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<ライブレポート>SUGIZO、KenKenを擁するSHAGが奏でた濃密で衝動的なステージ

 2022年10月18日、SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)とKenKen(RIZE、LIFE IS GROOVE)を擁する“サイケデリック・ジャムバンド”SHAGがBillboard Live TOKYOに初登場した。SUGIZO(Gt/Vn)、KenKen(Ba)、類家心平(Tr)、別所和洋(Key)、よしうらけんじ(Perc)、そして松浦千昇(Dr)の6人が届けた即興性に満ちた同公演の1stステージの模様をお届けする。

 会場が暗転し、メンバーが階段を降りてステージに登場する。空間的なギターやキーボードの音色からそのまま新曲の「KAMOGAWA~天一FUNK」がスタートする。ゆったりとしたメロウな雰囲気から、途中でスイッチが入ったかのようにパワフルでファンキーなビートに切り変わっていく。次々に登場する各楽器の即興性溢れるソロパートによってどんどんステージの熱量が上昇していくのが分かる。

 演奏を終えると軽いMCへ。SUGIZOが「SHAGです。皆様Billboard Liveへようこそ」と挨拶し。KenKenと共にステージと客席の近さに触れて会場の空気を和ませた。

 続いて披露されたのは、7月にリリースされた1stアルバム『THE PROTEST JAM』に収録されている「Rebellmusik」。浮遊感のあるサウンドは、例えるなら“音で一つの空間を作り上げている”かのよう。効果音的に様々なエフェクトを巧みに切り替えるSUGIZO。淡々と機械のように細かいフレーズで音像を牽引するドラムとパーカッション。音に身を任せるように、踊りながら演奏するKenKen。こちらもつい身体が揺れてしまう。トランペットのダイナミックなロングトーンからどんどんドラマチックな展開に突入していく様子には鳥肌が立った。

 SUGIZOがバイオリンを手にすると、同じく1stアルバムから「FATIMA」へ。別所のキーボードと共に幻想的な美しさを奏で始めると、背景のプロジェクションもアーティスティックな模様に変化。他の楽器がアンサンブルに加わり、スリリングに楽曲が加速していく。悲しさも感じる音を奏でるバイオリンが“寒”ならトランペットは“暖”。熱く力強いソロと共にリズムも激しさを増す。と思えば一転してキーボードソロではファンキーに。次々と物語の新しい章に突入している感覚になる。

 続くMCでは、メンバーの衣装に統一感が無いという話題で笑いを誘いつつ、「皆が忙しくて中々集まれないので、6人がこうやって集まってこのステージに立てたのが奇跡」という、このメンバーの豪華さを感じさせる言葉が登場した。

 チルでジャジーなオープニングからスタートしたのはこの日2曲目の新曲「MEGUROGAWA」。ミュートを使用したトランペットの掠れ気味な音色が作り出すオトナな雰囲気が特徴的だ。そこから徐々に演奏がパワフルになっていき、そのまま類家とよしうらによる激しく衝動的なソロセクションへ。様々なリズムやビートがこちらの耳を刺激する。

 そこから立て続けに演奏されたのは、9月に他界してしまった、SUGIZOが敬愛していたファラオ・サンダースの「Love Is Everywhere」のカバー。この日のセットリストの中で唯一のボーカルパートがここで登場。語りやスキャットに近いこのパートをSUGIZO、KenKen、別所がハモる形で担当した。スムーズなベースラインが中心にあるスペイシーな音像が展開されるが、ここでも互いが臨機応変に音で会話しているかのように曲調が変化し、観る者の目と耳を釘付けにする。

 演奏を終えると、SUGIZOが改めて同楽曲をカバーした理由を説明し、話題は時間が押しているか否かへ。残り時間が少ないことが判明し、ラストの曲を急いで披露することに。「最後の曲です。一応。本編の」という紹介から「THE CAGE」に突入。長年SUGIZOの様々なプロジェクトで演奏されてきたこの曲。SHAGならではのアドリブ性が追加された、ロックとカオスを行き来するスリリングなアレンジが施されていて、感情が爆発するようなドキドキする楽曲展開のオンパレードが繰り広げられていく。このハイテンションなサウンドが会場を徹底的に揺らした。最後にメンバー紹介をし、バンドはステージを去った。

 アンコールを求めるクラップが発生すると、バンドもすぐさま再登場する。SUGIZOが「昨日は師匠の近藤等則さんの命日。一緒に作った曲を最後にSHAGで披露したいと思います」と語ると、ステージのバックのカーテンが開き夜景が広がり、本当のラスト「PRAY FOR MOTHER EARTH」が始まる。心音に聴こえるサンプルやディレイの効いたバイオリンとトランペットがミステリアスな空気感を構築していく。壮大で幻想的な音像にこちらも息を飲んで見入る。雨音に近い質感のキーボードだったり、残響の様なバイオリンによって会場の雰囲気もシリアスな空気になっていく。そして、余韻が残るようなバイオリンの音色でライブは終了。再びメンバーを紹介すると、一同は肩を組んで一礼し、ステージを降りた。

Text:Haruki Saito
Photo:Keiko TANABE

◎公演情報
【SHAG】
2022年10月18日(火)東京・Billboard Live TOKYO

セットリスト:

1. KAMOGAWA~天一FUNK
2. Rebellmusik
3. FATIMA
4. MEGUROGAWA
Percussion & Drums Solo
5. Love Is Everywhere(ファラオ・サンダース)
6. THE CAGE
アンコール
7. PRAY FOR MOTHER EARTH

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