【Editor's Talk Session】今月のテーマ:姫路Beta出身のバンドたちによる支援コンピ盤『VERSUS FATE』

2021年5月17日 / 11:00

Editor's Talk Session (okmusic UP's)

ライヴハウス・Betaの支援のために、姫路のビジュアル系シーンを作ったMASCHERA、ILLUMINA、Transtic Nerve、DEVELOP FRAME、Psycho le Cémuの音源を収録するコンピレーションアルバム『VERSUS FATE』が制作された。第18回目となる今回の座談会企画は、同作をプロデュースするseek(Psycho le Cému)、姫路のシーンに欠かせないmichi.(MASCHERA/ALICE IN MENSWEAR)、そしてBeta Music社長の田中克典氏を招いてお届けする。
【座談会参加者】

■seek(Psycho le Cému)

バンドでありながらエンターテインメントを追求し、活動22周年を迎えるPsycho le Cémuのベーシストであり、着ぐるみ担当。姫路Beta支援プロジェクト『VERSUS FATE』の発起人。

■michi.(MASCHERA/ALICE IN MENSWEAR)

MASCHERAのヴォーカリストとしてデビュー。現在はALICE IN MENSWEARの一員。歌唱作詞作曲のみならず、デザインや映像などマルチな芸術創作を行なう。

■田中克典 (Beta Music社長)

ライヴハウスの店長を経て27年前に独立。他にもスタジオや楽器のレンタル、修理、WEB販売など、音楽好きのお役に立つことを探してきた。

■石田博嗣

大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicに関わるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。

■千々和香苗

学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。

■岩田知大

音楽雑誌の編集、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP’s&OKMusicの編集者へ。元バンドマンでアニメ好きの大阪人。
まずは姫路Betaで ワンマンができるようになってから

千々和
「今回のコンピレーションアルバムはseekさん発案で制作が決まったそうですが、それ以前に姫路Betaではクラウドファンディングも実施されていましたよね。昨年4月のBetaはどういったご状況だったのでしょうか?」
田中
「昨年3月に1回目の緊急事態宣言が出て、その時は3カ月くらいで落ち着くと思っていたんですけど、長引きそうでしたし、閉店するところもあったりしたので、クラウドファンディングを実施することにしたんです。ライヴハウスも大なり小なりありますけど、“助けて”って言っていいものなのか悩みました…。でも、“今言わないと終わるな”と思いましたね。今でもクラウドファンディングで声をあげた時に反応がなかったら終わってたと思っています。ありがたいことに、あっと言う間に輪が広がっていったし、みんなのコメントを見て“何が何でも続けていくしかないな”という気持ちになりました。それで何とか続けられたって感じですね。」
千々和
「金額はもちろんですが、気持ちの面で救われる部分が大きかったんですね。」
seek
「Psycho le Cémuはツアーが飛んでいる状態だったので、夏以降に振替公演をしようと話していたんですけど、同時期に札幌のCOLONYが閉店するニュースがあったのが衝撃的で、“振替公演の前にライヴハウスがなくなるんちゃう?”と不安になって。11月にBetaに弾き語りライヴで帰った時にブッキングの先輩と話しをさせてもらったんですけど、春先のブッキングが決まってないし、周りの“支援をしよう”っていうムードも薄れてきていて一番良くない状況に感じた ので、年末にかけて何かできないかと考えたのが『VERSUS FATE』を作ろうと思ったきっかけでした。」
千々和
「コンピの案はどのように思いついたんですか?」
seek
「前にPsycho le Cémuが1999年9月にBetaで行なった1stワンマンの映像をBetaのアカウントで配信して、お客さんと観るっていう地獄みたいな企画をやったんですよ(笑)。僕らは恥ずかしくてめちゃくちゃ嫌やったんですけど、お客さんは観たいと思ってくれたので、そこにヒントがあったかもしれないです。僕はただのリスナーとして90年代に田中さんがやってたレーベルからリリースされていた音源を買っていたので、当時の音源がBetaにあるはずだと思って声をかけて。」
田中
「話を聞いた時はびっくりしましたし、もう25年くらい前なので“マスターあるかな?”って(笑)。あとは、著作権のこともありますし、どの立場で出したらいいかを考えたり。僕はseekが考えてくれたことを受けたほうなので、おんぶにだっこで進めてもらいました。」
千々和
「seekさんはMASCHERAが参加できなかったらこの企画自体をやめようと思ってたそうですね。」
seek
「やっぱ姫路はMASCHERAが作った街ですから。MASCHERAがいない姫路のコンピはないだろうと思ってました。でも、いきなりmichi.さんに声をかけて断られたらどうしようって思ってたので、先に他の先輩方に相談して、背中を押してもらいました(笑)。」
michi.
「あははは。でも、姫路のシーンは田中さんと一緒だったから作れたものだと思うし、俺のルーツでもあるところやから、そこはピンチになったらじっとしてられへんって気持ちでしたね。とはいえ、俺ひとりじゃ決められないから、そこはメンバーにも連絡をして。」
seek
「そうですよね。みなさん事情が違うので、そこがクリアーできるのかなっていうのはポイントでした。いくらチャリティーとはいえ、今もバンドを続けている方と、もう辞められている方もいてはるので、知らない間に出ていたって感じにはしたくなかったんですよね。」
千々和
「私は95年生まれなのでBetaと同い年で、90年代後半から2000年代前半くらいの姫路のバンドシーンがどんな感じだったのか、この機会におうかがいしてみたいです!」
seek
「Betaのこけら落とし公演6デイズはMASCHERAから始まったと思うんですけど、その前から田中さんとMASCHERAの関係はできてたってことですもんね?」
michi.
「そうそう。田中さんにはBetaが立ち上がる前からお世話になっていて、すごく可愛いがってもらってたんです。当時のシーンはビジュアル系に限らず、田中さんの門をくぐっていった人はみんな才能が豊かで、尊敬できるアーティストが多かったですね。そういう芯のあるシーンが姫路っていう当時は全国的にはマイナーだった土地にもあると周りに認識されていたから、大阪でライヴをしても姫路に寄ってくれるツアーバンドが多かったですね。」
seek
「場所的には決していい場所ではないですもんね(笑)。兵庫県のメインは神戸ですから。」
michi.
「田中さんがBetaをやる前にいらっしゃったライヴハウスも交通の便があまり良くなかったんですけど、そこにバンドは来るわ、お客さんは集まるわで盛り上がっていた記憶がありますね。」
seek
「ライヴハウス同士の横のつながりが、バンド同士もあったというか。MASCHERAが大阪で対バンしたバンドが、姫路でライヴする時にはBetaに出たりとか、バンド同士が地元のライヴハウスを行き来するっていうのが出来上がっていた気がしますね。」
michi.
「当時から箱推しのバンドが各地方にいて、例えばライヴハウスとバンドが親子だとしたら、家族ぐるみみたいなコミュニケーションがあったんです。」
seek
「ライヴのあとに必ず清算と反省会があるんですけど、その反省会で“じゃあ、次どうする?”っていうのをライヴハウスとバンドが積み上げていく関係だったというか。その当時は“ツアーに行きたい”と思っても“まず姫路でワンマンができるようになってからじゃないと意味ない”ってすごく言われてて、その意味がまったく分からなかったんですけど、自分たちのカラーがしっかりあって、姫路のお客さんに認めてもらってからじゃないと他の箱に行っても誰も見向きもしないっていうのを教えてくれてたんやなって。逆に言うと、僕らは今その立場になったとして、十代のアーティストにそれを伝えるのは難しいと思うんです。」
千々和
「今もその文化はなくなっていないけど、バンドが個々の考えでやっているイメージも強いです。」
michi.
「昔はそれぞれのライヴハウスが企画したイベントがたくさんあって、そこでいろんなバンドが集まってきたんですけど、最近はバンドが企画していることが多くなりましたね。」
石田
「いつの間にかメジャーとインディーズの垣根もなくなり、バンドが自分たちの力で活動できるようになってきたってことなんでしょうね。」
seek
「はい(笑)。でも、今はSNSでライヴ前にひと言を伝えたり、当日あまり話せなくても後日に連絡できたりするんで。」
石田
「あと、ライヴハウス同士が全国でつながってるから、“うちのバンドがそっちに行くからよろしく”というのもあったり。」
michi.
「そうですね。俺らも地元のライヴハウスの名前を背負ってるからへたなことできないって頑張れるし、そういう相乗効果はあったと思います。」
田中
「当時は“どうやってシーンを作っていくか?”って考えてたので、MASCHERAと一緒に機材車で全国を回って全国行脚みたいな感じで、ライヴハウス同士のつながりを作っていきましたね。行った先のライヴハウスでいいバンドを見つけたら、“こっちからも行きますので、ぜひうちにも来てください”っていう感じでした。あと、“from 〇〇”って掲げてて…例えば“九州の某ライヴハウスのマスターのお墨つきがないと他県には行けない”みたいなことをバンドから聞いて、“バンドはそう言ってましたが、ぜひうちに来ていただきたいんです。こちらからお世話になりたいです”ってライヴハウス同士のやりとりがあったり。」
岩田
「僕も学生の時にバンドをやってたんですけど、対バンした相手にどこのライヴハウス出身かっていう肩書きがあったので、それをきっかけに“そこのライヴハウスはどんなところなん?”という話からコミュニケーションが取りやすかったです。今はそういうつながりが現場でないのかもって思うとちょっと寂しいですね。」
michi.
「懐かしい話で言うと、当時は仲良くなったらバンドのステッカーを機材車に貼りまくるっていう文化がありましたよね。名刺代わりに大量のステッカーを常に持ち歩いたし。」
seek
「ステッカー、貼ってましたよ(笑)。バンドは機材車に貼って、ファンの方は黒い皮のバッグに貼ったり。もう今はステッカー文化はないかもしれないですね。」
自分のことも、仲間のことも 誇らしくなるアルバム

千々和
「『VERSUS FATE』の収録曲はBetaへの思い入れも含めて楽曲をセレクトされていると思いますが、どんな選曲基準だったのですか?」
seek
「Psycho le Cémuは“ザ・王道”と言いますか、1stデモテープ『Self Analysis』のリード曲「聖~excalibur~剣」と、1stマキシシングル「Kronos」のリード曲「クロノス」を入れさせてもらいました。当時から僕らは“売れたい”という気持ちしかなかったので、“この見た目のわりに聴きやすい曲をやっているバンド”って言われたいっていう想いが強かったんです。だから、それをモットーに選んだんですけど…あのデモテープは初めてのレコーディングで、Betaで録ってたんですよ。フロアーにドラムセットを置いて、ギターとベースはドリンクカウンターのところで弾いて。当時、僕はBetaでバイトをしていて、エンジニアが元店長の三四郎さん(須方”三四郎”努)だったんで、バイト終わりに“明日レコーディングする曲ここでちょっと弾いてみぃ”と言われて弾いたら、“seekな、オルタネイトピッキングって知ってるか?”って言われて(笑)。それすらできてないくらいのレベルやったんですよ。“これはあかん。明日は時間かかるわ~”って言われたのを覚えてます。そのテイクが今回使われていると思うと絶対に聴かれたくないなって(笑)。」
石田
「楽曲のセレクトはバンド任せですが、何か条件はあったんですか?」
seek
「各バンド2曲ずつで、当時のBetaから出ている音源っていうことだけです。デモテープで出してられる方もいれば、ILLUMINA、Transtic Nerve、DEVELOP FRAMEの3バンドはレコード会社さんとの共同原盤というかたちだったので、そのへんもクリアーしつつ進めました。で、最後にMASCHERAの2曲が決まって。」
michi.
「他のバンドもそれぞれの個性を出してくるのは読めていたので、僕らは当時のスピリッツも再現したいと思って「ラー」(アルバム『tales』収録曲)と「サヨナラ」(アルバム『悪徳の栄え』収録曲)を選びました。当時はメンバー全員が別の方向に尖りまくってたから、そのピリピリした感じが出せればと。“やっぱりMASCHERAらしくきたな”っていう演出も含めて選曲しましたね。」
石田
「なので、「ラー」?(笑)」
michi.
「「ラー」ですね(笑)。前にseekと話した時に“選曲がMASCHERAさんらしいです!”って言われて“そうやろ”って。」
seek
「他のバンドの人たちとも“やっぱMASCHERAは変わってへんな~”って話してました。スピリッツというところがよく出ていて。」
michi.
「MASCHERAもいろんな変遷があって、メジャーデビューからどんどんポップ路線に変わっていったんですけど、今回はBetaのプロジェクトになるので、原点というか、当時の自分たちを再現したかったんですよね。」
石田
「普通はこういうコンピ盤にインスト系は持ってこないもんね(笑)。」
michi.
「あははは。そんな感じで、田中さん然りBeta関係者の方にも“MASCHERAってこうだったよな”ってニヤニヤしてもらって、元気になってほしいというのもあったし。」
田中
「やっぱりどの曲にも“あの時そうだったな”って思い出がありますね。それぞれのバンドのレコーディング風景とかが蘇ってきました。“「ラー」って、これは曲なん?”と思ったこととか(笑)。」
seek
「ちなみに僕らが「クロノス」を録ってる時はDAISHIが一カ所なかなか歌えなくて、結局は田中さんが仮歌を入れたっていうエピソードがあります(笑)。《放たれた黒幕が》の“たれた”のメロディーが違うって、田中さんが“放たれた”の部分だけ入れてくれました。」
田中
「そんなこともしたなぁ(笑)。今のは早いとか遅いとか言ってた覚えがある。」
michi.
「「サヨナラ」は『悪徳の栄え』っていうアルバムに入ってるんですけど、それがデモテープを卒業して初めて作ったCDで、しかも1stアルバムだったから、合宿みたいな感じで大阪のスタジオで泊まり込みでレコーディングしたのを覚えてますね。田中さんにも来ていただいて。」
田中
「行ったな~。高槻やったかな?」
michi.
「当時はデジタルレコーディングが主流になりつつあったんですけど、僕らはそこらへんも捻くれてたので、“アナログを知らないでデジタルでやりたくない!”って言って、アナログのシステムがあるスタジオを選んでもらって録音をしたんですよ。」
石田
「MASCHERAらしい話や(笑)。」
千々和
「さまざまな10曲が入っているのでひと言でまとめるのは難しいですが、すごく勇敢な印象を受けました。“サヨナラ”ってタイトルの曲でも切ないだけじゃなかったり、“こうやって当時からいろんな困難を乗り越えてきたんだな”と感じるコンピでした。」
seek
「そんなふうに言っていただいたら、俺のオルタネイトピッキングのエピソードがちょっと恥ずかしくもなるんですけど(笑)。でも、そうですね。Psycho le Cémuはこの5バンドの中だと一番後輩なので、先輩方の背中をずっと見ながら、めちゃくちゃ影響を受けてきたからこそ、同じようなことをやろうとは思わなかったというか。当時から“自分たちらしさ”を武器にしたいっていうのはありましたね。姫路のシーンってどこに行っても“演奏がしっかりされてますよね”って言われたり、楽曲の良さやメロディーの良さをちゃんと歌うヴォーカリストがいるというブランド力みたいなものがあったから、この10曲を聴いたらそれを感じると思うんです。MASCHERAという確固たる姫路の先駆者がいた中で、“じゃあ、どう自分たちの個性を出そう?”とみんな考えてたんちゃうかなって。例えばDEVELOP FRAMEは姫路出身ではなく、京都のバンドなんですよ。でも、MASCHERAと田中さんにツアーで出会って、Betaをホームにして活動することになったんです。DEVELOP FRAMEのデジタル色の強い打ち込みサウンドは当時はすごく新しくて、その流れを受けてTranstic Nerveの音楽性が確立したりしていたので、ちゃんとつながってたんやなって思いますね。  」
石田
「そんな5バンドの原点となる曲を収録してるから、それぞれの個性の一番濃いところが出てますよね。」
seek
「そうですね。そのギラついてる感じというのはキャリアを重ねる中で落ち着いていくんですけど、今回は当時の尖っている状態のまま入っているので、聴いていてすごく興奮する音源なんじゃないかと思います。」
michi.
「単純ですけど、とにかく懐かしいです。ステージを降りたらみんな仲が良かったけど、ライバル心はお互いにあったし…例え後輩だったとしても、全ての仲間がライバルだと思ってましたね。だからこそ磨き合えたし、今の自分がある。さっきseekが言ってたように、テクニックや知識はまだまだ未熟で聴いていて恥ずかしいところもあるけど…」
seek
「michi.さん、そんなん思うんですか!?」
michi.
「ごめん、あんまり思ってない。今のはいい子になりすぎたわ(笑)。でも、みんなメジャーデビューもしてるし、その才能があの時代に一挙に集まっていたことは奇跡だと思う。それを見い出してくれた田中さんをはじめ、Betaスタッフさんの先見の明が神懸かって、誇らしくなるアルバムですね。自分のことも、仲間のことも誇らしく思える。」
石田
「Betaっていう括りの中で、これだけ個性のあるバンドが集まってるわけやしね。」
千々和
「『VERSUS FATE』が出ることを発表された時のコメントで、須方 “三四郎” 努さんが“感傷的に聴いてほしくない”とおっしゃっていて、きっかけこそコロナ禍が関係していますけど、そうじゃなくても自分が実際に観ることができなかったシーンを感じられるのはすごく嬉しい機会だと思いました。」
seek
「世代が違ってもそう言ってくれる方がいたらいいなと思いますね。」
千々和
「今は配信でも音楽が聴けるので、バンドシーン、ビジュアルシーンという大枠でその歴史を知ることはあるんですけど、ライヴハウスのシーンはよりディープであり、その大枠のところにもすごく影響を与えていると思うんですけど、最近それに触れる機会が減っていってるなと。」
世代交代していく Betaスタッフへの想い

seek
「実は今回、もうひとつテーマがあるんです。Betaのエンジニアで元店長の三四郎さんが3年前にBetaを辞められたんですね。ちょうどBetaのスタッフの世代がだんだん変わってきている時期で、そのタイミングでコロナ禍になり、“ライヴハウスをどう続けていくか?”というのを若いスタッフたちも考えることになって。今働いているスタッフの子らって20代前半の子が多いので、Betaができた95年を知らない世代の子もいる…支援という名目ではあるんですけど、姫路にこういうシーンがあって、Betaが大変だっていう時に“Betaのためにやろうぜ!”と言って集まったバンドの想いをその子たちも受け取って、これからのBetaに対していろんな想いを持ちながら働いてほしいっていう。だから、ぜひ発送作業は若い子たちに手伝ってもらって(笑)、Betaへの想いが引き継がれていったらいいなと。」
石田
「当時の姫路にこういうシーンがあったからこそできたコンピなので、今のBetaを中心にした新しい姫路のシーンを作ろうって奮起してくれるといいですよね。」
seek
「僕らは反抗期が長ったから“from 姫路”って言っておきながらBetaに10回くらいしか出てなかったりするので、そろそろちゃんと恩返しをせなあかんなと思ってます(笑)。年代によっていろんなジャンルも出てきますし、今時の子は映像にも力を入れていて、レコーディングも自分たちでできたりするし、どんどん新しいシーンへと発展していくきっかけになったら嬉しいですね。」
千々和
「今作のタイトルはBetaができて間もない頃にあったオムニバスCD企画『VERSUS』をもとに、michi.さんが“VERSUS FATE”と名づけたんですよね。」
michi.
「seekからタイトルの話をもらった時、仮タイトルがそのまま“VERSUS”だったんですけど、今回のコンセプトからはずれるから悩んでいると相談されて。『VERSUS』は俺は参加させてもらったことはないけど、Betaの歴史からは外すことができないプロジェクトなので、どこかにつけたいと思ったんです。なので、“運命に逆らってやる!”的な意味を込めて“VERSUS FATE”と。」
千々和
「もともとの“VERSUS”というワードからして、姫路のバンドが切磋琢磨していた様子もうかがえます。」
田中
「MASCHERAが先に抜けて進んでいたから、“そのあとを追いかけて行けよ! 次は誰だ?”という想いでつけたタイトルでした。」
seek
「そのもともとの意味も踏まえつつ、今回はこの5バンドが参加するってことで、すごくいいタイトルになりましたね。」
千々和
「michi.さんのコメントにあった“世界は新しい時代に突入する”という言葉も印象的だったのですが、このコンピを作ることで、Betaだけでなくみなさんそれぞれも“この状況下で戦っていこう”という覚悟が芽生えるきっかけになったりしましたか?」
michi.
「時代も常識も移り変わっていくものだけど、今は俺らがこれまでに経験したことのないくらいすごく早さで変革しているから、その流れに負けないように自分たちも変化に対応していく能力を身につけないといけない…って、最近よく感じてるんですね。だから、そのコメントは“やらないとカッコ悪い”っていう意思表明でもあります。」
seek
「良くなっていってるのか、悪くなっているのか分からない状況の中、音楽をやることに対していろんなご意見があることを実感しました。人を集めて音楽をやることが正解なのか、不正解なのか、自問自答することもあるし。でも、音楽だったり、バンドを続けていきたいので、ガイドラインに則って安全な状態でライヴを重ねて、人が来てくれる環境を一歩ずつ作っていく…それが自分がやるべきことだと、半年前に決めたんです。『VERSUS FATE』は自分たちの道しるべにもなると思うので、作れて良かったです。」
千々和
「本当にいろんなものが重なってできた作品ですよね。」
seek
「もともとのスタート自体はネガティブなところから始まって、名目には“支援”ってワードがあるけど、僕自身としては姫路の音楽シーンのファンなので“MASCHERA、ILLUMINA、DEVELOP FRAME、Transtic Nerveと一緒にPsycho le Cémuが入れた!”みたいな感覚があって。ひとつ夢が叶えられたっていう想いが強いから、協力していただいたみなさんに感謝しております(笑)。」
michi.
「MASCHERAは先に姫路を離れることになって、みんなと仲良くしてる時間を持てなかったんですけど、seekがこのプロジェクトを立ち上げてくれて、当時の自分たちの頑張りや熱量、背負ってるものを、当時以上に感じられたことが嬉しいし、自分の財産になると思いますね。」
田中
「そのみんなの気持ちが嬉しいです。それに尽きます。当時はどうやったらバンドを前に転がすことができるかを毎日考えてたし、MASCHERAが成功することがシーンを作っていくことだと信じてたし、そのあとにみんなもついてきてくれた。そういう時代を経て、みんなが大人になってくれたんやなって感じます。Psycho le Cémuが手を離れてからはバンドにかかわらなくなってしまったので、直接は口を出さないようになったんですけど、今はスタジオでバンドと話してると、ライヴの楽しさだったり、熱量をだんだん感じなくなってて…“これって姫路だけなのかな?”って思った時期があったり。オープン当初のあの感じは、全国的なバンドブームがあったから姫路も流れに乗っただけなのかなって思ったりもしたし。僕は“Betaがこんだけ続いてるのは運が良かっただけです”と人には言ってるんですけど、本当はMASCHERAの結成から携わって、想像してたことがある程度かたちになったからだと思ってるんです。でも、コロナ禍で空気が変わって、ライヴハウスが行ったらあかん場所みたいに言われ、心が折れそうになった…正直言ってクラウドファンディングをやる直前は“もう無理ちゃうか?”って思ったけど、いろんなバンドが声をあげてくれて、お客さんの応援の声も聞いて、“もう一回、あのライヴハウスの熱気を取り戻したい”と思うようになった。同じ環境に戻るのは難しいと思うけど、ライヴハウスの熱気を知らない世代の人にも知ってもらいたい…そういうふうに僕の気持ちを前に向かせてくれたんです。なので、seekをはじめ、参加バンドには感謝しかないです。」
姫路Beta支援プロジェクトコンピレーションアルバム『VERSUS FATE』

【CD+12Pブックレット】

SWIM-0006/¥3,500(税込)

◎ジュエルケース

※送料・販売手数料別途 ¥1,000

※送料・販売手数料別途 ¥1,000

受注販売:Beta Music WEB SHOP

受注期間: 5/31(月)まで

発送:7/01(木)以降

※姫路Beta支援プロジェクト

※姫路Beta出身5アーティスト現在入手不可の楽曲計10曲収録のコンピレーションアルバム

※CD売上金に関しては製作費、通販手数料を除く売上を姫路Beta運営費として寄付


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