R.E.M.、10thアルバム『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』25周年記念エディションを10/29リリース

2021年8月25日 / 09:00

 今年デビュー40周年を迎えたR.E.M.の10枚目のスタジオ・アルバム『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』の25周年記念エディションが2021年10月29日に世界同時リリースされることが決定した。発売に先駆けて、先行シングル「リーヴ – (オルタネイト・ヴァージョン)」がデジタル・リリースされた。

 元々は映画『普通じゃない』のサウンドトラック用に録音されたシングルで、『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』に収録されているサイレンのないヴァージョンでマイケル・スタイプがヴォーカルを録り直しているもの。「“ニュー・アドヴェンチャーズ~”に収録されているものよりも、このヴァージョンの方が好きかもしれない……いや、好きというよりも、歌詞の内容が違っているだけなんだけどね」とスタイプは語っている。

 1996年9月にリリースされた『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』は、R.E.M.のアルバムの中でも最も評価の高い1枚で、R.E.M.のメンバーやファンの間でも人気の高い作品。アメリカではプラチナ認定を受け、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で2位を記録し、オーストラリア、イギリス、カナダなど10か国以上で1位を獲得する世界的な成功を収めた。批評家からも高い評価を受け、Rolling Stone、Spin、Mojo、Entertainment Weekly、NMEなどのメディアでその年のベスト・アルバムの一つに選ばれるのみならず、数十年にわたり、この作品はカルト的な人気を博しており、いくつかのプレスでは、R.E.M.の豊富なリリース・カタログの中でトップ・アルバムとして挙げられている。

 また、R.E.M.の絶頂期に録音された本作品は、ドラマーであり創設メンバーでもあるビル・ベリーとの最後のアルバムでもある。ビル・ベリーは翌年に円満にグループを脱退した。しかし、最も注目すべき点は、このアルバムが、1995年の【Monsterツアー】中に曲作りとレコーディングを行うという、バンドにとってユニークな創造的アプローチを採ったことだ。

 R.E.M.にとって、ツアー中に新曲を作ることは珍しいことではなかったが、『ニュー・アドベンチャーズ~』はそれまでの彼らの作品とは異なっていた。R.E.M.は、ツアーを開始するにあたり、あらゆる感情や経験をそのまま記録した抽象的な旅行記を作ろうとした。ベーシストのマイク・ミルズは「私たちは、ツアー中のことを歌うのではなく、ツアー中のレコードを作りたかったのです。旅をしている感覚を、レコードの音や感触に表れるようにしたかったのです」とライナーノーツの中で説明している。

 バンドは移動式レコーディング・トラックで移動し、サウンドチェックの際に新曲を8トラックに収録した(他にも楽屋やツアー・バスの中でも収録した)。ギタリストのピーター・バックは、「“自分たちに挑戦しよう”という考えでした。それまではそんなことはほとんど考えていなかったのですが、この作品では私たちの現在の状況を正確に示すことができると思いました。このレコードは、その時点での私たちの姿を表現しようとしたものなのです」とジャーナリストのマーク・ブラックウェルに語った。

 1995年1月から始まったこの1年間のツアーは、R.E.M.にとって6年ぶりのものだった。世界最大級のバンドとして、R.E.M.はソニック・ユースやレディオヘッドなどのサポートを得て、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、日本のアリーナ級ステージどこをも満員にして演奏した。しかし、このツアーの途中で、健康上の問題が発生。3月にベリーが動脈瘤でステージ上に倒れ、その後1か月間の療養を余儀なくされたのだ。一方、ミルズは6月に腸の手術を受けた。その1か月後にはスタイプがヘルニアで緊急手術を受けた(本人は「Undertow」の演奏中に発症したと主張している)。

 大成功を収めたツアーから戻ったバンドは、長年のプロデューサーであるスコット・リットと共にスタジオに入り、いくつかの最終トラックを録音し、他のトラックの仕上げを行った。その中には、7分にも及ぶ大作「リーヴ」、伝説のシンガー・ソングライターであるパティ・スミスがバック・ヴォーカルを務めた「E-ボウ・ザ・レター」、バックがR.E.M.の曲の中で一番好きだと言う「ニュー・テスト・レパー」、そして、アルバムの中でも特にスタイプの米ロサンゼルスでの生活経験から着想を得た「ハウ・ザ・ウエスト・ワズ・ワン・アンド・ホエア・イット・ガット・アス」などが収録されている。

 発売当時、『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』はR.E.M.にとって最長のスタジオ・アルバムとなり、総収録時間は65分にも及んだ。映画のようなストーリーテリング、心に響くエフェクト、不協和音などが盛り込まれた『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』は、R.E.M.が様々な音の領域を開拓していることを示している。特にベリーが語る。「“ロウ・デザート”は、ただ埃っぽくて、ゆっくりとした沼地のような曲です。この曲を聴くと孤立した気分になるけど、それがいい」。スタイプはさらにこう付け加えている。「この曲は私たちは砂漠で何をしているのか?アメリカ西部で何をしているのか?この生きられない、住めない場所で我々は何をしているのか?といった疑問を投げかけています」。他にも「ディパーチャー」や「ウェイク・アップ・ボム」など、R.E.M.のクラシックなロックの雰囲気が感じられる曲も収録されている。

 バンドは、『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』に誇りを持って振り返る。バックのコメントが、それを最もよく表している。「ほとんどのレコードは、スタジオに入ってただひたすら演奏するだけ。何年か後になって思い出すのは、どこに泊まったかとか、曲やレコーディングのプロセスとか、漠然としたことばかりです。でも、今回はすべてを覚えています。それは経験でした。ものすごく大変だったけど、レコードを作った。今までやってきたことと同じくらいチャレンジングなことでした」と彼は語っている。

 『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』の25周年記念エディション日本盤は、リマスターされたアルバム音源を収録したディスク1、B面トラックやレア・トラックを収録したディスク2から成るSHM-CD2枚組の初回限定盤でリリースされる。

 また、日本ではさらにR.E.M.のデビュー40周年を記念し、『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』を含め、『グリーン』、『アウト・オブ・タイム』、『オートマチック・フォー・ザ・ピープル』、『モンスター』などスコット・リットとの共同プロデュース作品、全5作品を初めてハイレゾCDにて、さらにBBCに残された貴重音源のベスト盤SHM-CD2枚組『ベスト・オブ・R.EM.・アット・ザ・BBC』が同時リリースされる。

 また、輸入盤は、2CD+Blu-ray(『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』を見事なハイレゾと5.1サラウンド・サウンドで収録+未発表の64分の屋外プロジェクション・フィルム<1996年にアルバムのオリジナル・リリースのプロモーションのために5都市のビルで上映されたもの>+未発表の30分のEPK、「ビタースウィート・ミー」、「エレクトロライト」、「E-ボウ・ザ・レター」など5曲本のミュージック・ビデオをHDリストアして収録)で構成され、ジャーナリストのマーク・ブラックウェルによるライナーノーツや、オリジナルのバンド・メンバー4人に加え、パティ・スミス、トム・ヨーク、プロデューサーのスコット・リット氏によるコメントも掲載、52ページのハードカバー・ブックに収められている限定デラックス・エディションと、新たにリマスターされたアルバム音源をCohearent Audio社のケビン・グレイがカッティングした180g2枚組LPもリリースされる予定だ。

◎リリース情報
アルバム『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』25周年エディション(初回限定盤)
2021/10/29 RELEASE
UCCO-8044/5 / 3,850円(tax incl.)
2SHM-CD
https://lnk.to/REM_NAIHFPR

アルバム『ベスト・オブ・R.E.M.・アット・ザ・BBC』
UCCO-2042/3 / 3,630円(tax incl.)
2SHM-CD

アルバム『グリーン』※2013年リマスター音源を使用
UCCO-46001 / 3,300円(tax incl.)
アルバム『アウト・オブ・タイム』※2016年リマスター音源を使用
UCCO-46002 / 3,300円(tax incl.)
『オートマチック・フォー・ザ・ピープル』※2017年リマスター音源を使用
UCCO-46003 / 3,300円(tax incl.)
『モンスター』※2019年リマスター音源を使用 
UCCO-46004 / 3,300円(tax incl.)
『ニュー・アドヴェンチャーズ・イン・ハイ・ファイ』※2021年リマスター音源を使用
UCCO-45003 / 3,300円(tax incl.)

Photo Credit: Chris Bilheimer


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