＜ライブレポート＞AI／Creepy Nuts／go!go!vanillas／高橋優ら全8組が集結【MEET THE WORLD BEAT 2022】が万博記念公園で開催

　”ラジオで音楽を伝え、ライブでアーティストを伝える”という理念のもと、1990年に産声を上げた野外フリーコンサート【FM802 MEET THE WORLD BEAT】。大阪にあるFM802が主催する同イベントも、残念ながらコロナ禍の一昨年は中止、昨年は無観客開催となっていたが、今年は再び舞台を万博記念公園に戻して有観客で実施へ。またこれまで有観客では夏に開催されていた時期を変え、今回は公園の緑もまぶしい5月28日に当日を迎えた。そして招かれたのはもちろん、FM802に縁のあるアーティストたち。AI、Creepy Nuts、go!go!vanillas、高橋優、Vaundy、milet、Kroi、WurtSの8組がそれぞれの個性が光るステージを繰り広げたのに加え、転換時にはFM802のDJ陣も登壇して訪れた約14000人を盛り上げた。そんな【FM802 MEET THE WORLD BEAT 2022】のライブの様子を順にショートレポートで紹介しよう。

●Vaundy
　バンド編成でスタンバイするとヒットナンバー「不可幸力」で幕を開け、どこかあやしげな空気を漂わせながらも、その後はジャンルレスに展開。エモーショナルにもキャッチーにもメロディを操ったうえ、確かな歌唱力でもオーディエンスを圧倒した。ちなみにビジュアル非公開でアノニマスな彼だが、くだけたMCにライブならではの距離の近さを感じたファンも多かったはず。

●go!go!vanillas
　弾むビートや軽やかなアイリッシュのテイストが新緑の野外の解放感と相まって楽しさも満点。加えて「エマ」では大観衆と一緒になってE・M・Aの文字を体で表す振りつけで一体感も。全6曲をパーティ気分で駆け抜けながらも、「アメイジングレース」では明るい未来を映し出し、3年ぶりの「FM802 MEET THE WORLD BEAT」開催のありがたみもしっかりと刻んでくれた。

●WurtS
　この日が自身3回目、関西初上陸かつフェス初出演のライブではあるが、バンドとDJの”ウサギ”を引き連れたアクトは堂々たるもの。今を象徴する謎多き存在は、DTMもバンドサウンドもラップも絶妙にミックスして作る絶大なポピュラリティで会場にクラップやハンズアップの波を生み出し、”分かってないよ”などのリフレインを人々の耳に焼きつけ、全5曲をMCナシでいっきに走り切った。

●高橋優
　しぼり出す歌声、かき鳴らすギター、叩きつけるピアノetc.……。音楽の熱量が広大な会場の隅々までに行き渡り魂を激しく揺さぶるも、秋田弁でまくし立てるMCには思わずほっこり。しかし静かに心を打つ「ever since」から大きな手拍子が包む「明日はきっといい日になる」への流れと、「HIGH FIVE」の壮大な締めくくりには、胸だけでなく目頭が熱くなった人も少なくなかっただろう。

●milet
　妖艶かつアグレッシブな「checkmate」で日が傾き始めた万博記念公園を再加熱してスタートを切ると、清らかにもミステリアスにもドラマチックにもガーリーにも自由自在に色を変えるボーカルでぐいぐいと観客を自身の音世界へ。新曲「Walkin’ In My Lane」のライブ初披露や、ワンピースのすそを笑顔で揺らしてジャンプする可憐な姿など、思う存分miletに浸れる30分間となった。

●Kroi
　代表曲「Balmy Life」で気だるくキャッチーにひと足早い夜の気配を運ぶと、「Juden」ではファンキーに突破して踊らせ、ギターも鍵盤もうなって勢い十分。最新曲「Pixie」の重みと粘着性もクセになり、内田が言う”悪夢的なノリで離れなくなる”の感覚に。そして最終の「Fire Brain」はジリジリとたきつけて躍動。ひと際大きくなったクラップは彼らが魅了した人の多さを表していたに違いない。

●Creepy Nuts
　西日が舞台を染めるなか鳴らす「Bad Orangez」で今日の景色をファンの記憶に刻むと、百戦錬磨の前のめりなパフォーマンスと、切れも小気味もいいヒップホップで攻め立て、一人残らずハンズアップ。さらに”大阪の勢力図”やコロナ禍を経たライブ観を語るR-指定の滑らかなMCも追い風にしてラストは「のびしろ」へ。会場はポップ&ハッピーに打ち上がりグッドバイブスで満たされた。

●AI
　ダンサーとバンドが予熱した会場に姿を現すと、気迫のこもったボーカル&ダンスで早々にヒートアップ。だがMCとなればいつものほのぼのとした”AI節”で、しかもそこから2つの極上バラードへとつなげるから、感情は揺さぶられっぱなしに。そしてスパートも「I Wanna Know」と「ハピネス」で追い打ち。シリアスにグッと胸をつかんだあと解き放つ喜びの歌は大きな感動と幸せをもたらした。

　なお上記のライブ音源は、6月25日21時よりオンエアされるFM802の番組『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2022 SPECIAL』で聴くことができる。

　Photo by 井上嘉和、田浦ボン

Text by 服田昌子

◎イベント情報
【FM802 MEET THE WORLD BEAT】
2022年5月28日（土）
大阪・万博記念公園自然文化園「もみじ川芝生広場」