【深ヨミ】Adoのフィジカルセールスの動向は?2週目以降の累計販売数の伸びを調査

2022年9月11日 / 14:00

 2022年9月12日付のBillboard JAPAN週間“Top Albums Sales”で、Adoの『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が30,197枚を売り上げ2位を獲得した。(集計期間2022年8月29日~2022年9月4日)

 『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』はAdoの前作『狂言』から約6か月ぶりのアルバムで、中田ヤスタカ、Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、FAKE TYPE.、澤野弘之、折坂悠太、秦基博といった人気アーティストによって提供された、アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』の主題歌と劇中歌で構成されている。

 また、本作はBillboard JAPAN週間“Download Albums”では2022年の週間ダウンロード数で自己の『狂言』の記録を塗り替え最多を更新し首位を獲得。更に本作の通常盤収録曲「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)が、2022年8月22日付のBillboard JAPAN週間“Hot 100”(集計期間2022年8月8日~2022年8月14日)でトップ3を独占、2022年8月29日付の同チャート(集計期間2022年8月15日~2022年8月21日)では通常盤収録曲全てがトップ12以内にランクインする驚異的なヒットとなっている。

 そして、本作は週間“Top Albums Sales”で、初週108,416枚を売り上げ2位、2週目は31,778枚を売り上げ3位、3週目は44,764枚を売り上げ2位、そして4週目の本集計期間も2位と好調を維持し、フィジカルでもロング・セールとなっている。

 ここではAdoの今作と、前作『狂言』の初週の売り上げ枚数と、その後、累計売上数がどの様に推移しているかを、2022年に発売されたアルバムと対比し、SoundScanJapanのデータを元に調査した。

 まず、2022に発売された全てのアルバムの初週を100%とした場合、それに対する2週目、3週目、4週目、及び2022年9月4日までのそれぞれ累計の比率を、全タイトルとして表記した。更に、今年に入ってから発売されたアルバム上位10位、上位100位についても調査し、それぞれトップ10、トップ100として表記、これらをAdoの2枚のアルバムと比較したのが図1(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/116552/2)である。

 まず、トップ10を全タイトルと比較すると4週目に112%(以下かっこ内全タイトル:122%)、2022年9月4日までの累計が118%(135%)とかなり少なくなっいる。トップ100はどちらも全タイトルとトップ10の間になっており、傾向としてランキング上位のタイトルは、初週に対する販売比率が週が経過すればする程、増加率が鈍くなる傾向にある様だ。そんな中、Adoの2作品は、『狂言』は現在年間8位、『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』は年間14位と上位であるにも関わらず、『狂言』が4週経過時145%、2022年9月4日までの累計が178%、『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』は4週経過時198%(2022年9月4日までが4週目なので累計も198%)と、一般的なアルバム(全タイトル)と比較してもかなり高水準の伸びを見せている事がわかる。

 また、Adoの2タイトル以外の2022年に発売されたタイトルで累計の初週に対する4週目の販売比率が高いタイトルを調査してみた。累計販売枚数が5万枚以上で前述の条件の上位10作品は下記の通りとなっている。

1位『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』Ado 198%
2位『壱』優里 171%
3位『visions』milet 157%
4位『early summer 2022』小田和正 156%
5位『ユーミンをめぐる物語』JUJU 152%
6位『狂言』Ado 145%
7位『ah-面白かった』吉田拓郎 143%
8位『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』中島みゆき 139%
9位『SOFTLY』山下達郎 137%
10位『Knight A』Knight A – 騎士A – 126%

 これを見ると比較的キャリアが長いアーティストが多いが、トップ3は優里・milet・Adoと、他のアーティストと比べるとキャリアの短いアーティストが上位を占めている。また、Adoについては本作『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が1位、前作『狂言』も6位となっており、映画タイアップ等がなくとも元々作品がロング・セールになる傾向だった事がわかる。この中で、6位までの各アルバムの2週目から4週目と2022年9月4日までの累計の初週との比率をグラフ化した物が図2(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/116552/3)である。

 上位のタイトルを抽出しているため6タイトルとも一般的なアルバム(全タイトル)と比較するとかなり高い値を示している。優里の『壱』は4週目以降も売り上げを伸ばし続け、34週経過時点で277%と非常に大きい累計販売比率となっている。また、2022年9月4日までの累計については発売日から時間経過が多い方が集計対象回数が多く有利になるため、本グラフ上の『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』は4週しか経過しておらず最も不利な条件となっているが、2週目から4週目の販売比率は優里の『壱』を上回っており、今後も更に伸びる事が予想される。

 楽曲単位でもストリーミングを中心に幅広くポイントを稼ぎ、Billboard JAPAN週間“Hot 100”の上位に全ての収録曲がランクインし続けており、更に、映画を観て音楽に感動した人等、『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』を購入する機会は今後も増えると考えられる。今後の『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』の動向に注視したい。


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