笑顔で照れくさそうに口にする。事前にファンから寄せられた質問に星野が回答していき、その後もラジオを聞いているような和気藹々としたゆるいトークが展開され、会場は終始温かい雰囲気に包まれた。

 イベント終盤に差し掛かると、「星野さんだけでなく、“あの方”も皆さんに感謝を伝えたいと申しております!」と寺坂の昭和歌謡ショーの司会のような力強い語り口調を皮切りに、おなじみのキャラクター“ニセ明”のショウがスタート。キラキラなド派手で眩しすぎるシルバーとブラックのジャケットを身にまとったニセは、布施明の「君は薔薇より美しい」、稲垣潤一の「夏のクラクション」、そして唯一のオリジナル曲「REAL」を熱唱。仕草も口調も全てがトレンディで、会場の照明演出も相まってとにかく眩しい。パフォーマンスを終えると「最高だったよ~! 一緒に歌うことができて本当に幸せです」「最後は星野くんの曲のカバーをやりたいと思います。ニセ、たまにお化けみたいですねって言われるんだよね(笑)。皆さんもおばけと一緒に踊りませんか?」と“feat. おばけ”ならぬ“feat. ニセ”として「異世界混合大舞踏会」を披露。銀テープも舞う華やかな演出で、多幸感溢れるなか「皆さん、本当にありがとうございました!」と満面のキメ顔を届け、笑顔で手を振りながらステージ下へと姿を消しイベントを締め括った。

 最後にステージに再び登場した星野は「一緒に歌ってもらえることで、改めて自分は1人ではないんだなと思うことができました」「ここにいる人たちが同じ空間にいることは二度とない。そんな二度とない時間を一緒に過ごすことができてすごく楽しかったです。これからも星野源をよろしくお願いします。そして、また笑顔で会いましょう!」と、ファンに感謝を伝えると、それに応えるようにファンから大きな温かい拍手が沸き起こった。星野は手を振りながら笑顔でしきりに“ありがとう”と何度も言葉にして届け、ステージを後にした。

 また、イベント後には横浜アリーナの楽屋から『“Reassembly”アフター(バースデー)パーティー in 横アリ』が生配信され、アフターパーティーの模様は2月12日までアーカイブ配信も実施されており、各種音楽配信サービスでは、セットリストのプレイリスト配信も行われている。なお、2月15日にはMUSIC VIDEO集第2弾『MUSIC VIDEO TOUR 2 2017-2022』のリリースを控えている。

Text:Rumi Miyamoto
Photo:TAICHI NISHIMAKI

◎セットリスト
【Gen Hoshino presents “Reassembly”】
2023年1月28日(土)神奈川・横浜アリーナ
1. 化物
2. 桜の森
3. ミスユー
4. Present
5. 不思議
6. うちで踊ろう (大晦日)
7. Continues
8. SUN
9. ある車掌
10. 日常
11. 喜劇
12. Hello Song

【NISE AKIRA SHOW】
13. 君は薔薇より美しい
14. 夏のクラクション
15. REAL
16. 異世界混合大舞踏会 (feat. おばけ)


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