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<コラム>Da-iCE、TikTokを駆使して打ち上げる次なる花火「スターマイン」

 Da-iCEの楽曲「スターマイン」がTikTokを中心に注目を集めている。

 「スターマイン」は、Da-iCEが8月22日にリリースした配信限定シングル『イマ』の収録曲。まず耳に飛び込んでくるのは喉を鳴らしながらのがなり声で、冒頭15秒は大野雄大と花村想太の二声による力強い掛け合い。アグレッシブなラップやソウルフルなファルセット、必要に応じてビブラートやしゃくりを取り入れた繊細な歌いまわしなど、多才かつ多彩なツインボーカルが存分に活かされたアッパーチューンだ。激しいダンスも含めた全体のパフォーマンスはMVで確認できる。トラックはアコースティックギターの音色をフィーチャーしたもの。松任谷由実「真夏の夜の夢」、KinKi Kids「硝子の少年」、EXILE「Ti Amo」などの前例があるように哀愁漂うラテン調は日本人にとって馴染み深いもので、「スターマイン」は、J-POPクラシックとして今でも愛されるこれらラテン歌謡の系譜を引いている。同時に、4つ打ちのビートを効かせ、ダンスミュージック要素も投入。大人っぽくも高揚感のある、Da-iCEならではのサマーチューンだ。

 そんな「スターマイン」はグループの現状にリンクする曲でもあり、賽(dice)になぞらえて“6面”と呼ばれるファンがこっそり微笑むことができる仕掛けも施されている。曲名に掲げられた“スターマイン”とは、数十~数百発の花火を短時間で連続的に打ち上げること、あるいはそのパッケージ自体の名称。アーティストにとっての花火とは何だろうか?と考えた時に連想するのはヒットソングであり、「CITRUS」のストリーミング累計再生回数が3億を超えた(※エイベックス調べ)今、“二発目”以降を求める声に対して思うこと――もちろん最初から“一発”で終わるつもりなどないというグループの意思を曲にしたと、「スターマイン」の詞曲を手掛けたメンバーの工藤大輝はインタビューで明かしている。

 歌詞で特にインパクトが強いのは、〈一発じゃ足りないのかい/二発目をおかわりしたい/三度目の正直なんて無い/四の五の言うなよ/ロクデモナイ〉と1~6の数字を散りばめたサビだろう。TikTokではこの部分を使用したUGCが多数制作され、数字のハンドサインを用いたダンスが広く拡散されている。後述するが、この振り付けはローカルカンピオーネが考案したものだ。

 ここでは〈三度目の正直〉というワードに注目したい。先述の制作背景や歌詞の前後の流れを鑑みると、慣用句としての“一度や二度は当てにならないが、三度目は確実である”、転じて日常会話でよく使われる“一度目や二度目は上手くいかなくても、三度目は期待通りの結果になる”という意味ではなく、この曲の中では、“そもそも一度目も二度目も正真正銘の本物でしたから、三度目だってそうですよ”というポジティブな意味として読むことができる。ユニークな表現だ。また、その考え方だと四度目以降も本物だということになるが、だからこそ4度目のサビ=最後のサビでの演出が効いてくる。〈もう一回〉を合図に後半部を繰り返し、その先で7~10の数字を歌った新しいフレーズ〈人生は七転び八起き/急展開〉を登場させることで、グループの前のめりな気持ち、〈彩るのは過去じゃなく未来だけ〉というスタンスを表現しているのだ。

 そういったメッセージもありつつ、“TikTokで使われやすいように最初のサビは15秒に”、“曲をスキップされないように開始0秒で歌がスタート”などSNSとの相性を意識して制作された「スターマイン」。TikTokでの人気拡大の発端は、ローカルカンピオーネが8月14日に投稿した動画だった。この時点では曲名・アーティスト名は明かされていなかったが、大野と花村の歌声に気づいたファンがコメント欄で考察を始め、リリース前にもかかわらず話題に。ライト層への訴求にもなったことだろう。リリース前日の8月21日には、ローカルカンピオーネが曲名・アーティスト名を明かした上で再度振り付け動画を投稿。以降、キャッチーな楽曲と真似をしやすい振り付けが人気インフルエンサーの目に留まり、9月に入ってからは徳川家康(加藤乃愛)、コムドットのあむぎり、すとぷりのころんらが続けて投稿。また、E→Bという5度の跳躍を多用した、歌い甲斐があるが難しすぎることはないメロディであることから、“うたってみた”動画も多数投稿された。9月15日には花村が自身の公式アカウントから歌唱動画をアップ。公開から2週間足らずで再生回数は260万回を突破しており、ますます注目を集めている。

 アーティストが自身のTikTokアカウントで楽曲を先行公開する例は国内外問わず少なくない。国内ではWurtSやmeiyoら新世代アーティストの動きから始まり、そういったプロモーションが一般化した印象があるが、今回の「スターマイン」の事例はその流れを発展させた、新しいプロモーションフローと言えるだろう。なお、「スターマイン」は9月21日公開(集計期間:9月12日~9月18日)の“TikTok Weekly Top 20”で4位に位置づけた。ストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”でも9月21日で239位、9月28日では190位と2週連続で大きくジャンプアップを続けており、ここからさらなる盛り上がりが予想される。

Text by 蜂須賀ちなみ

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