<ライブレポート>涼風真世、40周年スペシャルライブでキャリアを総括「声が出なくなるまで歌い続けます!」

2022年5月6日 / 19:00

 2022年4月22日、“歌の妖精”涼風真世の40周年スペシャルライブ【涼風真世 40th Anniversary Live Time to shine “Fairy”】がBillboard Live YOKOHAMAで開催された。キャリアを総括した名曲達が、ストリングスも含めた特別な編成で披露された同公演の2ndステージの模様をお届けする。

 開演時間が訪れ、「地球の涙」の前奏が始まると、曲の冒頭のセリフを語りながら涼風が客席を通ってステージに登場する。メッセージ性の強い歌詞と壮大でシアトリカルなサウンドで1曲目から観客を引き込んでいく。「昔妖精、今妖怪、涼風真世でございます」と自己紹介からMCへ。「直接皆様とお会いできるのは、まさに奇跡」「音楽を通して初舞台から今日までの日々の懐かしい思い出を届けたいと思います」と語ると、ユーミンの名曲「やさしさに包まれたなら」をスローなアレンジで歌い上げる。

 続いて、バンドが奏でる「すみれの花咲く頃」をバックに、自身の生い立ちから宝塚時代の遍歴を詳しく説明していく。ドラマチックに語るその様子は、まるで舞台やミュージカルの一部のよう。“懐かしい曲”という紹介から、パワフルな「この時この愛を」、明るくポップで可愛らしい「It’s all right with me」という対照的な宝塚時代の2曲を披露した。

 再びMCで涼風真世の人生の物語を話し始めると、ここからメドレー形式で様々な出演作品の楽曲が立て続けに披露されていく。ノリの良い「スウィート・リトル・ロックンロール」では積極的に客席へアピールし、「夢の彼方に」では声の高低を使い分ける歌唱力を存分に発揮。続く「いつか来る日の夢」と「赤と黒のバラード」ではシリアスな空気感で会場を満たしていった。

 直前に披露していた低めの歌声とは真逆の可愛らしい声でのMCを経て、月組トップ時代の作品のブロックへ。ミリタリーな「我が名はオスカル」、うなだれるような表現でドラマチックに展開していく「悪夢」から情熱的な「珈琲カルナバル」と繋がっていく流れは、それぞれが異なる作品の楽曲とは思えないくらい自然だった。

 衣装のコートを取ると、3つ目のメドレーに突入。「パック誕生」ではこれまでの荘厳とも言える雰囲気から一転、会場をアップテンポで可愛らしい雰囲気に塗り替える。同曲では軽やかなダンスを披露する場面も。そこから180度方向転換するかのように、ダークでミステリアスな世界観の「黒い翼」が披露される。この振り幅を難なく歌いこなせる表現力はさすがの一言。そこから、色気を感じさせる「グランドパレード」でメドレーは締めくくられた。

 ステージの後半では、2021年にリリースしたアルバム『Fairy ~A・I~ 愛』にも収録されている楽曲達が多く選曲された。ブラス・サウンドが印象的な「愛の面影」とダークで壮大な「闇が広がる」を披露し、一旦ステージをあとに。衣装を替えて再登場すると、神秘的なファルセットが美しい「愛(エメ)」、ストリングスとピアノのみで披露された中世的な「愛したことだけが」で“愛”を歌う。

 続くMCでは、「自分にとってのターニングポイントになった役柄」として2015年と2016年に上演された『貴婦人の訪問』のクレアを挙げ、同作から「正義」をこの日一番の情熱的な歌唱で復讐心を見事に表現。歌い終わると客席から一際盛大な拍手が贈られたのも印象的だった。

 「ここからは“歌手”涼風真世」

 そう語ると、「大好きな方々に作って頂いた曲」という紹介から「眠りの果て」へ。どこか語りかけるような繊細なパートと、切なさが伝わってくる伸びやかな美声の対比に鳥肌が立つ。

 「今日このステージまで歌い続けてこれたのは、ずっと見守り応援し続けてくれたすべての皆様のおかげです。ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします」と感謝を伝えると、本編ラストの「空だけはそこにある」を披露。温かく、希望が感じられるサウンドはまさに“エンディング”にピッタリだ。最後には、バンドが奏でる映画のエンドロールや舞台のカーテンコールを思い浮かべるような音楽に包まれながらステージを後にした。

 ファンが一体感のあるクラップでアンコールを求めると、白いドレスで再びステージへ。ラストに選曲されたのは「A-YU-MI(歩み)」。未来に対する希望と勇気を与えてくれる“今までの歩み、そして未来のこれからの歩み”を歌う歌詞に心が温まる。楽曲の最後の“ありがとう”を感情を込めて届け、ステージを再び後にした。

 バンドメンバーも捌けたあと、涼風はカジュアルな服装で改めてステージに一人で登場。「舞台には研究心と努力と感性が必要」「年々緊張感が増しているけど、歌うとそれが安らぐ」と語ると、「声が出なくなるまで歌い続けます!」という力強い決意表明をファンに届け、ステージを終えた。

TEXT:Haruki Saito
PHOTO:小林邦寿/mk@jeepster

◎公演情報
【涼風真世 40th Anniversary Live Time to shine “Fairy”】
2022年4月22日(金)神奈川・Billboard Live YOKOHAMA


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