<ライブレポート>LUNA SEA、初期楽曲でSLAVEを唸らせた【黒服限定GIG】開催「過去にはこんなにも鮮やかな未来がありました」

2022年12月22日 / 18:00

 LUNA SEAが、12月18日に【黒服限定GIG 2022 LUNACY】をさいたまスーパーアリーナで開催した。

 バンド結成当時(1989年)に使用されていたLUNACY名義で行われる【黒服限定GIG】。東京ドームでフリーライブとして開催された【LUNACY黒服限定GIG -the Holy Night-】以来、約12年振りにLUNACYの【黒服限定GIG】が帰ってきた。また、LUNACYはLUNA SEAが主催するフェス【LUNATIC FEST.】(2015年、2018年)でもオープニングアクトとして登場し、観客を驚かせたことも記憶に新しい。本公演では、17日と18日の2日間に渡ってインディーズ時代の楽曲に加え、SLAVE(ファンの呼称)の中でも伝説となっている未だ音源化されていない楽曲が披露された。

 会場に到着すると、漆黒の服を纏ったSLAVE、会場全体を輝かせるステージ上のミラーボールと相反するものが混ざり合う景色が広がっていた。やがて開演時間になると、RYUICHI(Vo.)のアカペラから「SEARCH FOR REASON」がスタート。滑らかにスライドギターを弾くSUGIZO(Gt./Vn.)の姿が美しく目に留まる。そして、真矢(Dr.)の重圧な4つ打ちから「FATE」へ。SLAVEも縦横無尽に動き、会場が揺れ始める。そんな中、三曲目「SLAVE」はダークな音色のバンドアンサンブルとRYUICHI の荒れ狂う歌声に、INORAN(Gt.)のコーラスが加わって美麗さを帯びていった。

 「今夜は思いっきり楽しんで帰ってくれよ!」とRYUICHIが叫ぶと、J(Ba.)のベースソロから「MECHANICAL DANCE」がスタート。この楽曲はSUGIZOとINORANによるギターリフが印象的ではあるが、そこに潜むJの歪んだベースも最高に耳心地が良い。続いて「SANDY TIME」でも、INORAN によるクリーンなアルペジオとSUGIZOによるオリジナリティー溢れるギターソロ、Jによる淡々としたフレーズが巧妙に絡み合い、刹那も目が離せないパフォーマンスが繰り広げられていく。そして「お前らの本気を見せてくれ!」と再び喝を入れたLUNACYは「CHESS」から途切れることなく連続で「NIGHTMARE」を披露。間奏ではRYUICHI とSUGIZOが肩を揃える場面もあった。今回の公演は2部制となっており、ここで第1部が終演となった。

 1989年当時、100本限定で配布された1stデモテープ『LUNACY』。そこに収録されている「KILL ME」が第2部のオープニングに選ばれた。真矢の安定したビートにSUGIZOが刻む耳に残るイントロ。実に30年以上の時を越えて演奏され、歓喜に沸くSLAVEの姿が多く見受けられた。そして、爆炎が巻き上がり「Déjàvu」へ。RYUICHIは「心の声で!」とサビをSLAVEと一緒に心の中で歌う。SUGIZO、INORAN、 Jもフロア全体を見渡して笑みを浮かべていた。その後のMCでRYUICHIが「今回、過去に戻ってみたんだけど、過去にはこんなにも鮮やかな未来がありました。過去、現在、未来が一つの場所になっているんじゃないかな」と語ると、大きな拍手が起こった。

 続いて「TIME IS DEAD」の原曲「SEXUAL PERVERSION」(1stデモテープ『LUNACY』収録)、RYUICHIが多種多様な声色を起用に使い分ける「SUSPICIOUS」(2ndデモテープ『SHADE』収録)と、レア楽曲をパフォーマンスしていく。「SUSPICIOUS」の後は行雲流水の如く「SEARCH FOR REASON」が再び演奏されるのかと思いきや「VAMPIRE’S TALK」が投下された。終盤の「SHADE」では、楽曲が進行していく中でグルーブ感とSLAVEの熱が高まっていく。ラストは、第1部の一曲目「SEARCH FOR REASON」の後半が奏でられるという演出で締め括られた。

 SUGIZOがバイオリンを奏で始め、「MOON」で幕開けたアンコール。繊細な一音一音と月のように輝くミラーボールが夢幻的な空間を生み出していく。演奏が終わると改めてメンバー紹介が行われた。真矢は「何年経ってもこうやってライブで遊ぶことできる。それって最高じゃねえか!」と叫ぶ。Jは「バンドを自分らしく、正直に続けてきた。また2022年に黒服限定のライブをやれて最高です!」と述べた後、「ここで提案です。またやろうよ?」と問いかけるとSLAVEが大きな拍手で応える。INORANはLUNACY名義だと話さないという設定からRYUICHIにそっと耳打ちして「みんな愛してる!」と想いを伝えた。そしてSUGIZOは「今日は闇の祭典ですが、光の祭典になりました。夢を見続けましょう。あなた達はSLAVEではなく、セレブです!」と語った。最後にRYUICHIが「2日間、最高の夜を過ごすことができました。来年特別なことやろうね?」と先を見据えたコメントを残した。そして会場全体が明るくなり、銀テープが噴き上がった「WISH」から、メンバー全員がステージ中央に集まって演奏した「PRECIOUS…」と一気に駆け抜けて、ライブの幕が下りた。

 一曲も外せない2日間となった今回の【黒服限定GIG 2022 LUNACY】。終演後にはスクリーンで、LUNA SEAとしての次回のライブが2023年5月27日、28日に武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナで開催されることが発表された。さらに、遂に声出しライブが解禁されることも宣言。2023年はLUNA SEAにとってもSLAVEにとってもどんな年になるのか楽しみにしたい。

Taxt by Tatsuya Tanami
Photo by 田辺佳子/横山マサト/岡田裕介/清水義史

◎公演情報
【黒服限定GIG 2022 LUNACY】
2022年12月19日(日)
埼玉・さいたまスーパーアリーナ


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