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米ニューヨークを拠点に活動する、神戸出身でバークリー音楽大学卒のアーティスト、rei brownは、今年7月にJojiをフィーチャリングした曲「Thinking Bout You」が入った新作『Xeno』をリリースした。keshiの日本公演にサポートアクトとして来日した彼のインタビューをお届けする。
――音楽の世界に入ったきっかけは? また、なぜニューヨークを拠点にすることになったのでしょうか?
rei:音楽を始めたのは中学生の時です。初めてギターを手にし、同時にGarageBandも使い始めたので、その頃からプロデュースもするようになりました。中高生の頃から友達とビートを作って、カフェやバーでライブをやり、その後、アメリカの音楽の学校に行きたいと思うようになり、バークリー音楽大学に進学しました。ボストンからニューヨークに住んでいる友達を訪れた時に、ニューヨークの街が活気に満ちていて、とても刺激的だったのでそこに住みたいと思い、引っ越す機会ができた時にすぐに引っ越しました。
――あなたの生い立ちやアイデンティティの感覚が、アルバム『Xeno』の全体のサウンドやコンセプトを形成し影響を与えたことについて、お聞かせいただけますか?
rei:アルバムに収録されている「Xeno」という曲は、実はアルバムの中でも序盤かそれ以前に書いた曲です。この曲は自然に生まれたもので、日本人とアメリカ人のハーフとして育ったこと、クィアとして育ったこと、そして私が経験した多くの同性愛嫌悪について、この曲と通して話すことができました。それまで悲しいラブソングばかり書いていた私にとって、大きな変化でした。陳腐で無理やりな感じではなく、もう少し深く、もっと内省的なものを作ることができたんです。
この曲は、日本とアメリカのハーフであることや日本での育ちについて語った曲です。<What am I made of that you’re afraid of? Am I contagious?>という歌詞がありまして、クィアネスと外国人らしさの両方について語っています。
「Neptune」という曲があるんですが、ビートがすでにあって、フックは海王星にまつわるものにしようと思ってました。その頃、海王星ではダイヤモンドの雨が降るという現象について読んだんです。科学的に検証する必要があるかもしれませんが、海王星では文字通りダイヤモンドの雨が降るそうなんです。なので、私たちが地球で価値を置いているものが、別の惑星では雨やゴミだということを重ね合わせて、唯物論や資本主義などについて触れたかったんです。どの曲でも、意識を持って、より深いテーマについて話す準備ができていたんだと思います。
――あなたの音楽と芸術性の成長をこのアルバムを通して感じることができ、それを音楽として聴けることは素晴らしいことだと思います。曲作りのプロセスはどのように進化していったのでしょうか? すでにあったビジョンを音にするために、どのように新しいコラボレーターを選び、一緒に作業したのでしょうか?
rei:曲作りに関しては、先ほども言ったように、本当に成熟してきたということでしょう。突然、複雑な問題について書くことができるようになりました。決定的な瞬間があったとは思いませんが、ただ有機的に成長していきましたし、コロナの頃は皆が成長し、多くのことを処理していたと思います。このアルバムの半分は、その時期に書かれたもので、コラボレーターとは、Zoomやデータでのやり取りが多かったんですが、そのプロセスがとても楽しかったんです。アイデアのフォルダをもらってサンプリングし、それを送り返して磨いてもらいました。
コラボレーターの1人であるLecx Stacy(米サンディエゴ拠点のソングライター/プロデューサー)は本当に素晴らしい方です。どうやってLecxと知り合ったのか覚えていませんが、最初のセッションの後、すぐに彼と一緒に音楽を作り続けたいと思い、アルバムの大半に彼が参加しています。フランキー・スコカもアルバムの重要なプロデューサーで、『Xeno』前に出したシングル「Solar」を手がけました。ワクチンのおかげで、フランキーと対面することができ、2~3日で「Solar」を完成させました。
――keshiとのアジアツアーの様子をお聞かせください。また、今回のように凱旋公演を行うことは、あなたにとってどのような意味があるのでしょうか?
rei:このツアーは素晴らしいものでしたが、試練や挑戦でもありました。タイムゾーンを飛び越えたり日程を変更したり……海外旅行がどれほど疲れるかということを過小評価していました。同時に、新しい場所を見たり、美味しいものを食べたりできるので、ハイとローがあります。そして世界中を旅して、ファンがいることを知るのは素晴らしいことだと思います。
たとえ、今夜のショーで、誰も僕のことを知らないように感じても、基盤を築き始めればいいと思います。私は長い間、日本に戻っていませんでしたし、日本で公演も行っていなかったので。私はカフェやバーで演奏して育ちましたが、今回はrei brownというアーティストとして戻ってきました。
――あなたは自分自身をビジュアルで表現することをかなり意識しているようですね。
rei:私のファッションへの旅は、身体醜形障害を患ったことから始まりました。特に日本では幼少期に苦労しましたが、ヨウジヤマモトのパンツを買ってから、このワイドパンツが本当に心地よく感じられるようになりました。ファッションを研究し、投資することで、身体醜形障害と少しは戦えるようになったのです。あまりこれに縛られたくはないのですが、きっかけみたいなものです。
今は、音楽、カバーアート、ファッションのすべてが自己表現であることと同義だと思います。常に画像を集めたり、ランウェイを見たりしています。『Xeno』も、アルバムとしてビジュアル的に、こうありたいというのが頭の中に明確にあったんです。テレビドラマ『X-ファイル』や『ブラック・ミラー』のエピソードのような、ディストピアでSci-Fi的な世界観のアルバムに仕上がっています。奇妙なSFの要素や影響があり、あまり深いとは思えないような曲でも、小さなイースターエッグが随所に隠されています。私が消費しているメディアからインスピレーションを受けたのか、すべてが自然に起こり、この美学の中に有機的に入ってきました。
――最近聴いている曲や影響を受けたアーティストは誰ですか? また、あなたが影響を受けた日本のアーティストも教えてください。
rei:私はSoundCloudをたくさん聴いていて、今でも音楽を発見するのに欠かせない存在です。日本の音楽では、宇多田ヒカルの大ファンです。また、Dragon Ashの「Grateful Days」は、とりわけ大好きな曲のひとつで、いつも聴き返しています。坂本龍一からは、人間としても作曲家としてもいつも大きな影響を受けています。それからJean Dawsonが本当に大好きです。COBRAHやShygirl、Quay Dashもよく聴いています。ここ2、3年はクラブミュージックに戻るための目覚めでもありました。「EZ」という曲で、それをどのように取り入れるかを考え始めました。これらの世界を融合させようとしています。
――2023年のrei brownにどんなことを期待できますか?
rei:そろそろ音楽制作に戻ろうかと思っています。ツアーはとても充実していたけれど、年明けから音楽制作に戻り、次のプロジェクトを立ち上げたいと思っています。すでにかなりの数のデモがたまっていまして、さらに曲を増やせるかどうか試してみたいです。
それからすでに発表されていますが、JojiのNYのマディソン・スクエア・ガーデンとLAのキア・フォーラムの公演のオープニングを務めます。あともう1公演、ある国でオープニングも担当しますが、まだ発表されていません。この記事が出るまでに発表されるかどうか、タイミング次第ですね。それまでは、最高の音楽を作って、マディソン・スクエア・ガーデンで演奏できるような素晴らしい曲を作りたいです。
Interview & Transcription by Justine Suzuki
Photos by Erina Uemura
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