<ライブレポート>WONK、ビルボードライブ・ツアー終幕「明るい未来はみんなで作っていきましょう」

2022年8月11日 / 17:00

 2022年8月5日、WONKが最新アルバム『artless』を引っさげたビルボードライブ・ツアー【WONK artless tour】のファイナルをBillboard LIVE TOKYOで迎えた。幻想的な美しいサウンドでWONKの“今”を高い純度で表現した同公演の2ndステージの模様をお届けする。

 拍手に包まれながら、青く照らされたステージにメンバーが登場する。そのまま荒田のドラムスからイントロのセッションが始まる。井上の動き回るベースラインに江﨑の幻想的なピアノが会場を“WONK色”に染めていく。そこにサポートのMELRAWのサックスと、竹之内のギターが空間的にな味付けを加えている。

 客席からボーカルの長塚が登場し、「どうもこんばんはWONKです。ツアーファイナル、最後まで楽しんでいきましょう!」と挨拶すると、始まったのは「Cooking」。暖かさや、歌詞にも登場する朝の情景を想起させる柔らかいサウンドが心地よい。身体も自然と揺れてしまう。そこから、セクシーなベースラインや、柔らかくもパワフルな歌声が特徴的な「FLOWERS」、そしてスキップするような、ファンキーな跳ねるリズム感の「Euphoria」を立て続けに披露する。

 続くMCで「何度でも言いますけど、本当に来てくださってありがとうございます」と感謝を伝えると、「思い返せば『EYES』をリリースした後に“次なに作ったらいいかわからないっす”という荒田リーダーの言葉がありまして。じゃあ皆で合宿でもするか、ということで合宿に入って。原点に立ち返る気持ちで、“僕らの音ってなんだろう?”そして僕らが身近な人たち、(『artless』は)目の前にいる人達に対して思ってることを丁寧に曲にしていこうということで、肩の力を抜いて出来上がった作品なんですよ」と今回のアルバムの制作について説明した。ほかにも、ツアーを無事完走できたことへの喜びと感謝や、どういうものなら喜んで貰えるか考えて作ったグッズの話題がでたが、メンバーのバンド活動、そしてファンに対する真摯さが伝わってくるものだった。

 次に披露されたのはアコースティックな音像の「Migratory Bird」。静かめな曲調の中でも、アコースティックギターのソロを中心に熱量が増していく印象をうけるのが面白い。アウトロからそのままピアノソロに突入し、流れるように「Butterflies」へ。ドラマチックでシリアスな雰囲気が会場に広がる。少しダークで引き込まれるような世界観はまるで映画のような濃密さだ。ギターのボウイング奏法が作り出すアンビエントな空気感も心地よく、じわじわと盛り上がっていく後半のベースソロも聴き手の心を躍らせる。

 電子ビートとドラムからビルドアップしていく「Dance on the Water」では、ダークさの中でサックスとピアノが他の楽器の音と重なり、不思議な浮遊感が生み出される。哀愁や切なさも感じるメロディーも印象的だ。そこから、ギターに共鳴するようにパワフルなサウンドが展開されていく「Small Blue Fool」へ。“渋い”という言葉が似合うフレーズで魅せてくれる。

 「ありがとうございました。次で最後です。みんなありがとう」

 本編ラストに選ばれたのはファンキーな要素もある「Pieces」。楽曲の後半に展開されたサックスとドラムスのセッションはこの日の一番のハイライトと言えるだろう。とにかく熱量が凄まじく、まるでミュージシャン同士の対決を見ているような、ゾクゾクするパフォーマンスだった。最後にメンバーを改めて紹介し、バンドはステージを去った。

 すぐさま客席からはアンコールを求めるクラップが発生する。同時にステージの後ろのカーテンが開き、夜景が一望できるように。

 メンバーが再登場すると、長塚によるMCへ。「合宿くらいの時から、どこぞでは戦争が始まり~なんていう話しがあったり。この間も痛ましい事件が起きたりだとか、まだまだコロナの脅威が云々なんていう話もあるし。相変わらず不景気ですね」と切り出し、「そういうタイミングだからこそ、身近な人に対する気持ちを曲という形にしてに伝えられる作品に(『artless』が)なってくれたのは良かったのかな」と自身の想いを説明。長塚は“みんなの心に留めておいて欲しいこと”として「みんなは1人じゃないから。孤独に飲まれそうになった時があったとしても、僕らがいるから。僕らの音楽はみんなと一緒にいるために、みんなと寄り添うために作っている」と語り、「一人になって、どうしようもない時とか、楽しい時でもいいけど、僕らのことをちょっと思い出して、曲を聴いて欲しいんですよね。元気出ないなと思ったらライブに来てください! 明るい未来はみんなで作っていきましょう」と力強いメッセージを伝えた。

 ファンやスタッフへの感謝を経て、この日そしてこのツアー最後の曲、「Umbrella」が披露された。セットリストの中で唯一日本語詞が含まれている楽曲だ。切なさ、哀愁、そしてどことなく懐かしさも感じさせてくれるメロディーに、前を向く歌詞が心に染みる。サックスのソロを中心にアップテンポになっていくアレンジも、まさしく“ライブの最後の盛り上がり”としてピッタリだ。

 演奏が終わると、カーテンコールが行われ、サポートのMELRAWと竹之内一彌を改めて紹介。二人が捌けると、ステージ上にスクリーンが登場。そこに映し出されたのは、アルバム『artless』の制作の様子を記録した、バンド史上初のドキュメンタリー映画『Documentary of artless —飾らない音楽のゆくえ—』の予告映像だった。この思わぬサプライズ告知に客席からは盛大な拍手が送られる。そして、「まだ『artless』は終わらない」というメッセージと共にWONKはステージを降りた。

Text: Haruki Saito
Photo: Kosuke Ito

 ◎公演情報
【WONK artless tour】
2022年8月5日(金)東京・Billboard LIVE TOKYO

◎映画情報
『Documentary of artless —飾らない音楽のゆくえ—』
WONKのドキュメンタリー映画上映+アルバム『artless』のDolby Atmos環境下での試聴+監督・宮川貴光氏とWONKによるトークショー
*映画上映 約60分・アルバム視聴 約20分・トークショー 約20分(予定)

日時:2022年9月22日(木)
①第1回上映 OPEN 18:00 / START 18:30
②第2回上映 OPEN 20:25 / START 20:50
会場:丸の内ピカデリー ドルビーシネマ
東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン別館5F

チケット発売:
金額:7,000円(システム手数料別)
WONK LAB先行: 8月7日(日) 10:00 ~ 8月21日(日) 23:59

一般発売 8/24(水) 10:00 ~ 9/21(水)23:59
*未就学児童入場不可
*チケット購入上限はおひとり4枚まで
※上映一週間前より発券可能/紙チケットでの発券となります。

◎リリース情報
アルバム『artless』
2022/5/11 RELEASE

POCS-23021 3,300円(tax in.)


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