<ライブレポート>Mrs. GREEN APPLEが多幸感で満たしたZeppツアー、結成10周年イヤーの展開に期待

2023年1月13日 / 19:10

 Mrs. GREEN APPLEのツアー【ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~】の最終日が、2022年12月27日に東京・Zepp DiverCityで開催された。

 本ツアーはMrs. GREEN APPLEが新体制としてフェーズ2を開幕してから初めての全国ツアーで、2019年に開催したアリーナツアー【エデンの園】以来、およそ2年半ぶり。さらにZeppツアーはミセス史上初ということで、来場者たちの期待は大いに高まっていた。

 様々な思いが溢れた会場にSEが響き、ステージは赤いライトで照らされる。この日、観客の声出しはリアクションのみOKとされており、メンバーの登場を温かい声援が包んだ。ギターのスクラッチ音が鳴り響くと、ステージは一気に青色に変わり、「藍」でファイナル公演が幕開け。照明が次々と切り替わる演出の中、メンバーはシルエットで浮かび上がる状態だったが、ライブ披露はレアな「灯火」でステージがパッと明るくなると、個性豊かなメンバーの全容が目に飛び込んできた。そして、フェーズ2開幕を象徴する「ニュー・マイ・ノーマル」を3曲目に、大森元貴(Vo. / Gt.)の妖艶な動きに合わせて観客も手や身体を揺らし、会場全体が全身で音楽を楽しむ空気で満ち溢れた。

 まだライブ冒頭ながら既にボルテージが上がりっぱなしなのは、やはりツアー・ファイナルだからなのだろうか。「世界で一番盛り上がっている空間にしたいなと思っています!」と、大森が言い放ち「CHEERS」でみんなと乾杯。この曲だけ写真撮影OKとしながら「でもジャンプさせます」とオーディエンスを跳ねさせた。藤澤涼架(Key)がステージ上を駆けまわったり、メンバー3人が1か所に集まって演奏したりする仲睦まじい様子が微笑ましい。続く「How-to」では、シングアロングはできずとも「心で!」と叫ぶ大森に応えるように、観客の掌が高く突き上がった。

 「いけるかZepp!」と大森が叫ぶと、彼らのロックアンセム的楽曲「インフェルノ」へ突入。7曲目の「No.7」では、藤澤によるおなじみの盆踊りのような振り付けでオーディエンスを盛り上げた。ここまで一気に駆け抜けてきたが「盛り上がる曲の後にバラードがきたり、展開が激しいライブ」という大森の言葉通り、優しい歌声が響く「soFt-dRink」で一時会場をクールダウンさせた。

 また、サプライズ的な演出だったのは「青と夏」と「パブリック」の特別アレンジ・バージョンだ。演奏だけでなくボーカルのメロディラインもメロウにアレンジされており、全く別の楽曲かとすら感じさせる。どちらもミセスの代表曲といえる、疾走感溢れる楽曲が大きく生まれ変わり、新たな魅力を引き出していた。「青と夏」に続けて披露された「僕のこと」では、ピンスポットが当たった大森のギター弾き語りから始まり、語りかけるような大森のボーカルに寄り添うように演奏が加わっていく。

 2022年のMrs. GREEN APPLEといえば映画『ONE PIECE FILM RED』への提供曲「私は最強」なしには語れないだろう。まずは「息継ぎなしでどこまで歌えるか勝負しましょうよ」という大森の提案で、若井滉斗(Gt.)・藤澤による“「私は最強」をノーブレスでどこまで歌えるか対決”がスタート。キーも呼吸も辛そうな2人の様子を大森が爆笑しながら見守る中、なぜかやる気と自信に満ち溢れていた若井。低燃費な声のボリュームで大森に「シャバすぎだろ!」と突っ込まれながらも、若井が勝利し決着した。そんな愉快なMCを経て「私は最強」を披露。大森のパワフルで伸びやかなハイトーン・ボイスは何度聴いても圧巻だが、この楽曲では特に実感することができた。

 冬らしい楽曲「Soup」をじっくりと披露したのち、軽快な「アボイドノート」へ。改めて楽曲の引き出しに感心しているうちに、目の覚めるようなギターのカッティングから「ダンスホール」が始まった。ミラーボールがキラキラ輝き、金テープの特効まで飛び出す。タイトルそのままに会場を“ダンスホール”にして見せた。

 【ゼンジン未到】は彼らがメジャーデビュー前から行ってきたライブのシリーズ。このタイトルを掲げているときはライブハウスなど、近さを感じられる場所で開催をしているとのことで、「みんなとの時間をじっくり、お互いに噛み締めながら楽しむというシリーズになっています」と大森が話す。「【ゼンジン未到】は4年ぶりくらいなんですけど、こうやって皆さんが足を運んでくれることが本当にありがたくて。めちゃくちゃ気持ちがいっぱいになっています」と感慨深そうに語り、リリースされたのはまだ最近だが、昔からある楽曲「スターダム」を久しぶりに披露した。

 そして本編のラストは、メジャーデビューを発表した【ゼンジン未到とプログレス ~実戦編~】のラストと同様に「CONFLICT」で締めくくった。

 そして2023年で結成10周年を迎えるMrs. GREEN APPLEから、アンコールの前に3つの重大発表が。4年ぶりのフルアルバムを絶賛制作中、7年ぶりの対バンライブを開催、そして3年半ぶりのアリーナツアーを開催するとのことだ。「10年って長かった?」という大森の問いに「長かったような短かったような……」と考える藤澤と若井。それほどまでに濃縮された10年間だったのだろう。メジャー1stシングルに込められた初心を忘れない気持ちを<いつでもスタートでいよう>と「StaRt」で届けた。

 多幸感に溢れたライブの締めくくりは、11月にシングル・リリースした映画『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌「Soranji」。神々しい光に包まれながら、“信じること”を深く潜って書いたという大事な歌詞を、大森が一言一言届けるように歌った。

 活動再開後の豪華な楽曲提供やタイアップ、Zeppツアーや、ポップアップショップの開催など、2022年は目まぐるしいほどにリスナーを楽しませてきたミセス。活動休止からの華々しい復帰を経て、彼らなりのエンターテインメントを新たに提示できた1年だったのではないだろうか。年が明ける前から既に3つの重大発表でファンを楽しませる準備を控える彼らだが、まだまだこれだけではないとMrs. GREEN APPLEの華々しいアニバーサリーイヤー【Mrs. GREEN APPLE 10th Anniversary Celebration】に期待してしまう。

Text by Yuma Totsuka
Photos by 鳥居洋介

◎セットリスト
【Mrs. GREEN APPLE Zepp Tour 2022 ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~】
※2022年12月27日(火)東京・Zepp DiverCity公演
1. 藍
2. 灯火
3. ニュー・マイ・ノーマル
4. CHEERS
5. How-to
6. インフェルノ
7. No.7
8. soFt-dRink
9. 青と夏(アレンジver.)
10. 僕のこと
11. 私は最強
12. Soup
13. アボイドノート
14. ダンスホール
15. スターダム
16. パブリック(アレンジver.)
17. フロリジナル
18. CONFLICT

EN1. StaRt
EN2. Soranji


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