<ライブレポート>小室哲哉、単独公演となる注目の最新ステージで、再起動の幕開けを飾る

2021年12月2日 / 22:00

 10月にTM NETWORKの再始動と自身の音楽活動の再開を発表した小室哲哉が、11月26、27日にビルボードライブ東京で単独公演を行った。【Tetsuya Komuro Rebooting 1.0】と題した今回の公演は、小室哲哉自身が一人でステージを務めることがアナウンスされていたが、そこでどんな音楽をどのように披露してくれるのか?2日目の公演日である11月27日には自身の誕生日を迎え、2ndステージは生配信でも届けられた。

 Reboot=再起動の幕開けとなる注目のステージに真っ赤なシャツで登場した小室哲哉がピアノに座る。クルマのSEが都会のざわめきを感じさせる曲は、11月27日に自身のFan Community「TETSUYA KOMURO STUDIO」メンバー限定のアナログ盤でリリースされた『JAZZY TOKEN』からの曲「Traffic Jam」。リズミカルなピアノがドラムとベースのトラックとともに空間に小気味よく鳴り響く。ジャジーな要素を取り入れつつ、モダンな意匠を巧みに取り入れた最新のTKサウンドを1曲目から聴かせてくれた。

 「お久しぶりでございます」。笑顔で挨拶をすると、「1984年にデビューして、色々な音楽をやってきました。今日は駆け足ながらそのうちの何曲かを」というMCを入れて、「今度、彼女の舞台を観に行くんです。その彼女のシングルのカップリング曲をつたない歌ですが、弾き語ってみたいと思います」。その曲は、宮沢りえに提供した「My Kick Heart」(1993年)。意外な選曲に加え、自身がピアノを弾きながら自ら歌うというサプライズ!

 「ロンドンにしばらく滞在しているときにミュージカルにハマりまして」。ここで勘のいいファンなら気がついたかもしれない。1991年に音楽座から依頼を受けて手がけたミュージカル「マドモアゼル モーツァルト」の音楽を今夜は組曲の形式で披露。ステージ前に置かれたMoogとYAMAHA MONTAGE 7 を自在に操りながら、壮大かつファンタジックな世界を表現。鍵盤とシンセの音だけで次々と場面を展開していくその技に溜息が漏れる。

 80年代から数多のビッグヒットを手がけてきた彼が、作曲家として知られることになった渡辺美里の「My Revolution」(1986年)は、あの印象的なイントロから客席が沸いた。初のNO.1ヒットとなった曲を同じく彼女に提供した「Teenage Walk」を挟みながら演奏。稀代のヒット・メーカーの足跡はここから始まったとあらためて印象づけた。

 MCでその曲をつくった当時の思いやエピソードを自ら語ってくれたのも貴重な一時だった。「この曲を彼女が歌ったときは、まだ19歳になる前でした」という前振りで、演奏されたのは「Sweet 19 Blues」(1996年)。ブルースの意味さえ分からない年頃だったのに、〈誰も見たことのない顔 誰かに見せるかも知れない〉と歌った“彼女”こと安室奈美恵への思いを馳せつつ、ブルージーなピアノとオーガニックなトラックで披露。ラストに「CAN YOU CELEBRATE?」をワンフレーズ入れる心憎いアレンジを施して。

 TM NETWORKの「CAROL」(1988年)は、装いも新たに「組曲CAROL」として見事に甦らせた。コンセプト・アルバムとして今なお高い人気を誇るTMの代表作を、たった一人でシンセを駆使しながらストーリーを紡ぐように豊かなサウンドを生み出してゆく。プログレッシブ・ロックにルーツを持つ彼の自由自在な鍵盤と独自の世界観を10分に及び堪能。ミュージシャン・小室哲哉のプレイを存分に発揮してくれた。

 ソロ・デビュー・アルバム『Digitalian is eating breakfast』からの「Running To Horizon」(1989年)は、初めて歌唱デビューした曲でもあるが、「キーが高すぎて、今は歌えないところがあるので、歌いたいところだけ歌います」と前置きをして観客にフォローを求める珍しい一幕も。今年、配信リリースした彼自身がリプロダクション、アップデートした「RUNNING TO HORIZON (206 Mix)」のトラックと流麗なピアノプレイを聴かせながら彼が歌い出すと、観客も体を揺らし、手を振りながら、マスクのまま歌う姿があった。

 「今日はありがとうございました。クロージングは、ピアノで思いつくまま弾いてみたいと思います」。すぐに聞きおぼえのあるメロディーが空間を満たしてゆく。「DEPARTURES」(1996年)「Feel Like dance」(1995年)などのglobeのヒットナンバーを即興のピアノプレイを織り交ぜながら自由に伸びやかに聴かせてくれた。27日の配信では、「NEVER END~Precious Memories」も披露されたが、鍵盤の指の流れのまま紡ぎだされるメロディーに時代を築いたTKマジックの原点が垣間見えたようでもあった。

 30数年以上に渡る小室哲哉のクロニクルを現在の彼自身が生き生きと奏でた【Tetsuya Komuro Rebooting 1.0】は、2022年の【HIT FACTORY#1】へと続いてゆく。

Text:佐野郷子/Kyoko Sano
Photo:Masanori Naruse

◎配信ライブ情報
【小室哲哉 Tetsuya Komuro Rebooting 1.0 ONLINE SHOW
LIVE LOVERS from Billboard Live】
【日時】11/27(土)19:00~
【出演】小室哲哉
【視聴方法】
オンライン視聴料:¥3,500-
Club BBL会員割引:¥2,800-
販売期間:~12月4日(土)21:00
視聴可能期間:~12月4日(土)23:59
https://eplus.jp/tk-st/

◎公演情報
【小室哲哉 Tetsuya Komuro Rebooting 1.0】※終了
ビルボードライブ東京
2021年11月26日(金)・27日(土)

◎公演情報
【小室哲哉 Tetsuya Komuro 「HIT FACTORY #1」】
ビルボードライブ大阪
2022年1月8日(土)
1stステージ 開場15:30 開演16:30
2ndステージ 開場18:30 開演19:30

ビルボードライブ東京
2022年1月21日(金)
1stステージ 開場17:00 開演18:00
2ndステージ 開場20:00 開演21:00

2022年1月22日(土)・23日(日)
1stステージ 開場15:30 開演16:30
2ndステージ 開場18:30 開演19:30

http://www.billboard-live.com/


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