moonriders、新アルバムからの新曲も披露した日比谷野音公演のレポートが到着

2022年3月14日 / 18:00

3月13日@東京・日比谷野外音楽堂 (okmusic UP's)

moonridersが3月13日(日)に東京・日比谷野外音楽堂でライブを開催した。moonridersは、2011年に無期限活動休止を宣言。以降、活動休止の休止(=活動再開)を繰り返し、ファンをやきもきさせてきたが、デビュー45周年を迎えた2021年末のライブにて生涯現役宣言を発表。そしてデビュー46年目にあたる今年の活動のキックオフ会場に選ばれたのは日比谷野外音楽堂。1996年の20周年、2006年の30周年でライブを開催したメンバーにとっても、ファンにとっても想い出ある、いわばmoonridersの聖地だ。

17時30分、定刻になるとステージ下手から、前を歩くメンバーの肩に腕をかけながら、よろよろと並んで登場する。新加入の若手ドラマーを除けば彼らの平均年齢は70歳弱、その立ち居振舞いは立派な前期高齢者。と思わせておいて所定のポジションに着くや、白井良明のギターが一閃! アグレッシブな演奏で幕を開けたのは1978年にリリースされたライダーズ・クラシックの「いとこ同士」。このいきなりの洗礼に古参のファンが大喜びしている様がマスク越しに伝わってくる。続いて鈴木慶一からの『We are moonriders!!!』の掛け声と共に始まったのは25周年の際にリリースした「We are Funkees」。4人のフロントメンバーによる力強いコーラスが、これからのmoonridersへの意気込みを感じさせる。このあと、アップチューン・ナンバーを2曲演奏。夕闇が迫り薄暗くなった空を見渡して“夕方ですね”と呟き、続いたのはしっとりとしたナンバーの「ゆうがたフレンド(公園にて)」。この曲は30周年の時に発表された曲だ。どこか郷愁を誘うようなトランペットが薄暮の空に美しく響き渡る。

moonridersは4月20日に11年ぶりとなるアルバム『It’s the moooonriders』をリリースする。コンサートの中盤は武川雅寛から曲紹介があり、最新アルバムから2曲続けて披露される。ひとつは鈴木慶一が詞を書き、武川と新加入のドラマーの夏秋文尚に、本コンサートでサポート・キーボードを務める佐藤優介(カメラ=万年筆)の3人が共作でメロディーを書いた「S.A.D」。ブラスとヴァイオリンが入りケルト音楽のような賑やかと華やかさがある楽曲だ。もう1曲はムーンライダーズの詩人、鈴木博文が詞曲を書き自身もリード・ボーカルをとる「smile」。

この日の選曲は鈴木慶一がいうところの“珍しい曲ばっかり、演ってるでしょ(笑)”が随所に披露される。最近のライブではあまり演奏される機会のなかった「モダーン・ラヴァーズ(1979)」「BLDG (1984)」「檸檬の季節(1982)」「イスタンブール・マンボ(1977)」といった70〜80年代のレアなナンバーが並ぶ。“白井良明がmoonridersに入った頃の曲です!”と紹介された「ディスコ・ボーイ(1979)」もディスコ&ニュー・ウェイヴの香りが漂う懐かしのナンバーだ。続いても白井良明ナンバー。音楽家生活50年を迎えた良明が、“人生初の桜の曲を作りました! 全国に先駆け、ここで桜の花を咲かせましょう!”と披露したのは新アルバム収録の「駄々こね桜、覚醒」。良明らしいポップさ全開のメロディ、中盤にはクイーンの「RADIO GA GA」をも彷彿させるオーディエンス参加型のクラッピングまで登場する陽気さ100%の楽曲で客席も大いに盛り上がる。

夜空を眺めながら“今日は月が出てるのでしょうか?”と始まったのは「月夜のドライヴ」。ヴァイオリンのイントロが奏でられただけで客席が騒然となる。ファンが騒ぐのも無理はない。この曲は、moonridersの前身バンドである「はちみつぱい」が1973年に発表したファースト・アルバムに収められた曲で、この日演奏した中では最も古いナンバーだ。

中盤の「イスタンブール・マンボ」以降、曲に入る前にジャムセッション・スタイルのインストゥルメンタルが演奏される。老練なメンバーと若手のサポート・メンバーがお互いに探りを入れながらの快演かつ怪演を繰り広げ、気がついたら曲にスーッと入っている。この流れが聴いていて実に心地よい。例えていうなら落語の「マクラ」のようなものか。moonridersの代表曲である「スカーレットの誓い」も「マクラ」パートはスロウに始まった。ブラス隊のファンファーレが場内に響き渡るや、客席は総立ち。サビの《薔薇がなくちゃ、生きていけない》になるとステージの照明も真っ赤な薔薇色に切り替わり場内を煽る。この日、最高潮の盛り上がりをみせ、終盤はアップチューンの連打。「ヤッホーヤッホーナンマイダ」では“プーチンは嫌いか?”“戦争やめろ!”と強烈な反戦メッセージを浴びせかけ、ラストはアイリッシュ風の壮大なナンバー「黒いシェパード」で締め括った。

アンコールは再びの懐かしナンバー「ジャブアップファミリー(1978)」を披露。声を出せない分、オーディエンスも大きなハンド・クラッピングで応える。そして大団円はライダーズの代表曲でもありバラードの名曲「くれない埠頭」。鈴木博文のボーカルが、日比谷野外音楽堂の広い会場の隅々まで沁み入る。鈴木慶一が“また近々お会いしましょう!”と告げ、2時間20分超に及んだmoonriders、16年ぶりの日比谷野音は幕を閉じた。この日は、リリースに先駆け3曲演奏されたmoonridersの11年ぶりのアルバム『It’s the moooonriders』はCD、LP共に4月20日に発売される。
【セットリスト】

01.いとこ同士 (NOUVELLES VAGUES /1978)

02.We are Funkees (Dire Morons TRIBUNE /2001)

03.モダーン・ラヴァーズ(MODERN MUSIC /1979)

04.I hate you and I love you (Tokyo7/2009)

05.ゆうがたフレンド(公園にて)(MOONOVER the ROSEBUD/2006)

06.BLDG (ジャックはビルを見つめて)(AMATEUR ACADEMY/1984)

07.檸檬の季節 (MANIA MANIERA/1982)

08.S.A.D (It’s the moooonriders/2022)

09.smile (It’s the moooonriders/2022)

10.イスタンブール・マンボ (Istanbul mambo /1977)

11.ディスコ・ボーイ(MODERN MUSIC/1979)

12.駄々こね桜、覚醒(It’s the moooonriders/2022)

13.月夜のドライヴ(センチメンタル通り/はちみつぱい/1973)

14.G.o.a.P. (AMATEUR ACADEMY/1984)

15.Flags (Dire Morons TRIBUNE /2001)

16.スカーレットの誓い (MANIA MANIERA/1982)

17.シリコンボーイ (A.O.R./1992)

18.ヤッホーヤッホーナンマイダ (P.W Babies Paperback/2005)

19.黒いシェパード (ムーンライダーズの夜/1995)

<Encore>

20.ジャブアップファミリー (NOUVELLES VAGUES/1978)

21.くれない埠頭 (青空百景/1982)
アルバム『it’s the moooonriders』
2022年4月20日(水)発売

【CD】

COCB-54346/¥3,300(税込)

<収録曲>

01 monorail(作詞・作曲:鈴木博文)

02 岸辺のダンス(作詞:鈴木博文/作曲:岡田徹)

03 S.A.D(作詞:鈴木慶一/作曲:武川雅寛・夏秋文尚・佐藤優介)

04 駄々こね桜、覚醒。(作詞・作曲:白井良明)

05 雲と群衆(作詞・作曲:鈴木慶一)

06 三叉路のふたり(作詞:澤部渡/作曲:岡田徹・嶋崎洋司)

07 親より偉い子供はいない(作詞:鈴木博文・白井良明/作曲:白井良明)

08 再開発がやってくる、いやいや(作詞・作曲:白井良明)

09 世間にやな音がしないか(作詞:鈴木慶一/作曲:夏秋文尚)

10 彷徨う場所がないバス停(作詞・作曲:鈴木慶一)

11 Smile(作詞・作曲:鈴木博文)

12 私は愚民(作詞・作曲:鈴木慶一)

【LP】

COJA-9452/3/¥6,600(税込)

<LP収録曲>

■A面

01 monorail(作詞・作曲:鈴木博文)

02 岸辺のダンス(作詞:鈴木博文/作曲:岡田徹)

03 S.A.D (作詞:鈴木慶一/作曲:武川雅寛・夏秋文尚・佐藤優介)

■B面

01 駄々こね桜、覚醒。(作詞・作曲:白井良明)

02 雲と群衆(作詞・作曲:鈴木慶一)

03 三叉路のふたり(作詞:澤部渡/作曲:岡田徹・嶋崎洋司)

04 親より偉い子供はいない(作詞:鈴木博文・白井良明/作曲:白井良明)

■C面

01 再開発がやってくる、いやいや(作詞・作曲:白井良明)

02 世間にやな音がしないか(作詞:鈴木慶一/作曲:夏秋文尚)

03 彷徨う場所がないバス停(作詞・作曲:鈴木慶一)

■D面

01 Smile(作詞・作曲:鈴木博文)

02 私は愚民(作詞・作曲:鈴木慶一)


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