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2月5日に行なわれる『第65回グラミー賞授賞式』。ビヨンセ、ケンドリック・ラマー、アデル、ハリー・スタイルズらの作品が多くの部門でノミネートされていますが、今年の見どころは何と言ってもビヨンセとアデルの女王対決。彼女たちとグラミーを巡っては2017年にもふたりの賞レースが勃発しましたが今回はどうなることやら。ここでは主要4部門にノミネートされたアーティスト5組の作品からそれぞれ1曲ずつをピックアップします。
「Break My Soul」(’22)/Beyonce
今回から新たに5部門が追加され、91部門となったグラミー賞。ビヨンセはそのうち主要3部門を含む9部門でノミネートされ、今年度最多となるノミネーションを獲得。これまでトータル88部門でノミネートされた彼女は、41歳の若さでグラミー賞史上最多ノミネーション獲得アーティストとなりました。しかもその記録は今回5部門でノミネートされている夫のジェイ・Zも過去最多タイと並んでおり、相変わらず突出した無敵カップルとして音楽界に君臨しています。それにしても、何の因果か今回もまたアデルとの賞争いに。最優秀レコード賞、最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞の主要3部門におけるふたりの対決に注目です。
「The Heart Part 5」(’22)/ Kendrick Lamar
ビヨンセに次ぐノミネーションを獲得しているのがケンドリック・ラマー。ビヨンセ、アデルの賞争いをよそに主要3部門を含む8部門でノミネートされています。この曲は2010年にリリースされた「The Heart Part.1」から始まる“The Heart”シリーズ作品のパート5で、アルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』リリース前に公開されました。当初はアルバム先行曲かと思われたもののアルバムには収録されないまま。注目すべきはコービー・ブライアント、O・J・シンプソン、ウィル・スミス、カニエ・ウェスト、そしてニプシー・ハッスルらの顔が合成されたMV。登場人物はもちろんリリックに関連していて、彼らにまつわる事の背景や、彼等へのシンパシーやリスペクトが表された作品となっています。
「Easy on Me」(’21)/ADELE
7部門でノミネートされているアデル。復帰後初となるアルバム『30』は名だたるランキングやストリーミング再生数の記録を打ち立て華々しいカムバックを飾りました。ビヨンセとの賞争いとなった前回はアデルが最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀アルバム賞を含む5部門で受賞。揺れる感情をそのままに、ビヨンセと彼女の作品を讃え、涙ながらに賛辞を送るアデルと、それを静かに受け止めるビヨンセの姿が印象的だった授賞式でしたが、今回もどちらが受賞してもおかしくない賞レース。奇しくも再対決となってしまったふたりの作品がノミネートされている主要3部門の行方はもちろんのこと、以外の授賞式、スピーチにも新たなドラマが生まれることに期待が高まります。
「Chaise Longue」(’22)/Wet Leg
最優秀新人賞にノミネートされているウェット・レッグは、イギリス・ワイト島出身のリアン・ティーズデイルとへスター・チャンバースからなる2人組。インディーズ期よりイギー・ポップから絶賛されるなど多くのミュージシャンからも注目され、欧州ではすでに名を知られた存在です。今回のグラミーでは主要部門のみならず、最優秀アルバム技術賞(クラシック以外)、最優秀オルタナティヴ・パフォーマンス賞、最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞の4部門のノミネーションを獲得しています。無名ながらもドミノレコードと契約したこのデビュー曲は最優秀オルタナティヴ・パフォーマンス賞にノミネートされています。
「GOSSIP feat. Tom Morello」(’23)/MANESKIN
今世界から最も注目されているバンド、マネスキン。その独自性を武器に作品を生み出し、爆走躍進まっしぐらのイタリア・ローマ発の4人組は今回のグラミーで最優秀新人賞にノミネートされています。日本では2022年の『SUMMER SONIC』で大暴れ、最大のインパクトを残したパフォーマンスが記憶に新しいところ。1月20日にリリースされたばかりの最新アルバム『RUSH!』に収録されているこの「ゴシップ」には、彼らの憧れ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが参加しています。幅広いアーティストから影響を受けていると明言しているマネスキンですが、今回のコラボレーション作品も必聴。聴けばロック・イズ・ノット・デッドを実感できます。
TEXT:早乙女‘dorami’ゆうこ
早乙女‘dorami’ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸に、コンサート制作アシスタント通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、アニメや人形劇の英語監修及び翻訳、音楽情報ウェブサイトにて執筆。
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